表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風吹く丘  作者: 朝野麻
2/3

第1話

サァ―…サァ―…    風が吹き、野がユラユラと揺れていた。

    太陽の色と同じ朱に染まったそれは、余りに美し過ぎて人々に畏怖の念すら感じさせる。

「血みたいだ…。」

ポツリと漏らしたのは少年だった。

少年も夕陽の朱に染められ、自身も黄昏の一部となっていた。

その子の名をアギ・アイリス・イリシアと言う。

今は燈色に染まる髪は、この地方では珍しい灰色で、瞳は感情によって変化する青灰色。

背は同年代の少年に比べると少々低く華奢で、とても整った造形の少年だった。

「アギー?」

遠くで養母の声が彼を呼び、彼はその声に応え風の吹く丘を去った。***

「リリア、今日のご飯何?」

コトコトコトカタカタカタ料理を作る小さな音がやけに大きく聞こえる。

「ん?今日はシチューよ。あっ、河原から水汲んできてくれない?」

音が大きく聞こえるのは、この家に二人しか居ないから。

リリアはアギの伯母だ。

リリア・フィレッツ、黒髪に黒い瞳の村で一番美人と評判な彼女は未亡人である。結婚一年で夫を亡くしているのだ。

「分かった。そのかわり、肉いっぱい入れてくれよ。」


「はいはい。」

アギはリリアの言葉を聞き、満足そうに笑い家の扉に手をかけた。

「気を付けて行くのよぉ?」

背中にはリリアの声が為ていた。

アギは分かったと応え、家から3分程の位置にある河原に向かった。

駆け出した空にはもう星が瞬き冷たい闇が辺りを覆いだそうと為ている。




━━夜がくる。




愕然と皆に恐怖を与える闇がすぐ其処まできているのだ。


後一刻もすれば完全な夜がくる。


リリアの急ぎなさいと言う声が小さく聞こえた。



闇は迫る。





闇は黒の世界



光は白の世界




黄昏と藜明は白と黒との境界




ココからは闇が支配する。







汝、光を愛せ


汝、闇を憎め



汝、神に祈れ







神様なんて居ないのに。




居るのは自分




信じ、頼り、戦い、耕し、育む。



全て自分達が成す事。



祈りなど無駄なだけ。



神なんて架空の存在は救ってやくれない。





自分達で成すしかないのに―…‥。






Next Story

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ