第2話 幼馴染み襲来
うん・・・夏休みなのに勉強しないといけないのはなんででしょうか・・・。
受験でもないのに・・・。
まぁ、資格取るための勉強だから受検なんですけどね(;¬∀¬)ハハハ…
リビングと廊下を隔てるドアを開けて入った途端声をかけられた。
「あ、やっと起きてきたのね!」
声をかけてきたのは隣に住む幼馴染の、緋想 雛だ。容姿は背が小さく、胸が大きい。そう、ロリ巨乳な可愛い系の美少女である。
性格は・・・良家のお嬢様のような感じを演じている悪戯好きで、活発。演じているのとは正反対の性格だ。俺はコイツの影響で妹が悪戯好きになったのでは、と疑っている。絡まれると途轍もなく面倒臭い。
故に、無視する事にした。
「ねぇ、無視?無視なの〜?お〜い?」
・・・無視だ、無視をするんだ。絡まれたら厄介だ。
「ねぇ、私の事嫌いなの?ねぇ・・・嫌い、なの?」
そんな、上目遣いで目をうるうるさせながらコッチを見るなよ。
なんか罪悪感を覚えちまうじゃないか。
む、無視をしなければ・・・しないと相手の思うつぼだ。
「う、うぇ・・・うぇ〜ん」
とうとう、泣き出してしまった。
「お、おい。泣くなよ・・・ちょっと意地悪しただけじゃないか」
「なんで、意地悪、するの?ヒック、ヒック」
「いつも絡まれる時は、大抵何かあるから」
「そんなに私、信用ないの・・・?」
うわぁ・・・面倒くせぇ・・・。
「今、面倒臭いとか思ったでしょ・・・?」
「い、いや?そんな事はないぞ」
「お兄ちゃん、サイテー」
なんてこった!妹までも絡み出した!
「ねぇ、お兄ちゃん?女の子を泣かしたんだから、何かしないといけないんじゃないかな?」
「う、確かに・・・」
とりあえず、頭下げるか。
「ほらほら、早くしないと面倒になるよ?」
既に面倒な事態だわっ!!
「ご、ごめんな?今度何か奢るから許してくれよ」
「・・・本当に?」
「あ、ああ。本当だ」
「男に二言無し?」
あ、ちょっと嫌な予感が・・・。
「あ、ああ。勿論だ」
「そう、なら許してあ・げ・る♪」
頭を上げてみるとニタァ〜と笑った顔が二つ。幼馴染みと妹の顔がまるで獲物を見つけた猫のようだ。
(やっぱり嵌められていたか・・・)
「か、顔が怖いぜ?」
「これは元々ですけど何か?」
「そ、そうか?」
「ええ」
「ねぇ、お兄ちゃんいい加減ご飯食べてよ。ご飯冷めちゃうじゃん!」
俺のせいじゃなくないか?
「お前の仕組んだことだろ?」
「何言ってるのかしらこの愚兄は・・・」
おのれぇ・・・。
「まぁ、いいや。飯食うぞ」
「そうね、食べましょう」
猫被りが同意する。
「いや、なんでだよ?!」
「なんでって何で?」
「いや、普通に食べてきてると思ったからね!」
「別にここで食べてもいいじゃない。亜弥香のご飯美味しいし」
「いや、美味しいけどもね?常識的に考えれば分かるだろ!」
ちなみに、亜弥香とは妹の名前である。
「とある偉大な御方はこう仰ったわ。『常識に囚われてはいけないのですね』と・・・」
「それは確かに現人神の言葉だけどもね!ここは幻〇郷じゃないから!!」
「さぁ、ご飯食べよう!」
「俺のツッコミは無視か!」
「「え?」」
それが当たり前じゃないの?とばかりに不思議そうな顔をする2人。
「もう、泣いてもいいかな・・・」
「うわ、なんか独り言を言い始めたわよコイツ・・・。どう思う亜弥香ちゃん?」
「ええ、端的に申しますと・・・キモイです」
「グハッ・・・」
もうやめてっ!俺のライフはもう0よっ!!
「と、まぁ、お兄ちゃん弄りはここまでにしてご飯食べましょうか、雛さん」
「そうね、食べましょうか亜弥香ちゃん」
何なのこいつ等・・・。人の心をズタズタにしやがったくせに・・・。
「あ、お兄ちゃん。さっきも言ったけど、お祖父ちゃん呼んでるからね?ずっと道場でスタンばってると思うよ?」
「それを先に言えよ!」
「起こす時にも言ってたはずだけど?」
確かに、なんかそんな事を言っていた気がする・・・。まぁ、あの蹂躙で消し飛んでいた可能性が高いが。
全ては後の祭りである。
「・・・俺、オワタ・・・。早く食って行かんと更に怒られるし・・・いただきます!」
基本的に温厚な祖父だが、怒らせると途轍もなく怖い。(温厚な人程、怒る時は怖いというパターン)本人が忍者の末裔だかなんだかで、キレるとクナイが飛んでくる。手裏剣の場合もあるが。
それに当たるとまず、怪我をする。当たり前だ鋭く研いである刃物を投げるわけだ怪我をしない方がおかしい。と、まぁ、そんな事は置いておいて、飯を口に詰め込んで食っていく。
「ハグハグ、モグモグ、むしゃむしゃ・・・。ご馳走様でした!!」
「は〜い、お粗末さまでした」
そんなのんびりとした妹の声を聞きつつ、道場に向かって必死に走っていく。
家の敷地は大体1000坪。俺達が寝泊まりしている母屋から道場まで直線で50mほどの距離がある。
しかし、実際には木を植えている部分があるため、迂回しなければならない。
「今日くらいは飛び越えていっても良いよな?・・・いい筈だ」
そう決め込み、『身縮』を使う。
これは、体の血流を一時的に強くし、身体能力をブーストさせる技だ。ワン〇ースの主人公のアレを思い浮かべてもらえば分かり易いだろうか?まぁ、一時的とはいえ、その身体能力のブーストは途轍もなく上昇する。
例えば、軽くジャンプするとすれば10mくらい跳ぶようになる。
まぁ、アレだ。超人になるんだ一時的に。
スー〇ーマンに。
とりあえずソレは置いといて、
「とうッ!」
掛け声を上げて思い切り地面を蹴る。
2m程の高さの木を跳び越えて、着地。
体操選手のような着地ポーズを決めていると、クナイが飛んできた。