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第106話 それはあくまで結果がよかったからであって……!

 この国では、魔力を持つ人間は結構いる。

 残念ながら私はさっぱりなんだけれど、そういう人たちは魔女や魔術師といった名前で呼ばれるのだ。

 けれど、巷で噂の魔術師夫婦というのは聞いたことがなかった。

 私が何も知らなさそうなことを察して、アンがずいっと身を乗り出してくる。


「実は今、王都ですっごく噂になっている魔術師夫婦がいるんです!」

「とにかく恋占いの的中率がすごくって~! 今の恋人と結婚するかどうかとか、運命の人はいつ現れるのかとかとにかく当たるって評判なんです!」

「しかもふたりともすっごい美形~!」


 なんて言いながら、三人できゃあきゃあ言い合っている。


 私は昔から占いにはそんなに興味を持てない方なんだけれど、まわりを見ているとやっぱり占いが好きな人の方が多いみたい。


「運命の人といつ出会うかもわかるらしいですよ!」


 アンの言葉に、またきゃあ!!! と悲鳴が上がる。


「私も一度占ってもらいた~い」

「あら、それなら今度三人で行ってきたら?」


 私の言葉に、三人が「でも……」と顔を見合わせる。


「三人いっぺんにお休みを取ったら、エデリーン様たちのお世話をする者がいなくなってしまいます!」

「一日ぐらい大丈夫よ。他にも侍女はいるもの。ハロルドを召喚して、またみんなで料理でもするわ」


 私の料理練習は順調だった。混ぜたり順番を守ったりの要素が、どこか絵と似ているせいかしら? とっても楽しく作れているのよね。

 最近は時々、パンぐらいだったら私が作ったものを朝食に並べる時もあるほどなの。


 私の言葉に、三人がおそるおそる尋ねてくる。


「で、ではあの、本当に三人いっぺんにお休みをとってもいいのですか?」

「もちろんよ。……でもその代わり、みんなの運命の人の話、私にも教えてくれる?」


 いたずらっぽく聞くと、三人がパッと顔を輝かせた。


「「「はい!!!」」」


 その後ニコニコになった三人を見ながら、私はお茶を飲んだ。


 それにしても魔術師夫婦ね……。魔術師はそれなりに多いけれど、占いが得意となるとお父様が好きそうだわ……。


 何を隠そう、そもそも私とユーリ様の結婚だって、お父さまが『占い屋のおばばに薦められたから』というとんでもない理由で強行されたのだ。


 確かに結果的にはよかったのかもしれないけれど、それはあくまで結果がよかったからであって……! というなんとも言い難いモヤモヤがまだ残っている。


 私があまり占いに興味を持てないのも、きっと父の反動だと思う。

 そこまで考えて、私はふととあることに気づいた。


「……お父様、まさかもうその魔術師夫婦のところに行ってたりしないわよね? あの夫婦が占うのは恋占いだけって、言ってたものね……?」


 冷や汗が私の首を伝う。

 最悪、お父様だけが占ってもらう分には全然問題はないわ。個人の趣味だもの。

 でもまさか、王城に連れてきたりなんてことは、しないわよね……?

 不安になりながら、私はズッ……とお茶をすすった。


「……いえ、さすがにお父様もそれぐらいの常識はあるわよね。一応私、王妃っていう要人扱いだもの。今も仮とはいえ護衛騎士もついているわけだし……さすがに考えすぎよね」


 ふふっ。最近どうもアイのことに限らず色々心配性になってしまってよくないわ。これが母になるということなのかしら? お母様も昔から心配性だったものね。

 なんて、無理矢理自分の心を落ち着かせてみせる。


 ――けれど。


 やっぱりというか当然というか、私の考えていたよりもさらにずっと早く、お父様はやらかしてくれたのよ。





***

\占いと言えばパパ/

今回文字数短めなのでその分次回がちょびっと長いです!

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聖女が来るから「君を愛することはない」と言われたのでお飾り王妃に徹していたら、聖女が5歳だったので全力で愛します!!

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聖女が来るから君を愛することはないと言われたのでお飾り王妃に徹していたら、聖女が5歳?なぜか陛下の態度も変わってません?
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