第5話 運命襲来 中編
いやぁ〜時間が掛かってしまいました。
申し訳ございません。学校も始まり、新しいネタなどが浮かんできたため、編集し直すハメに(´°ω°`)↯↯
これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします
「あ''あ''ぁ''!!!」
急に男が刃物を持ち、襲いかかってくる。
「・・・えっ?」
男が狙ったのは・・・雛だ。
「あ''あ''ぁ''じね''ぇ''!!!」
「き、きゃ〜!!」
「雛ッ!!」
「雛さん!!」
雛の体に刃物が突き立てられる。
その瞬間、龍威の頭の中は真っ白になった。
真っ白になった後、視界が真っ赤に染まる。
「てめぇ!!」
『身縮』を発動し、更に『縮地』まで使って一瞬で相手の懐に潜り込む。
その勢いを乗せて相手の鳩尾に拳を叩き込み、顔を思い切り蹴り飛ばす。
「ぐあ''あ''ぁ''」
男は殴られ、蹴られた瞬間、何が起こったか分からなかっただろう。
それどころか、懐に潜り込まれた事にすら気が付かなかっただろう。
ただ、男が出来た行動は血反吐を撒き散らしながら吹っ飛ばされることだけだった。
「殺す!絶対にオメェは許さねぇ!!よくも!よくも雛をッ!!」
「お兄ちゃん!!それより雛さんでしょ!!」
亜弥香の声で正気に戻る。
「ひ、雛!意識はどうだ!?眠たくなったりとかしてないか!?」
「ゴ、ゴホッ・・・あ、あは、は・・・。わ、私は大丈夫だよ・・・傷は、そんなに深く、無いからね・・・ゴフッ!!」
血を吐きつつ、そう答える雛。
「馬鹿野郎!無理に喋んじゃねぇ!亜弥香!救急車は呼んだのか!?」
「呼んだ!ここから近いから3分くらいで来るって!」
「分かった!頑張れ、頑張ってくれよ雛!後少しで救急車が来てくれる筈だ!」
手を握り、声をかけ続けて雛を励ます。
励まし続けていると、救急車が来たらしい。
いつの間にか集まってきていた野次馬を、救急隊員が
押し退けてコチラにやってくる。
そして、雛を見て表情が険しくなる。
「おい!急げ!腹部を深く刺されている!」
「分かった!行くぞ?せーのッ!」
担架に乗っけて掛け声を発し、タイミングを合わせて持ち上げる。
「雛を、頼みます!」
「雛さんを助けて下さい!」
「全力を尽くします」
そう隊員は言って救急車に雛を乗せていった。
そして、救急車は病院に向かってサイレンを鳴らし、猛スピードで行ってしまった。
それを呆然と見ていると、
「すいません、当事者の方たちですね?事情をお聞かせください」
声をかけてきたのは警官だった。雛の事で気を取られていたためか、全く気付かなかった。
「え、ええ。分かりまし「パーン・・・」え?」
「お兄ちゃん!!」
亜弥香が叫ぶようにして俺を呼ぶ。
返事をしようとしてると銃声のような音が聞こえた。
そして、胸の部分が異様に熱い。気になり、見てみると制服が真っ赤だった。
視認すると今度は寒気が襲ってきた。
(俺は撃たれた?誰に?警官か?)
呆然と考えてみるのが、警官は驚愕していて、動いた素振りは全くない。何故なのか、何故撃たれているのか混乱していると、声の主でその疑問は氷解する。
「く、はは、ハッハハ!ざまぁみろ!俺をこんな目に合わすからだ!」
「グハッ・・・!」
声の主は襲ってきた男だった。その手にはナイフではなく、拳銃が握られている。
拳銃を持つ手を見た後、顔を見て疑問を持つ。
先ほど顔を蹴り飛ばした時に折れた鼻は治っているように見えるからだ。
「何故?何故お前は治ってるんだ?」
「アァ?知らねぇよんなこたぁ!俺には不思議な力があってよ、怪我してもすぐに治るのさ!」
「動くな!拳銃を下ろしなさい!さもなくば撃ちます!」
警官が男に警告するが、返答は、「パーン!」1発の銃弾だった。
その銃弾は警官の眉間に当たり、警官は即死した。
「うるっせぇなぁ・・・。今コイツと喋ってんだろうが、邪魔すんなや」
男は、心底ウザったらしそうな表情で言う。
「お前・・・何にも思わないのか?」
「アァ?何がだよ?」
「人を・・・殺しても何にも思わないのか?」
「あんなゴミ殺して何が悪い?ありゃ害虫だろ?害虫。ギャハハハハ!!」
自分は祖父から武術や忍術を習っている。その中には人を殺す技も含まれている。
だからこそ、人を殺すと言うことは何か。
その事を深く考えさせられる。
それ故に、この男の考えに衝撃を受けた。
「このゲス野郎!!」
「アァ?んなこたぁ言われなれてるから何ともねぇぜ?それよりもよぉ〜、なんでてめぇはまだ生きてんだ?心臓に銃弾ぶち込んだはずだが?」
男の言う通り、銃弾は心臓を貫通していっている。
普通ならとっくにくたばっているだろう。
俺がまだくたばっていないのは、自分で動かしているからだ。
「確かに、銃弾は心臓を貫通した。それがなんだ。心臓が動かなくなる?だったら無理矢理自分で動かせばいいだろう」
「・・・このバケモンが!」
バケモン、確かにそう言われても仕方ないだろうが、心臓をコントロールすることは祖父直伝の身体操作術では基礎の基礎なのだ。
男を蹴り飛ばす際に使った『身縮』にしても、血流を早くするためにはポンプである心臓を操作しなければすることなど不可。
俺と祖父にとっては造作もないことなのだ。
「俺は多分、この後死ぬだろう。だが、1人では死なん。お前を道連れにしてやるよ。亜弥香離れておけ」
「・・・分かった」
「お別れはすんだか?道連れ、やれるもんならやってみろや!」
そう言い、拳銃を俺に向かって乱射する。
俺は銃弾を避ける為に『強識』を使う。
コレは視認能力を強化、脳の処理能力も強化するものだ。
そして『身縮』も使う。先程と同じように懐に潜り込むのが目的だ。
そして、体勢を低くする。
男は、それでこっちの考えを読んだのだろう。ナイフを下の方で振り回し始める。牽制のつもりのようだ。
それでも簡単に潜り込めるが、裏をかくことにする。
「いくぞ?」
「こいや!」
返事を聞いた瞬間、男の真正面に向かって駆け出す。
そして、男との距離が1mをきったときに地面を強く踏み込み、空中に向かって飛ぶ。
「アァ?何のつもりだ?撃ち落としてくれとでも?」
「残念だが、撃ち落とすのは無理だろうな」
「おもしれぇ、撃ち落としてやんよ!」
そう言うと早速とでもばかりに拳銃で撃ってくる。
が、空中を蹴って方向転換。
男の右側にいき、拳銃を持っている方の肩を掴んで脱臼させ、肘を壊す。
「ぐ、あ''あ''ぁ''」
痛みに叫びつつも左手に持つナイフを振るう男。
再び空を蹴ってナイフを回避。そして、左手も掴み肘を破壊。手首もついでに壊しておく。
「ぎゃあぁぁぁ!!」
両手を使えなくなった男が叫ぶが追撃の手を緩める事はしない。また治ったら面倒だからだ。
そのまま、頭を手で挟むように
「それじゃ、この世界からお別れの時間だぜ」
「や、やめ''ろ''ぉ''」
男は叫ぶ。そして今更のようにもがくが、遅かった。
頭を思い切り捻って首の骨を折る。
男は、痙攣し、しばらく経つと脱力。
男は、死んだ。
「・・・お兄ちゃん」
「ごめんな、亜弥香。俺は人殺しになっちまったよ」
「・・・馬鹿」
「本当にごめんな・・・ゴフッ!!」
大量の血を吐く。無理矢理動かしていた反動が今来たようだ。
力が抜けていく。それと同じくして視界も閉ざされていく。
「ごめん、な・・・」
そう謝ったと同時に視界が完全に閉ざされた。