表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/74

8

 疑わしそうな視線に気づいたのか、奈瑞菜さんは無言で壁にかけてあるテレビのスイッチを押した。

「(放送禁止用語)(倫理規程違反)」

「(教育的配慮により検閲)!」

「うおう!」

 奈瑞菜さんからテレビのリモコンをふんだくって、テレビを消す。

「ああ、もうちょいだったのに」

 なにやらアイが人差し指を口にあて、残念そうに呟く。なにがもうちょいだったのだろうか。いや、触れないでおこう。

「えーと、アイちゃん? 考えはまとまった?」

 アイは仄かに甘味のある微笑みを浮かべる。

「はい。わたし、悪い人に追われているのです。助けて下さい、レイジさん」

 素早く俺の手を両手で包みこみ、上目遣いでアイが言う。

「警察にいけ」

 半眼で突っぱねた。嘘にしろ本当にしろ、それが妥当な行動である。

「そんな……」

 アイは可愛いらしく頬を紅に染めた。

「助ける代わりに身体を差しだせなんて……でも、わたし、頑張ります」

 パジャマのボタンに手をかけるアイ。

「いや、誰もそんな事言ってないから」

 アイはきょとんとして、ボタンから手を離した。

「着たままヤルのですか?」

「やらないから」

「わたし、やっていいかな」

「奈瑞菜さんは引っ込んでて下さい」

 手をわきわきさせながら、アイに近づく奈瑞菜さんの首根っこを捕まえる。まったくこの人は油断する隙がない。

 警察に連絡するのが手っ取り早いが、本人が嫌がっていては、気が引ける。かといって、奈瑞菜さんに預けると何をすることか。

 となると。

 俺の部屋に泊めるしかなさそうだ。

 奈瑞菜さんは俺の考えを読んだのか、唇を三日月型に吊り上げた。

「焦っちゃ駄目よレイジ君、まずしっかりと……」

「何の話ししてんですか奈瑞菜さん」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ