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00幕 『慰めの国へようこそ』

はじめまして。

この話はプロローグのような者ですので、

(多分)見なくても大丈夫だと思います

ザァァァァァ―――――――――――――



雨降る夜、私は墓場にいた。母に会う為に。


「久しぶり。それと、Happy birthdey。……大体5年ぶりかな?」


特に何をするわけでもなく、私は傘もささずに母の墓標の前に突っ立っていた。


「もう何年か経ってるんだよね……時間が経つのは早いね」


雨に打たれ、体温が下がりきった頃、急に雨がやんだ。

いや。雨は止んだのではなかった。

自分と雨の間になにか、遮る物が入ったのだ。


「お嬢さん。こんな所で傘も差さずにいかがいたしましたか?」


驚いて上を見上げると、黒い服…喪服を着た白い髪の青年が後ろに立ち、私を傘に入れてくれていた。

雨で、しかも夜。彼のその白い髪は、薄暗闇の中で月に照らされ銀にも似た美しさだった。


「どうぞ。」


アリスに差し出された青年の手元には暖かい缶が握られていた。


「あ………。どうも…」


綺麗な微笑と美しい白髪に見惚れていた私は戸惑いながらも彼が差し出していた缶を受け取った


「先程も聞きましたが、お嬢さんはこのような所でいかがいたしたのですか?」

「お墓参りです………」

「そうですか。」


彼は他に何かを聞くでもなく、去るでもなく私を傘に入れたまま、ただ静かに口を閉じていた。


「……………」

「………」

「………………ナ様は、」

「へっ?」


いきなり、白い髪の彼が沈黙を破り、口を開いた。


「あなたの姉上様は、素晴らしい女性でしたか?」

「え…」


突然の質問に、答えがすんなりと出てこない。

この質問の答えは、すぐに出てくるはずなのに。

 

「えぇ。とても…とても素晴らしい女性(ひと)です。綺麗で。何でも出来て…とても優しいですよ?」


なぜこの人は、過去形で言うのだろうか?


「では。母上様は…」


彼は何かを言いかけて口を噤むんだ


「あなた様は、ご家族に恵まれていらっしゃるのですね。」

「そうですね。」


そう。とても…とても恵まれている。だから、姉さんには―――


「えっ。お、お嬢さん?!」


急にうろたえだした彼に私の頭の上には『?』が浮かぶ


「どうしたんですか?」

「それは(わたくし)のセリフですよお嬢さん。ど、どうしたのですか!?」

「へ…………?」

「泣いているではありませんか!」

「な、なに…?だれが……?」

「何を言っているのですか?お嬢さんの事ですよ!泣いていらっしゃるではありませんか!!!」

「え?え??え???」


泣いてる?私が?

顔に手を当ててみたら生暖かい水が手を伝った

 

「ほ、ん…とう、だ…………」

「姉……母上様の為に泣いていらっしゃるのですか?」

「わか、り………ま、せ……ん。」


この人に言われてからか、一気に熱い水が溢れ出してくる

泣いてはいけない。涙を流してはダメ。

そう思って涙を止めようとしているのにあふれて、あふれて、止まらない


泣けなかったのに。母の葬式の時には、一滴も涙を流せなかったのに……


「冷たい人間、なの、に……」

「『冷たい人間』?あなた様が、ですか?」


彼は不思議そうな表情で聞き返してくる



そう。


『なんで?なんで泣かないの?!』


イーディス……


『姉さんは悲しくないの!?』

『イーディス!やめなさい!』


姉さんに怒られても涙を流したイーディスは言葉を止めない。

父に似た、気の強い妹。気の強い目を私に向ける


『母さまが死んだのよ?なぜ姉様は泣かないの?!』

『ロリーナ姉さま!!あたしは姉様が信じられないわ!こんな時に泣かないなんて……………!!』


ごめんなさい。・・・ごめんなさい。

 

『姉様は、冷たい人間よ!』


こんなに言われていたのにこんな時に私が思ったのは、


(あぁ。この子は、イーディスはやっぱり父さん似ね。)


だった。

いつもの私だったらイーディスを叩いていたかもしれない。


『嫌い嫌い、大っ嫌い!!』

『イーディス!いい加減にしなさい!』


嫌いでいいから。許してくれなくても良いから…………


姉さんを悲しませないで。

姉さんを困らせないで。




「ごめんなさい、ごめんなさい」


イーディス、ごめんなさい

姉さん、ごめんなさい

 

「泣いてあげられなくて、ごめんなさい……」


ごめんなさい

あの時、泣いてあげれなくて、ごめんなさい



「お嬢さんは、冷たい人間ではありませんよ」

「……?」


私の後にいる彼はにこりと微笑んで続けた


「『冷たい人間』には涙を流す事は出来ないでしょう?」

「…………………」


柔らかく微笑んでいるその顔は酷く綺麗だった


また、涙が溢れてきた


嬉しかった。

今まで誰にもそんな事を言われたことがなかったから。

………なぜ、知らない『赤の他人』に慰めてもらわなければならないのだろう


(この人は、何も知らないのに……)


そんな事、知っている。

分かっているのに安心する

この人の言葉を聞いていると、とても安心する


「おや。そろそろ時間ですか」


アリスの涙が落ち着いた頃、気づいたように美しい装飾の懐中時計を開いて彼は呟いた


「お嬢さん、私はそろそろ行かなければなりませんので」


彼は少しかがんで自分が持っていた傘をアリスに持たせ、恭しく一礼して墓場の出口へと足を運んだ


「お一つだけ、言い忘れた事が」


何かを思い出したように足を止める


いつか…いつかあなたをお迎えに参ります。」『アリス=リデル』嬢


…………と、彼は顔だけこちらに向けて、柔らかい笑みを浮かべた


「では、またいつか。…お嬢さん、早くご自宅にお帰りになられるよう。

手厳しいお父様がお怒りになられますよ」


最後の言葉だけ冗談めかして言って、気づいたら、彼は消えていた。




ごめんなさい。文法とかいろいろおかしいです。

もう『アリス』はたくさんあるのに・・・

とりあえず、生温かく見守ってくださいませ<(_ _)>


>>次回『不思議な国へようこそ』

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