第11話 夢から覚めた神様は
ガバッ
「はぁ、はぁ、はぁ……。嫌な夢見たな……」
今日は研究所に行く予定だっていうのに。
「くぅ?」
「ナオ?」
大丈夫?という風に二匹が見上げてくる。
「大丈夫だよ」
二匹の頭を撫でて、ベッドから降りる。
「創世主さま。大丈夫ですか?寝汗がひどいようですが」
警護の兵士に言われて気づく。そういや、ずいぶん汗だくだな……。うわ、シーツ
べっちょべちょ。
「風呂入ってくる。悪いけど、あのシーツ洗濯しといて」
「御意」
敬礼する兵士の前を通って、浴場に向かう。
洗ってさっぱりしないとな。
そして、研究所にたどり着いた。
コンコン
そっと、研究所の扉を叩く。
「失礼しまーす」
ギィィィィィィ……
古くて頑丈そうな扉が、音をたてて開いた。
「誰かいますかー?」
前に研究所に来た時は命の危機だったからそれどころじゃなかったけど、改めてよく見てみると変なものばかり置いてある。
三角フラスコやメスシリンダー、ビーカーなんていう学校の理科室にもあるものや、見た事の無い変なものまで。
「あ、これは見た事ある。〈ニュートンのゆりかご〉っつーんだっけ?」
マンガで見た。
蒸気をあげるフラスコなんかもあって、研究所のイメージぴったりだった。
「って、見学に来たわけねぇんだった。おーい、誰かいねーのかー?」
叫んでも、何も返事は来ない。広い研究所に反響して、俺の声はむなしく響いた。
「おっかしいな……」
エルが言ってた通りだと、誰かいるはずなんだけど……
「くぅ!」
俺の頭の上に乗っていたチビが、俺の横を指差す。
「ん?誰かいるって?誰もいねぇけど?」
「ナオ、ナオ!」
すかさず、もう一匹のチビが返事する。
「くぅ……」
チビも、言いたかったのにセリフをとられて不満そうだ。
「んで?あの扉の向こうの部屋に、誰かいるって?」
「ナオ!」
もう一匹のチビが、こくんと頷いた。なるほど。
「んじゃ、行ってみっか」
俺はそう頷き返して、扉へと近づいていった。