第1話 妹襲来
「お兄ちゃん起きて〜、ねぇ〜起きてってば〜。起きない場合は、イタズラしちゃうぞ♪」
誰かがドアの外から俺を起こそうとしている。多分妹だろう。だが、俺はさっき見ていた夢がとても気になっていたので、もう一回寝たら見れないか考え、寝ることにした。返事もすることもなく。それが悲劇を産むことを知らずに・・・。
そのまま俺は寝ようと思ったのだが、基本的に一度目が覚めると寝れない体質だったのを思い出した。けれど、季節の影響だろうか、直ぐにウトウトしだした。
ちなみに、季節は冬。部屋にエアコンはあるが、暖房を付けてないので寒い。けれど、布団の中はぬくぬくしているため、布団の外に出るのも億劫になる。
(コレは仕方ない事なのだ。ふゆであることが悪いのだ。うん、きっとそうに違いない(`・ω・´)キリッ)
そんなことを心の中で言い、免罪符にしているとドアが開く音がした。
そして、蹂躙が始まった。
「ねぇ、起きてって言ったよね・・・?」
妹の声は極寒の南極大陸に吹く風のように冷たい。それを聞いて、俺の中の警鐘がけたたましくなり始め、起きようとしたが遅かった。
「起きろっつんてんだろうがこのゴミ虫がぁ!!!」
そう大声で叫びながら、蹴った。
・・・・・・俺の大事な部分を。男の象徴を。
「グハッ!!ウグゥゥゥゥゥ!アァァァ!!」
激痛が走る。
当たり前だ、男性の急所の一部を思い切り蹴られて叫ばない男性はほとんどいないだろう。
本来、蹴るためのものではないのだ。常識だ。
尋常ではない痛みに叫んでいると、妹による非情な追い打ちが襲いかかる。
「うるさいのよ!黙りなさい!!」
「ゴフッ!ゲハァ・・・」
俺の上に立ち上がり、軽くジャンプをして、全体重を乗せたヒップドロップを食らわせてきたのだ。
一瞬で肺の中の空気が押し出され、息がつまる。
悶絶しながら息を整えていると、
「お兄ちゃんが起きないのが悪いんだからねッ!!それと、ご飯出来てるから早く来てねっ」
と、言いつつ部屋を出ていった。
「アイツは悪魔か・・・。いや、きっとサタンに違いあるまい。普通、こんな所業出来るはずないもんな・・・」
着替えつつそう独り言を漏らしていると、
「あ、お兄ちゃん。じいちゃんが飯食べたら来いって言ってたよ?」
妹が何かと言いつつドアを急に開けてきた。
「うわ!」
「何よ、うわって人をお化けみたいに扱って!」
「すまん」
「ん、まぁ、いいでしょう」
先程の独り言は聞かれてなかったらしい。良かったよかっ
「ねぇ、お兄ちゃん?」
「な、何?」
「さっきなんか悪魔とかサタンとか聞こえたんだけど何の話?もしかして私のこと言ってたの?」
バッチリ聞かれちまってらアッハッハッ、ハァ・・・
「なんでもないよ。ゲームの事を考えていたんだ」
「フゥ〜ン、そうなの?」
「ああ、そうだよ」
「嘘ついてたら切り刻むよ?」
「・・・どこを見ながら言ってるんだ?」
「お兄ちゃんの貧相なエリンギを見ながら言ってるけど?」
「貧相じゃないし!エリンギじゃないし!フランクフルト程はないかもしれないけど、大きいもん!!」
「はいはいダウト、それと、今正直に言えば許す」
「はいあなたさまのことをいっておりましたもうしわけございませんどうかゆるしてくださいませ」
「・・・私は悪魔なの?それもサタンのような?」
「そのようなことがあるわけないじゃないですかあなたさまはてんしですめがみさまにきまっておりますそれもアフロディーテやヴィーナスのようなびのめがみにございます」
「当たり前じゃないそんな事。私は女神様なんだからね」
マジで言ってるのコイツ?ヤバイ奴だぜ。確かに美少女だよ?俺の妹は。十人いれば十人とも認めるであろう美少女だけど、自分で女神は無いだろう。
「何か言った?」
「いいえなにもいっておりませんどうかこのいやしいぶためをおゆるしください」
「・・・許してしんぜよう」
「ハハァー、ありがたき幸せ」
「茶番はもう飽きたから、早く来てね。ご飯冷めちゃうし」
そう言ってさっさと部屋を出ていった。
「さっさと飯を食うとするか・・・」
そう独り言を漏らしながら食卓が置いてあるリビングに向かった。