**Prologue**
**Prologue**
空に色がないこの世界は、『ブランクルー』と呼ばれている。
色がないのだから、ブランクルーは昼と夜をわけることもできない。
常に、白いのだ。
空から色がなくなったのは、約30年前の空虚戦争からである。
空虚戦争とは、どこからもなくやってきた《ドヌール》が、空から色を奪ってしまったことから起きた戦争で、空虚戦争と呼ばれるようになったのだ。
ドヌールはブランクルーから、すべての色を奪い去ろうと目論んでいたが、それは片目の青年 《リュート》によって阻止された。
華麗に剣を扱う彼は、ブランクルーのトールと言う町出身の若者で、誰も手出しができなかったドヌールに深手を負わせ、一時的に封印することに成功したのだ。
だがブランクルーに存在する強力な魔法は、使用するたびに大きな代償を要する。
リュートがドヌールに使った魔法は、自らの体を巨大な力のある鎖へと変化させ、相手を縛りつける魔法なのだ。
すなわち、リュートの力が尽きた時、ドヌールは解放され、今度こそ世界からすべての色は奪われるであろう。
A distorted dream of having the dream.
(夢を見る 歪な夢を)
All of me of the dream.
(その夢は、僕のすべて)
The dream is my mind.
(その夢は、僕の、心)