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八士戦闘記  作者: 瑞沙
平和な日々~第1章~
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弓道特訓、いざ射法!

「はぁ?弓道を教えてほしい?」

「う、うん!」

 賑やかな教室の片隅の席、響と華凜は交渉に励んでいた。

 交渉の相手は真弓。学年委員でクラス委員の超真面目っ子。そして祖父、教孝のりたかは弓道の名手であり、真弓自身も学年一弓道がうまい。名前に『弓』が入っている事だけある。

「私は教えられるほどの技術なんかないし、そもそも授業サボってる人には教えたくもないわよ。」

 図星で何も言い返せなかった。が、真弓は何かを勘違いしていた。

「違う違う、私、真弓に教わりたいんじゃなくて、真弓のおじいちゃんに教わりたいの。」

 真弓は勘違いに気づいたからか目を泳がせ、

「あ、そう、じゃあ後で私の家に来なさい、うん。」

 交渉成立だ。

「うんッ!!」

 華凜は教室の賑やかさに負けない威勢のいい声で返事したのだった。


 学校から徒歩25分、真弓の家はそこにあった。

「おっきーい……。」

 無意識に言ってしまうほど真弓の家は大きかった。家というか屋敷。

 黒い瓦屋根に堂々たる門構えが敷居の高さを感じさせる。整った垣根はどこまでも続いていた。

「華凜~!」

いつのまにか目の前に立っていた真弓は上は純白の道着、下は紅い袴という巫女装束みこしょうぞくのような恰好だった。真弓の艶やかな黒く、長い髪とよく似合っている。これは戦闘用弓道着だ。通常の弓道着より軽く、尚且つ銃で軽く撃たれても跳ね返すほど丈夫である。油断してると突き抜けるが。

「さ、入って。私の服も貸すよ。うちのおじいちゃんこの服じゃないと弓道やる気にならないとか言ってたし。」

身震いするほど緊張しながら入った真弓の家はとても綺麗に掃除してあり、広く、長い廊下が裕福さを物語っていた。華凜は真弓に渡された戦闘用弓道着を手早く装備し、真弓の案内のもと、真弓の祖父、教孝の居場所へとむかった。

「おじいちゃーん!来たよー!弓道教えてほしい子!!」

華凜は意外に紹介が雑だな、と微妙に思っていると真弓の祖父、教孝はゆっくりこちらを振り向いた。

弓道場が見える部屋の窓際、暗い琥珀色の椅子に座っていた教孝は白髪混じりの黒い髪、刻み込まれたような眉間のしわにやや吊り上っている太い眉が大きく目立っていた。長春色のネックを着ていた。

「お前か。」

 低くしわがれた声が部屋に静かに響く。

「は、初めまして!!真弓さんのクラスメートの華凜といいます!!」

 慌てて頭を下げて自己紹介をしたが、教孝はこちらを見つめてばかりで何の返答もしなかった。

「お主、弓道で一番大切なのはなんだと思う。」

「大切な事……!?心とかですか…?」

「心か。それもそうだな。弓道で一番大事なのは基本だ。」

 意外にも単純な答えで思わず拍子抜けした。多分その時はひどい顔をしていたと思う。

「弓道八節を大事にしなさい。基本中の基本であり、一番簡単で難しい道でもあるがな。」

「は、はい。」


 先程窓から見えた弓道場に移動した。

 呆気にとられるくらい広く、砂利は綺麗に整備され、雑草も一本も無かった。

「では、一度矢を放ってみなされ。」

 華凜は慣れない戦闘用弓道服で矢を構え、授業で教わった通りに矢を放った。ところどころうろ覚えだったが。もちろん的の中心からは大きく離れたところに矢は落ちた。

 後ろから教孝か真弓かはわからないが静かにため息が聞こえた。

「お主……。まずは基本を覚えなさい。胴造りまでは良くできておったが、そのあとの作法がぐちゃぐちゃだ。足の使い方、腕の伸ばし方、手の調え方、力の入れ方。今から基本の特訓をしようか。」

「はい…!お願いします。」


 特訓は昨日より少し多く、9時間程続いた。途中で真弓の家で豪華な夕食をとったりしたが、おかげで基本が身についた気がする。矢を発するところまでの射法は完璧だ。今のところ。

「お邪魔しました!」

「明日のテスト頑張ろうね!!」

「またおいで。」

 仲がいい真弓と教孝と身震いを覚えたこの屋敷を後にして、真っ暗の帰路を歩いていると、なんだか誰かにつけられているような感覚があった。後ろは向かないように早足で歩いた。

 が、後ろの人物の足音がだんだん大きくなってきた。なんだか名前を呼ばれているような気もするが、自分の心臓の音で分からなかった。一刻も早く明るい道に出たくてさっきよりも早足で歩いていたが、ついに肩を掴まれた。というか叩かれた。

「おいッ!華凜!!」

 聞き馴染みのある声を耳にして、振り返ると。

「なんで気づかないんだよ…。何回か呼んだんだぞ。」

そこには月に照らされ黒い髪が鈍くきらめく響が立っていた。

「え……?なんで響が?」

「なんでって…、ほら、真弓の家で特訓するとか聞いて、お前の家に行ってもまだ帰ってないとか言われたから、心配になったんだよ。ほら、荷物持ってやるよ。」

「なーんだ。意外に優しい一面もあるじゃん!ありがと!響!!」

暗い夜道、響と歩く夜道。暗さなんて全然気にならなかった。

響は私の家まで会話を絶やさず、ずっと重い荷物を持ってくれた。なんでだろう。でもおかげで安全に帰る事ができたし、感謝感謝!!


 あぁ、明日のテストが楽しみになってきたな。


今回も最後までお読み下さりありがとうございます!

弓道の事を調べながらもこの話を書くことができました。

次回は単純にテストの経過を書いていこうと思います!


次話も見てくれると嬉しすぎます!

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