『ドラゴン・リヴァイヴァー《上》討滅者の罪過』『ドラゴン・リヴァイヴァー《下》蘇生者の黎明』
送ったものの選ばれなかった作品です。
《主よ――なぜ、我らヒトをお創りになられたのですか》表紙裏より
【上巻あらすじ】
約二千年前。一人の青年が、人間を襲い世界を混沌に陥れる、一匹の荒ぶる竜を退治した。するといつしか彼は竜殺しと呼ばれるようになり、のちに彼は己を王とする王国を建国した。
そのような伝説が残るヴレイス王国は伝説の竜殺しの子孫たる王族に憧れる者、そして伝説の竜殺しの活躍の後に出現して……人間を襲い、世界をさらなる混沌に陥れる、新たな荒ぶる竜達を退治し、新時代の竜殺しにならんとする者達の聖地となっていた。
そしてそのヴレイス王国にまた一人、若者が訪れる。彼の名はシン。例によって竜殺しを目指す者。
彼は己の旅の成功の祈願のために王国を訪れたのだが、運悪く彼は、王族を狙うテロ事件に巻き込まれる。
テロの首謀者は邪教《竜血曾》の教祖。通称《竜の巫女》。文字通り、荒ぶる竜達を崇拝する集団である。
シンの介入により、すんでのところで死を免れた王族。
だがその代わり、シンは《竜血曾》の構成員に連れ去られてしまう。
数時間後。
《竜血曾》の秘密の砦で、拘束されていない状態で目を覚ますシン。
そして彼は、邪教の教祖たる《竜の巫女》アーシャとついに相対する。
拘束されていない事をこれ幸いと思い、シンは己の武勲を立てるため、アーシャへとすぐに戦いを仕掛けようとするが、その前にアーシャは、シンに衝撃の真実を告げたのだった。
【下巻あらすじ】
――皆が荒ぶる竜と呼ぶ存在は、この世に降臨なさった、この世をお創りになられた神々であり、そして神々が全て倒れる時、世界は混沌へと還るだろう。
――ヴレイス王国の初代竜殺しが倒した荒ぶる竜は、初代竜殺しが、己の武勲を立てるため犠牲にした最初の神であり、初代竜殺しが襲いかかってくるまでは世界を見守るだけの存在だった。
――最初の神が倒れられた後、残りの神々は世界を安定させる力を得るために人間を捕食している。
――そして私達《竜血曾》は、竜殺しによって殺された竜達を蘇生させるべく、竜の蘇生に必要な、その竜の血を浴びたとされる一族を千年以上狙い続けてきた。
アーシャが語った話は、シンの中の常識を根底から覆すモノだった。
そしてそれ故に、彼は話を信じなかった。到底、信じる事などできなかった。
平行線を辿る両者。
だがヴレイス王国直属騎士団が、人質解放のためと《竜血曾》を壊滅させるためという名目で……この世界の本当の事を知ってしまった者の、口封じのために動き出したのを知り、シンはついにアーシャが語った話が本当の事なのだと悟る。
もはや人間は、己の武勲のためならば、神をも殺してしまえるほど、世界を犠牲にしてしまえるほど、愚かになってしまったのか。
そしてアーシャ達《竜血曾》と共に逃げ回ったその果てに、シンはいかなる答えを出すのか。
人間の〝欲望〟に深く踏み入った〝竜殺し〟を巡る物語……ついに完結へ!!