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2話 飛び降り自殺


ーーーーーーーーーーー


ーーーーーーー


ーーー



「おい!!大丈夫か!?」


俺は男の声で目が覚めた。


「うっ。」


体が痛い。全身が悲鳴をあげている。


「お前さん大丈夫か? 何があったんだ? 誰か呼んだ方がいいか?」

「いえ、大丈夫です。」


体は全然大丈夫じゃないが、誰かを呼ぶほどじゃない。

しかしなんでこんなことに......。


そこで俺は思い出した。


「本当に大丈夫なんだな?」

「えぇ。ありがとうございました。」


俺はフラフラとした足取りで男から離れていった。

気分は最悪だ。

自殺したかったのに出来なかった。

怖いからと思ってずいぶんと下の方から落ちたせいだ。

次こそはちゃんとしたところから落ちてちゃんと死のう。

しかし、またさっきみたいに他のひとに迷惑をかけるわけにはいかない。

死体が出てもいいようにモンスターの出るところでやるか。

モンスターとは主に人間に害を与える知能の低い生物の事だ。

モンスターは人間を食べたりするから、死体処理にはぴったりだろう。

俺は気分をよくするために有り金を全て使って回復薬を買った。死ぬときくらいいい思いをしたい。どうせ死んだら今回使ったお金は無駄になるんだからいいだろう。

俺は回復薬をゴクゴクと飲んだ。

うむ、まずい。

まぁ、薬なんだから仕方がないか。

俺は体がポカポカするのを感じた。

体力が全回復したようだ。


「さて、行くか。」


俺は自殺志願者とは思えぬような明るい声でそう言った。そして、そのままモンスターのいる草原へと歩きだした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ようやくついたようだ。

少しつかれたから休もう。

俺はその場に座り込んだ。


あぁ、こうしていると今まであった嫌なことが少し忘れられる気がする。

裏切られ、追放され、自殺に失敗する。

こんな経験してる人って殆どいないんじゃないか?


「ははっ!!」


もう何もかもが笑えてくる。

今何が起こっても笑えそうだ。


ワオオオォン!!


後ろからそんな声が聞こえた。

俺は慌てて後ろを振り返る。

そこには白い毛皮の狼がいた。


「ウルフ!?」


ウルフとは狼型のモンスターで、ここら辺ではかなり強い部類に入るモンスターだ。


(くっ、こんなところでウルフにあうなんて......ちっとも笑えない!!)


見事なるフラグ回収をしたのち、俺は立ち上がり逃走を始めた。

俺はこんな死にかたはしたくない!!

モンスターなんかに食われて死ぬなんて駄目だ!!

こうなったら!!

俺は「飛び降り自殺」を使った。


「じゃあな。ワンコ!!」


俺はそう吐き捨てるようにそう言い、上空に転移した。


はぁ、これで二回目か。

前回は全然怖くなかったが、今回は少し怖いな。

死んだら人知れずにモンスターに食われてこの世から忘れ去られるんだ。

俺は少しだけ生きたいと思った。

その思いは増幅していき、俺の心はその感情で埋まったしまった。


生きたい!!


だが、その思いとは裏腹に体は地面へと近づいていく。


「!?」


その時、ちょうど真下にあのウルフがいた。

俺はどんどんウルフに近づいていき......。


グシャッ!!


ーレベルアップしましたー


ウルフは俺の下敷きとなって死んだ。


「は?」


俺はただただ呆然とするしかなかった。


............。


「はぁぁぁぁ!?」


え?どう言うことだ?ちょっと何言ってるかわかんない。

よし、冷静になれ。整理しよう。

まず、俺はウルフに襲われて、逃げるために飛び降り自殺を使ったんだ。

そうしたら、落ちた先にウルフがいて、俺がウルフを押し潰して殺したってことだろう。


「......。」


意味わからん!!

しかもレベルアップしたって......たぶん今俺はレベル3だろう。小さい頃に一回だけしたことがある。

一応ステータスを見てみるか。

俺は懐の中に入っている物の中に鑑定のスクロールがないか探した。

......ない。


「はぁ、買うか。」


俺は街に向けて歩きだした。


テクテク


あぁ。なんだかつかれたな。一日に色んなことがありすぎて頭がパンクしそうだ。

街についた頃にはもうへとへとだった。

だが、最後の力を振り絞って冒険者組合(ギルド)へと向かった。

ギルドでは素材などを()()ことや、武器やスクロール等を()()ことが出来る。それ以外に三段階の階級のあるギルド証というものが発行され、それによって色々なところでの待遇がよくなったりする。俺は最低ランクの銅ランクだが、いずれは銀ランクや金ランクになってみたいと思っている。

今回は偶然倒したウルフの素材を売る。

それだけあればスクロールの一枚くらいなら買えるだろう。


「すみません。これを売りたいのですが。」

「はい。では、鑑定しますね。」


受付嬢に素材とギルド証を渡し鑑定を頼んだ。


「あなたは......リエル?」

「ん?何ですか?」

「いえー。なんでもないですよー。」


ん?なんだ?いきなり態度が変わった気がする。

まぁいい。俺は無事に売ってスクロールだけ買えればいい。


俺は鑑定が終わるまで待った。


「リエルさん? これ、盗難品なんじゃないですか?」

「は? 何を言って......。」

「このウルフは押し潰されたような死に方をしています。貴方は風魔法の使い手ですし、しかもあんなスキルじゃウルフに勝てるわけないでしょう?」

「まっ、まさか!!そんなバカなことがあるはずがないだろ!!それになんで俺のスキルのことを知ってるんだ!!」

「まぁ、買い取りますよ?ウルフもいい素材なのでギルドには利益が出ますからね。スキルはサエルさんが言いふらしてましたよ。」

「あいつ!!」


なんでこんなことするんだ!! ちょっとの事で嫉妬したのか!?

ふぅ、落ち着け。

こんなことで起こっても仕方がない。


「はぁ、その売ったお金で鑑定のスクロールを買えますか?」

「ぶふっ。鑑定なんかしてもスキルは変わりませんよぉ?」

「......良いですから。」

「分かりましたよ。」


受付嬢は少しめんどくさそうにスクロールを渡してきた。


「返品は受け付けませんからね?」


つくづくイラつく奴だ。

だが、スクロールは手に入った。

俺は外に出て鑑定を使った。

ざまぁとか書きたいけど、あんまりうざく書けなくてぴえんこえてピエロ(?)


ーーーーーーーーーー


お読み頂きありがとうございました。

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