表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺様、神様、創成主!?~いいえ、人間です~  作者: 慧斗
第3章 そして神様を中心に、世界は変わり始める
33/54

第32話 エルの本音


 夜も更けてきた頃。俺が寝ている部屋に、誰かが訪ねてきた。


「……エル」


 暗闇でもよく映える、オレンジ色の髪の毛。


「こんな夜中に何しにきたんだ」


「お礼を、言いに来たの」


「お礼?」


「うん。ドラゴンから助けてもらった、お礼」


「それなら、もう何回もしてくれたじゃねぇか。コートとか剣まで作ってきてくれて」


 それ以上、何をしようというんだ。


「ねぇ、高良。前に、私の家族の話をしたでしょ?覚えてる?」


「…………ああ」


 忘れるはずがない。


「あの時ね、私、狂いそうだったの。目の前で、お父さんも、お母さんも、お姉ちゃんも、みんな死んで。私も大ケガをして。狂って、そのまま自殺しちゃおうとしてた」


 しみじみと語るエル。その目からは、涙がこぼれている。


「そんな時にね、博士が助けてくれた」


「博士?」


 あの、言っちゃ悪いけどよぼよぼのじいさんが?


「博士は、毎日励ましてくれた。傍にいてくれた。色々、楽しいところに連れてってくれて。博士は、私の唯一の味方だったの。博士がいなかったら、今の私はいないわ」


 そう言って、にっこりと微笑む。

 そこまで慕ってたのか、あのじいさんのこと……。


「それは、高良も同じ。高良がいなかったら、今の私はいないもの。良かったわ、あなたを捕まえることが出来て」


 一瞬、何のことだか分からなかった。


「ああ、一番最初に会った時な」


「ええ。あなたがモンスターに食べられそうだったから、助けて捕まえたでしょ?」


 くすくす、とかわいく笑う。笑い事じゃねぇからな!俺、あの時ガチで死ぬかと思ったもん。


「それが言いたかっただけ。ありがとう」


 そう言うと、エルはまた立ち上がる。


「ばいばい」


 エルの姿は、ドアの向こうに消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ