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ちょっとぬけてる槌使いが戦いへ  作者: CHITA
第一章
6/46

初心者からしたら周りの経験者は全員かっこよく見えるよね

 

 私は受付のお姉さんの案内の通り、沢山の掲示板が並ぶ大部屋を通りぬける。

 つい、きょろきょろと右へ左へと視線を向けると「すごい、すごい!」と私のボキャブラリーの問題もあるが、すごいという簡単な言葉を何度も口から漏らしてしまう。まるで日本にはいないだろうがっちりとした筋肉質の体形の男性が170cm以上はあろうかという大剣を背負って、パーティの仲間と会話している。きっと私の身長よりも大きいあの大剣を軽々と振り回してオークやミノタウロスといった様々な敵を切っていくのだろう。


 なんて考えていたら掲示板の大きな部屋をあっという間に通り抜けてしまった。私の目の前には奥に行く通路と、地下へ向かう階段がある。壁に貼り付けられた案内には、

 『奥、武具庫』 『地下、修練場』

 という文字。きっと地下の修練場という場所はいかついおじさんや魅惑的なお姉さんがモンスターと戦っていくためにトレーニングをする場所なのだろう。


 私は案内の看板を見て奥へ進み、何度かの看板の案内の通りに右へ左へと通路を曲がっていく。しばらくするとカウンターの時と同じような行列が出来ている大部屋へとたどり着く。玄関入ってすぐのカウンターでは多種多様な武器や服装を着た人たちが並んでいたが、ここでは一つだけ共通点があった。恐らく、ここはプレイヤーのみが訪れる場所なのだろう。というのも、目の前には白いシャツにこげ茶のズボンという似た服装の集団が列を成していたからだ。かく言う私も周りと同じ服装をしている。

 沢山のプレイヤーがカウンターへと並んでいるため、奥の方を見るといくつかのカウンターで右へ左へとせわしなく案内している受付の人が見えた。


 ちらっ、上の方に視線を向けると天井から『武具庫』という看板がぶら下がっている。武具庫という看板がぶら下がっているが、見た感じカウンターの周りには武器らしい武器が見当たらない。別の場所に置いてあるのだろうか?



 ここでもしばらく待つようなのできょろきょろと周りを見ていると、この行列がまるで宗教団体のように見えてくる。


 私たちは白いシャツとこげ茶ズボンを愛する、庶民教です。私たちは常に白いシャツとこげ茶ズボンを愛し、タンスの中には10着以上のこやしを常備しています。汗で汚れても、変わらない白さ。泥で汚れても色が変わらないズボン。世界の奥様は目に涙を浮かべることでしょう。皆様もぜひ白いシャツとズボンをはきましょう!今入信された方には白いシャツとこげ茶のズボンを差し上げます。さぁ今こそ庶民教へ


 …なんかカビが生えそうな宗教だなぁ、と想像しながら私は順番を待ち続けた。

 


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