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【瀬野 大和視点】

よッス、俺の名前は瀬野 大和。

仕事も恋愛も順調なイケイケ男子!…な筈だったが突然フラれた一昨日の夜。


他に好きな人が出来たのごめんネ☆と超軽く言われた時の衝撃はまさにウルトラ級だ。語尾に☆が見えた時は気を失いそうになったぜマジで。


男のくせにフラれた事をいつまでもネチネチネチネチ考えるなよウザい女々しいって?ふっ…言ってくれるじゃねぇか。


だから水族館に来たんだよ!この日であいつとの事はおさらばだ!


あばよって夕日に叫んでやる!!



(…そんな感じで今日は俺の傷心を癒す為のお出掛けだったんだけどな。目的変わってね?)



何故か轟と二人で来た水族館なのに、安心院編集長がチャラい男達に絡まれそれを轟が撃退した後から一緒に四人で行動する事になった。


ん????????


魚を見ながら轟とココさんって男は安心院編集長の事でネチネチ言い合っている。

それを呆れて見る安心院編集長と写真を撮る俺。


イケメン同士って何でこうも写真が華やかになるのだろうか。平凡顔の俺からしたら生涯の謎だ。


つか、ココさんって人…どっかで見た事があるような?どこだっけ?



「今日は君にとって色々と大変な日だったろうに巻き込んでしまってすまなかったな」

「いやいや、全然問題ないッス。むしろ、この状況を結構楽しんでるんで結果オーライッスよ」

「ありがとう。瀬野君が楽しいのならあの馬鹿二人の言い合いも少しは為になるな」



轟が大好きな安心院編集長。


今日初めて話したけど、この人凄ぇ格好良い。

男の俺でもその格好良さに痺れるんだから女子なんかもっと凄いだろうな。


凄腕の編集長でめっちゃモテる人としか認識してなかったけど…こりゃ確かにモテるわ。


綺麗だし優しいし面白いし。完璧じゃね?


話しやす過ぎて俺の彼女とのフラれ話まで話しちまったし。それをサラッと励ましてくれる安心院編集長…超格好良い。


それに美形は何着ても似合うって言うけど安心院編集長もそれにバッチリ当てはまってる。

水族館のロゴTシャツを着てもなお輝きが失われないってヤバい。


ココさんとのペアルックは美男美女カップルそのまんま。それを言ったら轟に殺されるから絶対に言わねぇけど。



「俺達の方こそ安心院編集長達の貴重なデート中にいきなり突っ込んですいませんっした」

「何度も言うがこれはデートではないからな。朝から私の家にココが押し掛けて来て成り行きでこうなっただけだ」

「それ轟にまた後で言ってあげて下さいッス。あいつ安心院編集長の事、あれでもかなり気にしてると思うんで」

「ふむ、また言うのか?そんなに私達はデートしているように見えるのか…」



んーこの反応は全然意識されてないって感じか?


轟君、貴方もうちょい頑張らないとヤバいぞ。

やっぱ親友としては目の前で友がフラれるの嫌だしな協力してやんよ。あぁ、俺って良い奴。


…………自画自賛かよウケるって今言ったか思った奴、出て来いや。


良いんですぅ自分で自分を褒めたって何の罪にもならないから良いんですぅ。



「はぁ…貴方と話していると疲れて禿げてしまいそうデス。ワタシが禿げたらどう責任を取ってくれるんデスカ?」

「そのまま禿げてしまえ」

「?!貴方は常磐と同じ悪魔デスカ?!」

「誰だよそれ!!」



タコの水槽の前で禿げる禿げないの話をしている二人を写真に納めていると、ココさんが珍しい眼鏡の上げ方をした。


普通は人差し指か中指で眼鏡のブリッジを上げるけどココさんは小指で上げている。


小指でブリッジを上げてる人初めて見た。



「…っ、」

「安心院編集長?」



隣にいる安心院編集長が息を呑んだのが分かった。その視線はココさんを見ている。


さっきまで普通だったのに急にどうしたのか。


肩を叩いて呼び掛けると明らかに動揺している安心院編集長。

俺はすぐ近くにあった自販機でペットボトルの水を買って安心院編集長の首に当てた。


冷たさにビクッとする安心院編集長に笑い掛け、俺は後ろにあったベンチを指差した。


取り敢えず落ち着くのが一番だろうとなる。


座って水を一口飲んだ安心院編集長は深い溜め息と一緒に頭を抱えた。



「瀬野君には迷惑を掛けてばかりだな…こうやって落ち着く時間をくれて助かった。ありがとう」

「気にしないで下さいッス。俺も安心院編集長に彼女との事を励まされて助かったんで、おあいこッスね」

「ふっ…そうだな。おあいこだ」



話したくない内容の話なのかと思い、何も聞かずにいると安心院編集長がポツリポツリと少しずつ話してくれた。


ココさんが苦手なのではなく、あの眼鏡の上げ方が自分がトラウマを持つ人物の癖と同じだったらしい。


驚いて動揺したと言った安心院編集長はさっきまでの格好良さからは離れた弱々しい笑みを見せてきた。



「何かまたあったらいつでも俺に相談して下さいッス。酒でも何でも付き合いますよ」

「それは心強い。だが、そこまで部下に迷惑を掛けられない」

「俺が安心院編集長を放っておけないだけッス。だから、はい。これ俺の連絡先ッス」

「…良いのか?これでも私はかなり酒には強い人種だぞ?」

「俺も今日はテキーラ飲むつもりだったんで、望むところッスよ!」



さっきよりも元気になった安心院編集長と連絡先を交換していると、俺達がいなくなった事にやっと気付いた二人が戻って来た。



(安心院編集長と飲みか…めっちゃ良いな。)



携帯に登録した安心院編集長の連絡先を見て俺は頬を弛めた。


親友の恋も大事だけど、目の前に困った女性がいたら助けるってのが男だろ?

轟には今度、連絡先交換した事を自慢しよう。


ボコられそうだけど取り敢えず自慢だ。


だってあの安心院編集長の連絡先だぞ?皆の憧れの安心院編集長だぞ?


轟に想い人に関する隠し事をしたくないってのもあるけど自慢したいってのが一番。



(どんな反応すんだろーな…ぷぷ、楽しみ。)



二人に詰め寄られている安心院編集長を助けるべく俺は椅子を立ち上がった。

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