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04幕 『ハートの城へようこそ』

ついて来いって言われたからついてきちゃったけど・・・

わたしがこんな所に来てよかったの?

・・・なんかスゴク怖い

 「・・・・・・・・・・」


 わたし、アリス=リデルは白ウサギ・・・

 ハングと名乗った白髪はくはつの青年に連れられて只今ハートの城とかいう建物の中にいます


 「如何致(いかがいた)しましたか?アリス」

 「あ、いや・・・あまりに立派なモノで・・・・・」


 お世辞ではなく、本当に凄い。

 城って言うだけあって大きい。

 ここまで歩いてくるまでに、何人もの使用人やメイドさんを見かけた。

 ・・・・・・・・・・

 あー。思わず使用人やメイドさんの着ている服を着てみたいって思ってしまった・・・・・・


 「お気に召しましたか?」

 「は、はい。」

 「そうですか。それは大変嬉しいことでございます」


 青年・・・ハングは隣に並んで歩いているわたしに顔を向けてにっこりと笑った

 ・・・・・この人、真顔でもいいけど笑うと酷く綺麗なんだよね・・・・・・・・

 柔らかい目に優しい口調、それに執事で柔軟な性格・・

 優しい人が好みな人は即刻ノックアウトだよ。ハングって。


 い、いや。それよりもこの城の事だ。

 

 「この城って赤いですね?」

 「そうでございますね。目が痛くなるほどに赤いです。」

 「何でこんなに赤いんですか?」

 「なぜ、と申されましても・・・・・。

 陛下がお決めになられた事だから・・・。と、だけしかお答えできませんね」


 ハングは苦笑をしながら大きな扉の前で、足を止めた


 「陛下って、王様のコトですよね?」

 「えぇ。その通りでございます。さて、こちらが謁見室になります」

 「えっけんしつ・・・」


 わたしが言葉を繰り返すとハングは頷いて、大きな扉の取っ手を持って奥に押した


 「陛下。女王陛下。失礼致します

 白ウサギにございます」


 ハングは入ってすぐに王様と王女様おうじょさまらしい人に一礼した


 「ハング!お帰りなさい。遅かったわね?」


 ハングが来ている事に気づいた王女様らしい人が、

 高いところから降りてきて私とハングの方に近寄ってきた


 「女王陛下。いけません。あなた様というお方がこのような位置にいらっしゃるなど」

 「いいじゃない。細かい事を気にしたら負けよ。ハング」

 「細かい事ではございません。あなた様は上流の方なのですから・・・

 もう少しそれらしく振舞っていただけませんと。」

 「ああっ!もういいわ。

 ねぇ、ハング。そんな事よりも貴方の隣にいるのが例の?」

 

 ハングの説教に飽き飽きしているのかハングの言葉を払うような仕草をして、

 わたしのほうに目を向けてきた


 「ねぇ、あなた。名前は?」

 「あ・・・・アリス。アリス=リデル と言います」

 「アリス・・・とってもいい名前ね!」 


 そう言って王女様が暫くわたしの事をじーっと見ていたと思ったら、

 突然思いっきり抱きついてきた


 (え・・・えぇえぇぇぇ!!?)


 あ。近くて見るとすっごい、カワイイ・・・


 「アリス、アリス!アリス!!とっても愛らしいわ!!!」

 「女王陛下・・・・・!」

 「なによ!ハングは黙っていらして!!」

 「ぅ・・・っ

 で、ですがいきなり抱きつかれてはアリスも困惑してしまいます!」


 ハングは上の立場の人に意見はしにくいらしいが、

 先程からの会話を聞いていたら、この人に意見を言っても一応は(とが)められない立場らしい


 「いいじゃないの。ねぇ?アリス」

 (かっ・・・カワイイっ!)


 この王女様はわたしより身長が低いのだが、

 斜め下からの上目目線はとてもかわいいっ!



 「うるさいぞ。」



 わたしに抱きついている王女様を私から離れるように説得するハングと、

 それを真っ赤になりながら見ているわたし達3人の頭上から、静かで、低い声が聞こえた。

 反射的に上を見上げると、に座り頬杖ほおづえをついてわたし達を見下ろしている人物がいた


 「へ・・・陛下・・・・・・」

 「キング?」

 「貴様はその小娘こむすめから離れろ。」


 『陛下』と呼ばれたその人は、この城のあるじらしい。

 王女様は王様に言われておずおずとわたしから離れる。


 「女。貴様は何者だ。」

 「あ、アリス=リデル・・・・・です」

 「貴様の名前などとっくに聞いている。

 われが聞いているのは、なぜこの場にいるのかだ」

 「なぜ・・・って・・・・・・・」

 「貴様は見た所、余所者ではないか。

 なぜ余所者などがこの場にいるのだ。白ウサギ?」


 王様に指名されて睨まれたハングは一瞬びくついたように見えたが、

 すぐに顔を上げて王様の問いかけに答えた

 

 「アリスはわたくし共の客人にございます。

 ・・・ですから、長き時をかけ迎えに行ったのです。」

 「答えになっておらぬ。

 貴様は、我の許可無く余所者を我が城内に招き入れたと申すか。」

 「・・・・・・・・・・はい」

 

 王様は舌打ちをして、イラついているのが分るように、先程より低い声で言う


 「兵。そこのアリスとか言う小娘を捕らえよ。」

 

 すると、謁見室の両脇に構えていたらしい兵士がわらわらと出てきてわたしの周りをすぐさま囲みこんだ

 

 「ちょ、ちょっと!やめてよ!!」

 「暴れるな!」

 「王の命令だ!」

 「放してってば!!」


 兵士は精一杯抵抗するわたしを押え付けようとする。

 しかし、そうはいかない。

 わたしだって伊達だてに学校のいじめっ子とケンカをしていたわけじゃない。



 「見苦しい。早々に取り押さえろ。

 でないとそこの兵士はみな、打ち首だ」



 王様のその言葉に周りの兵士の顔が一斉に真っ青になったと思ったら、

 すぐにわたしが抗えないくらいの力で取り押えられてしまった


 「即刻その小娘を斬首刑にせよ。」


 王は兵士たちに抑えられたアリスを見下ろして言い捨てる。



 あぁ。わたしの人生はここで打ち首になって終わりなのかな?

 何ともあっけなくむなしい死に方・・・。

 しかもとても短い人生。だったの16年しか生きていないのに・・・

 白ウサギを追わなければ、死なずに済んだの?

 ・・・・いや。それはどうなんだろ?

 トラブルというものはどこに転がっているかわからない

 コレもそのひとつかもしれないし・・・

 


 何の抵抗もしないアリスに興味を失ったのか、

 この場から退室しようとした時に謁見室には大きな声が響いた


 「お待ちになってください!!」


 その声の主はハングではなく、もう1人の王女様だった


 「・・・・・なんだ?」

 「わ、わたくし。アリスを気に入ってしまいましたの。」

 「それがどうした?」


 王女様はアリスを見たあとに王様を見てにっこりと微笑んだ。


 「ですから、アリスを私の客人としてこの城に入ることと、

 もしアリスがハートの城に滞在したいと言ったら滞在を許可していただきたいの」


 「・・・・・・・・・・・・勝手にしろ。」

 「ありがとうございます!」

 「小娘を解放しろ。」


 王様がそう言うとわたしを取り押さえていた兵士たちが次々と引いていった


 「だ、大丈夫ですか?!アリス!」

 「う・・・うん。あ、ありがとうございました。」

 「いいのよ。それより無事でよかったわ」

 「女王陛下、アリス・・・申し訳ございません。私が無力なばかりに」

 「ハングはそれなりの権力と実力は持っているのだから

 本気になったら兵士なんて赤子あかごも同じでしょう?」


 そうなの?

 そんなに強いの?

 そうは見えない・・・


 「い、いえ・・・・・ですが・・・・・・・」

 「あーっもうっ!ハングったら本当にへタレね!!!」

 「ぅ・・・ヘ、へタレって・・・」

 「ほら!そこで涙目にならないの!」


 ・・・・・わたしの中でハングの評価が執事で柔軟な性格にへタレがプラスされてしまった


 「で、ですが・・・!

 私めの行う殺傷は『時の番人』にて禁止されているはずで・・・」

 「だぁかぁらぁ!何で番人なんかのいう事なんて鵜呑みにするのよ!!!」

 「番人のいう事は絶対って女王陛下も行っていたじゃないですか!」

 「なにを言っているのよ!絶対なのはキングのいう事に決まっているじゃないの!」

 

 (・・・なに?)


 何?この2人・・・

 最初はカッコイイとか思っちゃったけど・・・

 なんかくだらない(?)コト言い合ってるし・・・・・・

 なに?なになになに?

 不気味な赤いまだら模様の森もあるし

 このお城の王様には殺されそうになるし

 わたし、

    まさか


       とんでもない所に来ちゃったんじゃないの?!



今回は王様と王女様(仮)が出ましたw

そしてまたもやヘタレなハングが出ますた

次回にまとめて2人紹介しますので今回はおやすみで


>>次回『不規則な時間へようこそ』



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