表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ連載開始】聖女が来るから君を愛することはないと言われたのでお飾り王妃に徹していたら、聖女が5歳?なぜか陛下の態度も変わってません?  作者: 宮之みやこ
第二部・第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/145

第100話 それでもこんな時に顔が出てくるのは、やっぱり

 私が意識を取り戻したのは、どこぞのベッドの上だった。


 まだくらくらする中で目を向けてみれば、見たことのない部屋の中。手首に痛みを感じて見上げれば、私は両手を縛られていて、ロープの先はベッドの柱に繋がっている。


「起きたかい、エデリーン」


 そう声をかけてきたのは、マクシミリアン様だ。

 彼は先ほどまで着ていたジャケットをすべて脱ぎ、ラフな格好でワイングラスを揺らしている。


「手荒なことをしてしまってすまないね。でも、僕と君が結ばれるためには、これしかなかったんだ」


 はぁ、と憐れみを誘うような表情を浮かべてため息をついているけれど……これって完全に人さらいじゃない!


「正気じゃないわ……!どう考えてもうまくいくはずがないのに、なぜこんなことを?」

「言っただろう、君とやり直したいんだ」

「そんな言葉に騙されるわけがないでしょう。時間の無駄だから、さっさと本当のことを話したらどうなの?」


 私が挑発すると、マクシミリアン様――いえ、マクシミリアンはにやりと笑った。


「……それもそうだね。いいよ、君の挑発に乗ってあげよう」


 笑いながら、マクシミリアンが私に近づいてくる。


「実は――君を捨てて手に入れた新しい婚約者なんだけれど、彼女、とんでもない悪女でね。我が家の金目のものを全部持って行ったあげく、私の名前で勝手に借用書まで作っていたんだ」


 ……なるほど。興味がなくて聞いていなかったけれど、新しい婚約者がいないと思ったらそんな理由。つまり、この誘拐はお金目当てなのね。

 私は舌打ちしたくなった。


 こんな時ぐらい、してもいいわよね?


「でも、それと私に一体何の関係があるの? 身代金目的の誘拐だとしても、こんなのすぐに露呈するし、王妃に手を出してただですむわけがないじゃない」


 それに、私の夫は何を隠そう、軍人王と呼ばれたあのユーリ様なのよ?


「ノンノン、身代金目的じゃないよ。僕はあくまで、君と結婚したいんだ。――聞くところによると、君と国王陛下は、まだ白い結婚らしいね?」


 そう言ったマクシミリアンの瞳は、ぎらりと嫌らしく光った。


「なら、国王より先に僕が君を奪ってしまったら、どうなると思う? 他の男の子どもを宿しているかもしれない王妃は、王妃でいられると思うかい? ……侯爵家も、僕を婿に迎えるしか、道はなくなるだろうな」


 ……この男。

 口の中に苦いものが広がる。一時でもこんな男を想って落ち込んでいた自分が情けない……そう思うぐらい、今のマクシミリアンは堕ちていた。


「私に指一本でも触れてごらんなさい。嚙みちぎってやるわ」

「おお、怖い。君、前からそんなに狂暴だっけ? 前はもう少しおしとやかだった気がするんだが」

「それはこっちの台詞。こんなことをされたら、誰だって狂暴になるわよ」


 第一これぐらいで怯んでいる時間なんてないのよ。

 だって私はあの子の母親。

 アイは今頃、いなくなった私を探して泣いているかもしれない。

 そっちの方が、よっぽど心配なのよ!


「……これは、猿ぐつわを噛ませた方がよさそうだね?」


 言うなり、マクシミリアンはしゅるっと自分のスカーフをほどいて、私の口にぐいっと突っ込んだ。


「うう!」


 だったら、血が出るまで頭突きしてやるわ!


「ははっ! 今度は頭突きする気だと、顔に描いてあるよ。だが残念ながら、そこからじゃ君は届かないはずだ」


 マクシミリアンが笑いながら、私の足に触れた。

 ぞわっとして蹴り上げようとしたけれど、その前にグッと足に体重をかけられ、うまく動かせない。


 ~~~っこの! 汚い手で触らないで……! ……っ! ユーリ様……!!!


 私は心の中で彼の名を叫んだ。

 わかっている。彼は今頃、リリアンと一緒にいるはずだって。


 ……それでもこんな時に顔が出てくるのは、やっぱりユーリ様だけなのよ……!


 スカーフを嚙みながら、私がぎゅっと目をつぶった、その時だった。


 ドゴォンッ!!! という破壊音とともに、部屋の壁が吹っ飛んだのは。




\皆様前回は素敵なパーン!をありがとうございました!/

せっかくなので、ここでもっかいやっておきましょうね。

そーれっ

「マクシミリアンめ!!!( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
■マグコミ様にてコミカライズ連載中■
第1話はこちら
聖女が来るから「君を愛することはない」と言われたのでお飾り王妃に徹していたら、聖女が5歳だったので全力で愛します!!

■マッグガーデン・ノベルズ様より、書籍第1~3巻発売中■
書籍はこちら
聖女が来るから君を愛することはないと言われたのでお飾り王妃に徹していたら、聖女が5歳?なぜか陛下の態度も変わってません?
― 新着の感想 ―
[一言] エデリーンを助けてからのポイッ( ・_・)ノΞ●~*
[一言] よーぉ狙ってぇー ・ω-)▄︻┻┳═―――――――( ゜д゜)∴∵
[良い点] ビーム!( 」`・ω・ )」▁▂▃▅▆▇█▓▒))Д´)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ