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譲れないもの

かなり短いですが章終わりなのでご容赦下さい。

翌朝。9時の鐘で目が覚める。大分寝坊したな…。

俺が鎧戸を開けるとマリカものそのそと起き出した。精霊組は今日はディーネの番のようだ。


昨晩は結局マリカの後でディーネとランディの分まで順番を回してしまった。

念願のハーレム状態という事実につい張り切りすぎてしまったようだ。


遅めの朝食を取り城から迎えの馬車が来るのを待つ。


昨日の様子からしてドロシア王女は俺に婿入りを要求しているが、それでは完成へ第一歩を踏み出したばかりのハーレム計画はご破算である。


俺は今日自分が精霊騎士であることを明かし、逆要求をしてみるつもりだ。

俺が欲しければ俺のものになれ、ということである。


ドロシア王女がこの要求を呑むかどうかは未知数だが、やるしかない。

男には譲れないモノがあるのだ。




…王城の待合室でドロシア王女を待っている。全身甲冑を着たディーネは立ったままだ。


20分ほど待つと王女が入ってきたが、今日はいつものドレスアーマーではなく高そうな紫色のシャツとスカートだった。

あの胸は天然か? だとしたらとんでも無い隠し玉だ。


「お待たせ。早速だけどお金の話を先に済ませてしまいましょう」


そう言うと後ろに控えていた執事が金貨が詰まっているであろう革袋を恭しく差し出してきた。


「共同とはいえ貴方達3人は黒騎士12人を倒す際に決定的な働きをしたわ。報酬として白金貨9枚分を与えます」


ちなみに白金貨6枚と金貨30枚だそうだ。俺は数を確認するとアイテムボックスへ放り込む。


「はい、確認しました」

「それで、そろそろ聞かせてくれるんでしょうね? 貴方達の正体」


おや、向こうから切り出して来たか。正直助かった。


「ええ、王女殿下にはお伝えします」

「あらやけに素直ね。しらを切るかと思ったけど」

「下手に隠すより打ち明けた方が何かと都合が良いと思いましたので」

「私を利用する気? まあいいわ、聞かせて貰いましょうか」

「俺は精霊騎士。マリカは精霊の巫女。クルスはホムンクルスです」


静かな部屋にがちゃん、と無作法な音が響いた。

王女が手に持っていたティーカップをテーブルに落としたようだ。


「…まあ大体予想通りね」


本当かな? 本当に本当かな? 若干手が震えてませんか?


「クルスには水の精霊が宿っています。見えていないでしょうが、風と土の精霊もすぐ側におります」

「アインの足場を造ったのは土の精霊の力ね…。貴方が楔形の化け物に取り付いた時は風の精霊、マリカの規格外なウォーターショットは水の精霊と…。色々と納得が行くわ」


流石は王族かつダンジョンマスター。心を乱したのはほんの一瞬か。


「俺の精霊甲冑とマリカとホムンクルスの間で精霊を入れ替える事で出来る事は変わってきます」

「戦闘中にってこと? とんでもないトリオね。それにしても貴方の草臥れた鎧が伝説の精霊甲冑とは、ちょっと信じられないわ」

「間違い無いわよー。あれほど居心地良く我々精霊が宿れる依代は他に存在しないわー」

ディーネがフォローに入る。


その後ウインディとランディをホムンクルスに宿らせ、顔と体の変化を見せる。

ついでに誰も入っていない状態も確認して貰った。


「文献にあった特徴と合致するわ、本物みたいね。それにしてもボス部屋の奈落の底に隠し部屋とはね。ずっと前のダンジョンマスターが隠したのかしら」


他人にばれずにダンジョンに細工をするなどダンジョンマスター以外に考えられないし、ボス部屋だけは地形をいじる事が出来ないそうだ。

ほぼ間違い無いだろう。


「世界樹へ着いた後はどうするの?」

「それは着いてみないと分かりません。大精霊様からは世界樹へ向かえとしか聞いていないので。ただ太陽を陰らせている原因をどうにかするのが目的なのは間違い無いでしょう」

「大精霊様から加護を受けた伝説の精霊騎士か…。変わっているとは思ってたけどこれは極めつけだわ。でもこの異常事態を解決する鍵になるなら文句は言ってられないわね」


金髪碧眼の王女はジト目で俺の顔を真っ直ぐ見つめた。

酷い言われようである。昨日は私の男になれとまで言って来たのに。


「そうそう、私のアインになる話忘れないでね? マリカ以外にも何人か増えたって構わないわ」

「というかなんで俺なんですか? 王女なら男なんて選り取り見取りでしょう?」


普通王女様といえば大貴族や他国の王族との政略結婚に利用されそうなものだ。

しかし話を聞いてみるとダンジョンマスターとなったドロシア王女は名実共に将軍なので、そこらへんのしがらみから解放されていた。

ダンジョンマスターの座を譲った後は自由に婿を選んで良いと父である国王の言質も取ってあるのだという。


「これでも人を見る眼には自信あるのよ? ただ強いだけの男や顔がいいだけの男は掃いて捨てるほどいるし、王族である私にはお金も必要ないわ。貴方は顔は普通だけど発想が奇抜で実力もある。今まで会った事の無いタイプだったから、一緒に居れば退屈しなさそうだと思ったのよ。…伝説の精霊騎士だったのは正直驚いたけど、結果オーライね」


一部気になる意見があったが決意は固いようだ。であればここは素直に俺の考えを白状しよう。


「実は俺、夢がありましてね。短刀直入に言えばハーレムを作りたいんです。前に居た所では基本的に一夫一妻だったので」

「ふうん、うちへの婿入りじゃなく貴方のハーレムに入れって事?」

「そうです。そういえば口に出すのは初めてだったな。マリカ、ウインディ、ディーネ、ランディ、皆構わないか?」


「私はサンディオで買って貰った時から覚悟できてるよ」

「ふむ、お前は私が付いていないとやっていけんだろうし、構わんぞ」

『私もタイヨウちゃんならいいわよー』

『私もです、タイヨウ殿。貴方にはそれを成すだけの力があります』


ドロシア王女はしばし思考の海に沈む。


「…私を第一夫人にするなら良いわ」


皆に聞くと全員異議は無いようだ。決まりだな。

ドロシア王女は諸々の準備のため行動を開始するそうだ。

俺はさっさと精霊騎士としての仕事を終わらせるとしよう。

目指すは世界樹だ。

ハーレムのためなら世界の一つや二つ、パパっと救ってやらぁ!

これにて第二章終了です。

閑話等は無しで明日から第三章の投稿を開始します。

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