12話 恋する乙女
次こそはちゃんとした戦闘が始まります!! 多分!!
今俺はまた精霊の巣に来ている。
コンディションは最高だ。
新しい武器が手に入り、良い回復薬も手に入った。睡眠もしっかり取れたし、美味しい朝ごはんも食べられた。
体調はもう良すぎるくらいだ。
さて、今日も狩りをしよう。
存在値というのがどんなものなのか正確に分からない以上用心していかなければならない。
なんたって、失敗したら捕まるというのだ。俺の人生がかかっているといっても過言ではない。
よし!! 頑張るぞ!!
リエルはその努力が過剰だとも知らずに狩りを続けるのであった。
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その頃、メイラは店で少し暇をしていた。
メイラの店、サインリーアはそこまで大きい店ではない。
が、品質と安定性が優れていて、殆どの回復薬がしっかりと効果を示す。
その分値段が高いのだが、命がかかっているので、このような店を使う人は多かった。
とわいえ、安く、大量に売っている大手のメーカーには勝てない。
なぜなら、メーカーと言えば安くて、品切もなくて、品質もなかなかよいといった評価になるからだ。
なので、今日もメイラはお客さんが来ないかなと思いながらカウンターにいた。
カランカラン
扉のベルが鳴る。
メイラはやっと待ちに待ったお客さんかと思い気分が上がった。
しかし、それも長くは続かなかった。
「いらっしゃいませ......ってお前は!!」
「よう。」
入ってきたのは......サエルだった。
メイラはサエルとリエルとメイラの三人で良く遊んでいた。
だからこそ信じていた部分もあったのに、裏切られたのだ。
「ふんっ。あんなことをやっておいて良くノコノコとやってこれたね。あなたのその精神に感心するよ。」
「おう、そうか?」
「ちっ。」
メイラは皮肉のつもりで言ったのだが、サエルは都合良く自分が誉められたとでも思っていたらしい。
「それに、あんなことってなんのことだ? 具体的に言ってくれないと分からないよ。」
「リエルのことよ!! 何で神の判断であんなことをしたの!? リエルは優れた魔法使いだったし、あそこでしっかりとできたら必ず言いスキルを貰えた筈なのに!!」
「はっ、なに言ってるんだ。あの無能は欲張りすぎて制御が出来なくなっただけなんだよ。それにあの無能のことだ。成功してても言いスキルは手に入らなかったさ。」
「あくまでも白を切るつもりなのね......。」
メイラはリエルのこれからの人生を壊したサエルのことを許さなかった。
そんなメイラの空気をわざと読まないように、サエルが話し出した。
「そう言えば、あの無能の話で思い出したんだが......お前......リエルから俺に乗り替えないか?」
「は?」
「言い方が悪かったか? あの無能なんかと付き合ってないで、俺と付き合おうぜって言ってるんだ。」
なんと、サエルが話し出したのはプロポーズだった。
これにはメイラも呆れてしまい、逆に冷静になった。
そして、考えた。どうやったらサエルを傷つけることが出来るのかを。
(そうね。思い付いた。)
メイラは少し悪い笑みを浮かべた。
「で、返事はどうだ?」
「ごめんなさい。拒否するわ。」
「なっなぜ!! まだリエルのことを引きずってるのか? あんなハズレスキルを手にいれてしまうやつのどこが魅力的なんだ!!」
「ふふっ、少なくとも友達を裏切った貴方よりも数億倍は魅力的よ。あっ、あなたの魅力はゼロだからかけられないか。」
メイラは出来るだけ煽るようにそう言った。
サエルは怒りがもう限界のようで、怒鳴ろうとした瞬間、メイラが被せるようにこう言った。
「それに私......もうリエルと一夜を過ごしてるのよ?」
「んなっ!!」
嘘ではない。言い方が少し誤解されそうなようにわざとしたのだ。
これでサエルは見事に騙されたのだ。
「まっ、まさか、そんな筈は......。」
「あのときは積極的だったなー。(私が)」
「積極的!?」
「後ろからだったね(私が抱きついたのが)」
「うっ、後ろ!? まさか。そんな破廉恥な!!」
「思わずけだものって言っちゃったわ。」
「そっ、そんなに......。」
サエルはもはや放心状態でいた。
数分後、サエルはハッとして顔を真っ赤にし、プンプンしながら店から出ていった。
「はぁー。清々した。」
これでちょっとは溜飲が下がったと言うものだ。
しかし......。
(なんであんなに恥ずかしいこと言ったんだろう......。うう。恥ずかしいよぅ。)
メイラは顔を真っ赤にし、カウンターの中に隠れた。
(けど......いつかはできたら良いな。)
そう思うメイラの顔は恋する乙女の顔であった。
恋愛経験のない僕が恋愛を書くのは難しすぎますよw
お読み頂きありがとうございました。
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