第16話 白衣の天使の名前は
「ふぅっ……。ねぇ、なんで地味な服ばっかりなのっ?ボク、もっとかわいい服着たいなっ!」
服借りといて贅沢言うな。
「ごめん……。私、あんまりこの研究所から出ないから、服あんまり持ってないの……」
日本で言う引きこもりってことか。でも、引きこもって研究してるんだったらいいのかな?
「さて、それでなんだが……」
ごほん、とわざとらしく咳をする。三人の視線がこっちを向いたところで、俺は改まって質問を口にした。
「どっちがどっちなんだ?」
雰囲気的に、女の子がくぅだと思うんだけど……
「はーいっ!ボクがくぅだよっ!」
「僕が、ナオ」
なるほど、イメージ通りだ。
正反対の雰囲気をまとった二人は、双子だとは思えない。
「なんて呼べばいいの?高良お兄ちゃんっ?」
「えっと……」
いきなりお兄ちゃんなんて呼ばれると、なんか照れる。俺、一人っ子だし。
「それで、いいんじゃない……?私も、お姉ちゃんって呼んで……?」
「お姉ちゃんっ!」
「ふわぁぁぁぁ……。幸せ……」
隣では、なぜか少女が倒れていた。
「でも、名前を知らないんですけど。なんて呼べばいいですか?」
ナオが冷静に質問する。確かに。
「そうだねっ!まだ名前知らなかったよっ!なんて名前なのっ?」
「リオラ……」
「リオラ?」
「リオラ、お姉ちゃんっ?」
「リオラさん……」
口の中で復唱してみる。リオラ、リオラ……。どっかで聞いたような……。そりゃ、自分が創ったんだから知ってるだろうけど、そうじゃなくてこの世界に来てから聞いたことがあるような……
なぜか、直感がそう告げていた。




