第26話 神様と天使、作戦を練る
作戦その一。
「エル!明後日、なんか食べにいかねぇ?」
「ごめん。明後日はジェラルド博士に呼ばれてるの」
「あ、そ……」
作戦その二。
「エル!実は、明後日モンスターとの戦いがあるんだ!それで……」
「そうなの!?じゃあ、博士には悪いけど用事はまた後日にしてもらって、今から鍛錬しないと!じゃあね、高良!」
「あ、うん……」
作戦その三。
「エル!明後日の戦いに行かないでほしい。これは創世主命令だ」
「兵の私が行かなくてどうするのよ?あんたが何と言おうと私は行くからね!」
「はひ……」
作戦その四。
「エレオノーラさん、明後日なんですけど、ちょっとお願いがあるんです」
「アリシア!悪いけど、その日はちょっと……」
「お願いです!明後日じゃないと無理なんです!」
「んー……じゃあ、戦いが終わったらすぐにお願いを聞くわ」
「ダメです!エレオノーラさんがケガしたりしたら、お願い出来ないじゃいですか!」
「その時はアリシアの力で治してもらうわよ」
「あ、そうですか……」
「あー、もう!作戦全部失敗じゃねぇか!」
「涙目で上目遣いにお願いしたら、軍隊長も仕事サボってお願い聞いてくれたんだけどなぁ……。やっぱ、同性だと効かないか」
「何やってんだ、軍隊長……!」
救護所。アランと俺が必死で練った作戦は全部失敗し、タイムリミットはあと二日になっていた。
「こうなったら、当日にお前が倒れるしかないな、うん」
「それでもエルは戦いに行くって!」
「「うーん……」」
エルは、何があっても戦いに行く気だろう。こうなった以上、もう作戦はない。
「あと一つだけ、作戦があるんだけどな~」
「アラン、それ本当か!?」
「本当だよ。お前もその戦いに行って、エレオノーラを守るんだよ」
「無理だよ……。俺、今外出禁止令出てるんだ……」
「昨日も今日もここに来てるくせに?」
「こっそり抜け出してるんだよ。でも戦いとなればたくさん人がいるだろうし、絶対にバレる」
「あーあ、八方塞りかぁ……」
アランが盛大にため息をつく。実際、どうしようもなかった。
「しょうがない!お前、外出禁止令を解いてもらってこい!それしかない!」
「でも……」
「エレオノーラを助けたいんじゃないの?」
「…………そうだな!頼んでみる!」
「その意気だよ」
アランに背中を押されて、俺は王宮へと駆け足で戻った。




