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ある少女のブログ  作者: @naka-motoo
13/44

第13話 わたしの、本質

 物語のようには話せなかった。

 動詞を極力排除して語ったのは次の内容。

 文字通り、箇条書きのように喋った。


・ 給食の野菜スープの鞄への流入


・ 排泄物と汚物を掛け合わせたあだ名


・ 頭頂部への唾液の垂れ流し


・ 自閉症男子とのキスの強要


・ 石の投擲


・ 攻撃を伴う無視


・ 自殺の強要



「自殺の、強要?」


「わたし、飛び降りたんだ」


「どこから?」


「北アルプスの、3,015mの頂上から」


「え?」


「わたしの小学校、精神修養のためか、6年生の夏に登山するんだよね。比較的登りやすい山なんだけど。頂上に神社があって。頂上のスペースは狭いから10人ぐらいずつの塊で入れ替わりで参拝してる時、いわゆるスクールカーストの頂点の子がね」


「・・・・」


「早く、死ねよ、って」


 わたしはほとんど氷水となったアイスコーヒーを飲み干してから続けた。


「飛び降りたんだ」


 わたしは、薄く笑う。


「断崖絶壁に見えたんだけど、傾斜は30度ちょっとで、20mぐらい滑落して止まった。手足は傷だらけになったけど。ほら、ここ」


 いっ、と右唇を指で横に引っ張る。


「口が裂けちゃったんだよね、この傷。また変なあだ名、つけられるところだったよね」


「あだ名、大丈夫だったの?」


「うん。そのまま病院通いで学校には来なくていいってことになったから。わたしの行った病院てどこだと思う?」


「外科・・・総合病院?」


「精神科」


「精神科・・・」


「うん、もちろん外科にも行ったよ。その後でね。クラス全員で、”あいつ、何もないのにいきなり飛び降りたんだよ。こえーよ”、って言ってたんだって。わたしは黙って医者の促すままに精神科へまわされた。重度のうつ病だ、って診断された。一週間入院して、あとは卒業まで一度も学校に行かずに済んだ」


「薬とか、飲んでたの?」


「うん。でも、スクールカーストってうまい造語だよね」


「そう?」


「だって、”解脱”、してる人もいるからね。それで、甲子園行ったり、東大受かったり、ボランティア活動したり、前向きに社会的に評価されてる人は決して攻撃の対象にならない。まあ、”解脱者”、へのひがみだけどね」


「違うよ」


「え?」


「”解脱”、の訳語は、”傍観”、だよ」


「・・・ありがとう」


 屈折、してる。


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