第20話 王宮って意外と大きいことを知った
向かう先は、王宮。創世主専用の部屋で、こいつらを買った服に着替えさせよう。それで、くぅには説教だ。あ、でも兵の奴らこいつら飼うことを許してくれっかな?
「あの、お兄ちゃんっ……?」
「なんだ」
「どこに向かってるのっ……?」
「王宮」
「王宮って……あの、王様が住んでる?」
「ねぇナオっ、それってどこなのっ?」
「着いたら分かる」
ふぅ……。これぐらい離れれば、もう大丈夫かな……?
俺は、足を止めると二人に向き直った。
「くぅ?お前、なんであんなこと叫んだ」
王宮で説教って言ったけど、そこまで我慢出来そうにない。
「だってっ……そのっ……ごめんなさいっ」
「ん。言い訳しないのはえらいぞ。許す」
「ありがとっ……」
まあ、くぅは世間知らずなところもあるからしょうがない。ドラゴンなんだし。
「よしっ、もうこの話は終わりだ!この後のことを話す」
「この後って?」
「お兄ちゃんっ、どういうことっ?」
「今から、俺が住んでるところに向かう。そこで、お前らは人間の姿のままでいろよ?兵たちにとって、お前の親であるドラゴンは大敵だ。お前らがドラゴンの子供だと知られたら、殺されかねないからな」
くぅが涙目になる。殺されるのを想像でもしているんだろうか。
「分かったよ、兄さん。僕ら、絶対に人間のままでいる」
「ああ、そうしてくれ。お前らと一緒に住む許可を取るから、大人しくしてろよ?」
「分かったっ!」
「くぅ、お前が一番心配なんだからな」
「はぁい……」
「よし、じゃあ行くぞ!」
えーと、確か王宮はこっちだったはず……。
「兄さん。王宮って、あれだよね?」
ナオが指差す方向を見ると―――大きくそびえ立つ、城の姿があった。
「ああ、あれあれ」
へぇ、外から見るとあんなにデカかったのか。
「えぇっ!今から、あそこに行くのっ?」
「ああ」
「じゃあっ、早く行こっ!」
余程興奮してるんだろう。くぅが俺とナオの手をつかむと、ものすごいスピードで走り出した。




