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運命の絲シリーズ

運命の絲アレク編

作者: 久遠みおな

幼い頃に出会ったレディは不思議な子だった

…まあ、辺境伯の娘だというからだと思っていたけど


事実不思議な力を持ってるみたいだ


「王子様とおとうまおかあさまみたいになるわ」


「…王子、この子に何を吹き込んだ?」


何はともあれ最愛の妹がそんなことを言ってるのだ驚くだろう

容姿が整っていたのは事実だし

だが、いくら可愛くたって俺の趣味に合う子が理想なんだけど


お転婆さんは趣味じゃない

そんななか、ある日彼女の涙を初めて見た


我慢して泣かないように頑張っているけれど確かに泣いてる


その顔がまさにストライクだった


それからの俺は王子と言われる度にいじめた

その様を見た彼女の兄や、祖母殿は俺から彼女を引き剥がしにかかった


父王からは学校卒業後結婚できるとの密約が交わされ幼い彼女は俺を記憶からサクッと消してしまったらしい彼女の目には俺との糸が見えなくなっているとの報告があったし

やっぱり印象付けしようと嫌がる事をしたのが間違いだったか?

だって可愛いのだからしょうがない涙を溜めて睨む彼女に、悪戯したのはしょうがない

昔の俺は彼女の気を引きたくて頭に虫を(カブトムシ)乗せたのがまずかったか

それとも、大切にしていたオモチャを隠したのがいけなかったか

勉強してる彼女に、茶々入れたのがまずかったか…まあ、どれもよくないとは思ったのだが…可愛い彼女が悪い


学校だって普通コースじゃなくて淑女コースで校舎違うし、接点がないまま政略結婚なんて嫌だ


そんなおり俺に近づいてくる女がいた

頭の悪い見た目だけの底の浅い女が俺と共に過ごす事が多くなった


これは試練か?と、考え我慢していたけど俺の婚約者である彼女が学校に入ってから渡り廊下で転ばされたと俺に怒り出す


じゃあ、近づかなければ良いだけの話だろう、分校舎との接点なんて渡り廊下位だし

お茶会も淑女コースは全員出席だが、普通科の女性は強制ではないのに行ってお茶をこぼされたどか下らない話をしてくる


しかも彼女がやったのだと言い張るのだ


有り得ない

『今の』彼女には糸が見えなくなっている筈

たまに見かける彼女は俺に侮蔑の視線を向けてはいるが、婚約者の前で何してるの?やるなら見えないとこれでやれ

と言う感じのめんどくさそうな目をしている俺は彼女が好きなのに!

面倒だからと放っておいて馬鹿な女性にほだされた友人達は彼女を叱責するとまで言い出した


やっぱり馬鹿だ


彼女が婚約者だとお前達に教えたのは誰だよ

誰でも良いが証拠のないまま叱責するのなら辺境伯の兄達に死よりも辛い人生を歩まされるぞ。

父王と、辺境伯は親友だからな?辺境伯は家族揃って彼女が大好きだからな?


俺?なんでわざわざ彼女を貶める奴らの味方しなきゃならんのだ

嘘八百ならべる女の味方にはけしてならん

ただ…少し言うのであれば彼女の泣きそうになった顔がみたいなあ…とは思ったよ?

でも、それで彼女に嫌われたくはないから黙ってきいていた



その卒業パーティーの当日。

俺は生徒会の仕事で忙殺され彼女をエスコート出来なかったが、兄がエスコートしたらしい…ズルい

それもこれも生徒会の仕事放り出して女といちゃつく頭の悪い馬鹿のせいだ


先に会場入りしたのは彼女で、俺は後から入る形になった

そのダンスホールで壁の花になっていた彼女

兄達に動くなと言われてるのか退屈そうでこの時とばかり近づいて…と思ったら頭も身持ちも軽い女が邪魔してきた

しかも頭の悪い連中の中に入ってしまった


面倒。


それにつきる。全く、俺は生徒会の仕事放り出していたお前らの仕事してきて彼女のエスコート出来なかったんだからな!

あとで、確実にあの兄達にお説教食らうんだからな俺が!

なんであんな女がいいんだろうとふと考えていた


まるで術をかけられているような…


これは父王に要相談だな

にしてももっとマシな理由がないのか『転ばされた』『お茶をかけられた』だのそれくらいしてくれれば俺もこんなに悩まなかったなあ


やるわけ無いだろう彼女が


自分で言うと情けないが周りが、頭の悪い見た目だけの底の浅い連中

比べ流石辺境伯の娘

言葉は地が時々出てるのは仕方ないがよっぽど彼女の方が倫理的だ

ほんと、なんで分からないかな


欠伸が出るよ


すると呆れながら彼女が睨み付けてきた

…おや?


試しに近寄ってみるか


するとまるで当たり前のように彼女に掛ける言葉が出てきた


彼女…サフィも思い出してくれたようだ

糸も見えるらしい虚空を見つめてため息を付く


残念だね、運命の絲は結ばれていたのだから逃げられないよ


サフィの頭を撫で付けながらこの事態の収拾をどうするか考えていた


顔を赤くしながら黙って撫でられる彼女の可愛らしさは俺だけが知っていて良いと思う

むしろ見るな減る


なんか頭の悪い見た目だけの底の浅い女が騒いでいたけど結局は誰かが通報したらしい

騎士が煩い連中全員連れていった


「さて、俺達も、帰るか」


「帰るとは?私はお父様へ報告しなければならないのですが?」


「大丈夫だ、辺境伯も父王もサフィが思い出してくれたら結婚を認めると言う話がまとまっている」


「はい?」


「明日には正式に結婚の日取りが決まる筈だ」


逃がすわけ無いだろう?やっと思い出してくれたのに

まあ、思い出さなくても日時は決めていたけど


1日だって待てないんだ

辺境伯はしぶしぶだったが父王はサフィの可愛らしさに『早く娘になって欲しいなあ』とか言っていたし母上は兄上の婚約が内定してないからか早く女の子が欲しいと言っていたし兄上は国が家族と考える立派な皇太子だ

実際は妹が欲しかったらしいので、問題なし


外堀はがっちり埋めさせてもらったから

イヤー式が楽しみだ!


その後は一年後には式をあげられるのだが、どうも興味がないらしくちょっと意地悪して頭の悪い見た目だけの底の浅い連中がどうなったかを親切丁寧に事細かに話したら泣きそうな顔していて幸せを感じた


ちゃんと可愛がって居るけど泣き顔も好きだから仕方ないよな


一番は俺のそばで笑ってるサフィを目にしたら幸せ以外の何モノでもないよね

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