勲章と星
「やっと城に着いた」
俺は溜息を吐くと城門を見上げた。
あれから、俺は自分がオリヴィアを支援することになったと聞かされた。
元々、ローウェルかアマンダを推すつもりだったが、原因不明の不調が襲いかかり不可能だった時点で詰んでしまったのだ。
特に星一つの俺は連中にとって優先度が低く、三人の王候補が試練を受けるという体裁を取り繕うため、オリヴィアに召喚者を一人押し付けるのは都合が良かったのだろう。
俺としても、こうなってしまったからにはオリヴィアを助け、彼女が王になれるように頑張るつもりだったのだが、昨晩本人に「この先俺はどうすればいい?」と問いかけたところ「さぁ? 好きにすればいいじゃない」と突き放した返答をもらった。
本人も元々王位に興味がないと言っていたし、誰にも期待されていないのならそれはそれで気楽ではある。
その日は儀式の疲れもあってか、パメラに案内された客室でぐっすり眠ってしまった。
翌日になり知ったのだが、オリヴィアの屋敷は無駄に豪華で広い。
その上、住んでいるのはオリヴィアとパメラと俺のみらしい。
最初は多くの従業員が屋敷に詰めていたのだが、オリヴィアの棘ある態度に嫌気がさして辞めてしまったらしい。
俺としても息が詰まる思いだったし、城のでの訓練期間はまだ継続していたので登城しようとおもったのだが、この屋敷から城までかなりの距離があった。
歩くこと数十分、ようやう城まで来た俺は、門番へと話し掛けた。
「召喚者の鈴木です。訓練を受けに来ました」
門番は振り返ると俺の胸元の勲章を確認する。そして表情を崩すと嫌な笑みを浮かべた。
「ああ、お前が例の……無能力者か」
彼らの胸元にも勲章があり、星が一つ付いている。
この勲章と星は、サントブルム城に出入りする兵士や魔道士や貴族、全員に与えられている。
星の数はそのまま身分の高さを示しており、星一つは普通の兵士、二つで兵士長など、身分が高くなればなるほど星の数は増えていき、星十を持つものがこの国の最高権力者である国王となる。
かくいう俺たち召喚者も、召喚当時は全員が星一つだったのだが、能力を発揮するごとに個別に星を与えられるようになっていた。
測定魔導具で尋常じゃない魔力を発揮したクラスメイトには星二つが与えられた。
剣の訓練で、近衛騎士を圧倒したクラスメイトには星二つが与えられた。
他にも、料理や芸など、とにかく有用性を示すことで星が加算されていく。
異世界人は成長力が優れているらしく、簡単に凄い力を得られる。
文献でそう書いてあったというのは事実らしく、クラスメイトは次々に能力を開花させては星を増やしていった。
俺は自分を蔑むような視線を兵士から感じながら城門を潜った。