幼馴染
「なーに、ボーっとしてんだよッ!」
華凜は雲がうっすら浮いている空を見上げている途中、背中を軽くたたかれた。
剣術・戦術コースで同じクラスの、響だ。黒い短髪の髪を後ろで小さく結んでいて、学校指定の黒と黄色の戦闘服をうまく着こなしている。響とは結構小さい頃から仲が良くて、幼馴染ってやつ。顔も良いほうみたいだし、クラスでは結構モテている。
「空の観察してたんだよー。」
「あ、そっか、お前鳥操コースか。今日も鳥とたわむれたのか?」
「今日はもうたわむれたけど、あと1時間で餌あげなきゃ。」
響は小さい頃から頭は悪いが運動ができたのでこのコースにしたという。
忙しいにも関わらず毎日会いに来て話してくれる。なんでだろう。
「…今日はこんな事があったかな。ってお前話し聞いてんのカヨー。」
響は頬を膨らませ、怒った素振りをした。
「聞いてるってば。怒らないでよ。」
こんな他愛のない会話でも響といる時間はとても楽しい。
「響ー!華凜ー!!」
後ろから凛とした澄んだ声が聞こえた。
腰まであるローングリーンの織物のような髪をなびかせ小走りでやってきたのはこちらも幼馴染の千春だ。回復・魔術、風コースで隣のクラス。
「何話してたのー?」
そこから3人の会話が始まり、更に楽しくなった。実は毎日の事だけど。
それぞれの話しを聞いていると自分も頑張らなきゃって思えてくる。サボってばかりいないでさ。
「そういえば、明後日実技試験じゃなかったっけ?」
千春が話す。
「え、そうなのか!?楽しみだなー!」
響が話す。
「え……。」
私が話す。一番焦った声で。
「華凜、鳥操はよくできてるじゃん!!」
千春がフォローする。
「鳥操、はな……。」
響がフォローをぶち壊す。
「魔矢、がね……。」
私がフォローを更にぶち壊す。
実は弓道がとても苦手な私。どうしても鳥操士になりたかったのでしょうがなかった。鳥操は魔矢とセットのコースしかなかったから。
「ちゃんと練習しろよ、17歳の試験を受けられるようにな。」
響が心に刺さるような言葉を発してきた。
「は、はい……。」
「安心してよ華凜、基礎的な魔法なら教えられるからさ!」
千春は優しい言葉で癒してくれた。
「ちっがぁーうッ!!」
千春はさっきの優しい言葉とは完全に対の口調で私を怒った。
「何回言えばわかるの?火の魔法は手のひらに人差し指で*(アステリスク)を書いて両方の手で互いの手首を掴んで片手を出す!!それで強く念じる!!」
千春が実際にやったところ、15㎝くらいの橙色の火が勢いよく出た。
どうやら魔術コースはすべての魔法の基本を教えてくれるらしい。
「すっごーい……」
「感動してないでやってみる!はい、せーのッ!!」
この魔法特訓は約8時間続いた。私が覚えないからだけど。
おかげでほぼ魔法が出せるようになり、あとは弓道を完璧にするのみだった。
「つ、疲れた……。千春のスパルタめ……。」
心の中では感謝しているが、疲れているとついこんな事を口に出してしまうものだ。
明日は弓道の先生に特訓を受けなきゃなー・・・。
「あ!弓道といえば……!」
最後まで読んでいただきありがとうございます!!
今回は華凜の幼馴染をメインに書いてみました。次は弓道の特訓を書いていきたいと思います。弓道に関しては少ししか知識がありませんがいろいろ調べて頑張って書きたいと思います!!
読み辛い文章ですが次話も見てくれると嬉しいです!!