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「知りたくありません」

 関わったらろくなことになりそうにない。

「じゃあ、宜しくお願い致します」

 アイは三つ指ついてお辞儀する。長い銀髪がさらりと揺れて、位の高い品が漂う。思わずお辞儀し返しそうになってしまった。

「いや、なにを?」

 アイはきょとんと、まばたきする。

「しばらく、ご厄介になろうかと」

 何故か堂々と言うアイに呆れてしまう。

「無理だ」

 はっきり言って、俺には金がない。いかにも金のなさそうなアイの面倒など見れないしそもそも俺の部屋に上げたら、安全の保証が出来ない。

「残念」

 長い獣耳があったら垂れるのではないかと思えるほどアイはしゅんっとした。

「あっ、じゃあさ、じゃあさ、うちで面倒みたげようか?」

「却下」

 奈瑞菜さんは頬を膨らませてむくれる。

「なんでよレイジ」

「奈瑞菜さんに預けたら何をするか」

 奈瑞菜は両刀使いである。へたしたら俺より危険だ。

「家に帰ればいいだろ? もしくは警察」

「それは両方無理ですね」

「なんで」

 アイは斜め45度の角度で上を向く。しばし眉間に皺をよせて、なにか思案しているようだ。

「ところで奈瑞菜さん、よく起きてましたね」

 長くかかりそうなので、奈瑞菜に話しをふった。普通に話すぶんには、容姿端麗な奈瑞菜は良い相手なのである。

「ああ、深夜映画を見てたから」

 そういえば、奈瑞菜さんは映画好きだったな。

「へえ、何を見ていたんですか?」

「エマニエル夫人、無修正版」

 いや、テレビでそんなモノ放送できるわけないでしょ。


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