第27話 そして、運命の日
そして、運命の日。
なんとか許可をもらうことに成功した俺は、今、戦場に立っていた。
何度経験しても、戦いには慣れない。でも、今日はくぅとナオもいる。俺がしっかりしないと、こいつらを誰が守るんだ!
「くぅ!」
「ナオ!」
「すげぇ!あのチビたち、モンスターを一気に焼いたぞ!」
「…………」
俺が守られてどうするんだよ……。しくしく。
「って、落ち込んでる場合じゃなかったな」
エルはどこだ。
当初の目的だったエルを探す。あーもう、無駄な兵が多すぎるんだよ!
「いた!」
モンスターを前にして、最前線で戦っている。残像が見えるような剣さばき。モンスターもたじたじで、あっという間に消えてしまった。
「エル!さすがだな!」
「ふふん。高良に言われてから、毎日鍛錬したからかしら」
この調子だったら、エルは死なないんじゃないか。
「おい、またモンスターが出たぞ!」
兵が叫ぶのが耳に入る。またか?まったく、もぐらたたき式に増えていくんだな。
「また?まったく、きりがないんだから。ほら、高良も手伝いなさいよ」
「あ、ああ……」
剣を抜き、持ち上げる。重っ!こんなの、どうやって振り回すんだよ!
「で?次のモンスターはどこなのかしら?」
「そ、それが、ドラゴンなんです!しかも、他の強そうなモンスターも引き連れています!」
「「ドラゴン?」」
またか。まさか、巣を壊されて怒って攻めてきたのか?それとも……
「くぅ?」
ちらり、と頭上のくぅを見やる。子供を奪われた、と思って奪還しに来たか。
くぅはおれの頭の上でとにかく炎を吐きまくり、兵たちからは絶賛されていた。でも、こいつが吐いた炎で俺の頭も焼けてるよな、多分。
「くぅ、ナオ、行くぞ」
二匹を引き連れ、最前線に立つ。うわ、相変わらずでっかいな……。
ドラゴンはとにかく炎を吐きまくり、兵を噛み砕き、尻尾でなぎ倒している。さすがだ。あっという間に、兵が減っていく。
「て、あれ?エルは?」
一緒にいたはずのエルがいない。探してみると、ドラゴンに噛み砕かれた同僚のもとに駆け寄っていた。優しいんだなぁ。
……あ。ドラゴンが尻尾を持ち上げた。あのままだと、エルに当たる。
「エルッ、危ない!」
思わず叫ぶ。でも、傷だらけの同僚に夢中になっているエルには届かない。




