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第17話 彼女と博士は知り合いでした
『まさか、リオラのあの実験体が逃げ出して……』
不意に、脳内にあのじいさんの声が響いた。それだっ!
確か、俺がエルに捕まって溺れて死にそうになってたとき、じいさんが焦って呟いてた名前だ……!
「なぁ、あのじいさんと知り合いか?」
「あのじいさん、って……?」
あ、そっか。じいさんじゃ分かんねぇよな。
「えーっと……なんて名前だったけな……えーっと……なんとか博士だったんだけど……」
「ジェラルド博士のこと……?」
「それだっ!」
確か、そんな名前だった!
「博士なら、知り合い……。私が、博士の助手を務めてるの……」
「助手?」
「うん……。ジェラルド博士も私も、ドラゴンの研究をしてるから……」
「ふぅん」
「それよりも、早く帰って服を買ってあげるといい……。家に、子供用の服ないでしょう……?」
「あー、まあそうだな。買いに行った方がいっか」
リオラの提案ももっともだ。さっさと帰って、服屋に行こう。
「子供じゃないっ!」
「いや、どう見ても子供だよ」
……後ろの二人の言い合いは置いといて。