第22話 チビドラゴン、人間の食事で大はしゃぎ
「これがご飯っ?人間は、こんなにおいしいものを食べるんだねっ!いいな~」
「兄さん、これ、モンスターの肉ですよね?共食いではないのでしょうか」
「あのー、創世主様?こちらの方々は何を言っているのでしょうか?」
「あ、いや、何でもないから。あはははは」
「そうですか」
今日の晩飯は、とてもにぎやかなものになった。
今までドラゴンの食事ばっかり食べてきた二人にとって、ステーキやグラタンは食べたことないんだろう。
「くぅ、ナオ。頼むから、人間じゃないってことがバレるようなことは言うな。共食いとか、モンスターだってことまでバレてんじゃねぇかよ。もしバレたら……」
「殺されるんでしょっ?分かってるって!」
七面鳥にかぶりつきながらくぅがそう言う。さっきユニシロで買ったオーバーオールに着替えていて、上機嫌だ。
ナオもおしゃれな服を着ていて、行儀よくステーキを切ろうと努力していた。でもフォークとナイフに慣れないのか、苦戦している。
くぅとナオは、すっかり森の狩人の長の子供として扱われている。少し世間知らずなのも『ずっと森にいたからだ』とごまかせるから、後々から考えるととてもいい嘘だ。いや、嘘にいいも悪いもないんだけどな。
ちなみに、森の狩人の長ってのは本当にいるらしい。くぅが勝手に洞窟を抜け出して森を散歩してたとき、退治されそうになったとか。まったく、くぅはずっとそんな性格なのかよ。
「創世主様。先ほど言っていた話なのですけれども、このご飯が終わりましたら私の部屋においでください」
あの召使いが、そっと耳打ちしてきた。
「分かった」
とは返事したものの……
「そこまでして、いったい何の話なんだ?」
そこが、なぜかとても気になった。




