【第弐話】 ノロウイルスを撃退せよ!
ノロウイルスに、佐代と美咲の周囲はばたばたと倒れてゆく!
美咲:「それはそうと、私、津山 美咲。花の高校生でーす。ヨロシク」
佐代:「なぜここで自己紹介をする!」
美咲:「え、だって、いきなり出てきて誰だって思われるじゃない? ほら、あなたも自己紹介して」
佐代:「あ、えっと……。上月 佐代っていいます。高校生です。――って私もつられて自己紹介しちゃったよ! てか、自己紹介って、誰に向かってしてんのよ!」
美咲:「悪霊?」
佐代:「怖いよ! せめて、読者にとかにしようよ! ってか、冗談云ってる場合じゃないの。世間に蔓延するノロウイルスにどう立ち向かうか、考えないといけないのよ」
美咲:「でも、巷じゃ、私たちの正体が実はノロウイルスだ、って思ってる人もいてるみたいだけれど」
佐代:「マジで!?」
美咲:「ほら、前の話で『ポテトチップスはコンビニ、からすみはデパート』ってセリフあったじゃない? それで私たちがノロウイルスで、ポテトチップスとからすみに付着したんじゃないか、って考えちゃった人が続出したみたい」
佐代:「そ、そうなんだ……。知らなかった」
美咲:「ま、若干誇張したけどね」
佐代:「誇張したの!?」
美咲:「“続出した”ってあたりが」
佐代:「そこかよ! てか、実際は何人の人に云われたのよ?」
美咲:「ひとりだけど」
佐代:「悲しいよ!」
美咲:「――えーっと、ここでお便りを紹介します」
佐代:「お便り!? いつ募集したの、てか誰から来たの!?」
美咲:「『質問です。“女子的エモーショナルストリップジャーナル”ってどういうことですか? 気になって夜も眠れません』」
佐代:「そこまで!? あ、でもそれ私も気になってた。あれってどういう意味だったの?」
美咲:「特に意味はありませーん」
佐代:「話終わっちゃったよ!」
美咲:「あ、あと前回の話でちょっとした仕込みがあったんだけど」
佐代:「話の転換早いな……。仕込み? どういうこと」
美咲:「思い出してみて。前話の後ろから数えて2番目の段落から。『ふたりは声をあげて高らかに笑った。その際、見上げた空は青く、雲ひとつない快晴であった。そしてふたりは手を取り合い、スキップをして夜の街へと消えていった。』ってとこあったでしょ」
佐代:「あったあった。――で?」
美咲:「よく考えて。“見上げた空は青く、雲ひとつない快晴”、“夜の街へと消えていった”、明らかに矛盾してるでしょ」
佐代:「あっ――。たしかに……」
美咲:「これ、作者が意識してやったみたいなんだけど、誰もつっこまないからここで解説してみました」
佐代:「まぁ、こんな細かなとこ、誰も気にしないでしょ――。てか、そろそろ真面目に話そうよ。世間に蔓延するノロウイルスをどうするのか」
美咲:「でもそれって、私たちがどうこうできる話だと思う?」
佐代:「……まぁ、そりゃあ――」
美咲:「えーっと、ノロウイルスに感染しないために、手洗い・うがいをしっかりしましょう! これくらいしか云えないんじゃない?」
佐代:「でも、それじゃあ、ただの風邪予防だよ」
美咲:「これ以上知りたければggrks」
佐代:「ggrks!? 花の女子高生がggrksって……!」
美咲:「あ、まだあったわ、私たちだから云えること」
佐代:「よかった――。今までの会話がまったくの無駄にならなくて。で、何なの、私たちに云えることって」
美咲:「ノロウイルスだけに、呪う居留守を決め込みましょう。これでオチがついたわねっ」
佐代:「意味が分からないよ!」
チャンチャン