第5話:魔獣退治
***
午前十時頃。柳達はテインの町へと到着した。
そして真っ先に柳は役場を町人に聞き込み役場へ向かうと魔獣退治の依頼を探した。
「んっと………これがいいか」
柳が選んだのは町の東にある広場に毎日のように現れる魔獣の退治だった。
「これっ……報酬がさっ………三五〇万ラルーーーっ!?」
「こんなものだろう。引き受けた奴が危険な目に遭うんだから」
「三五〇万ラルって言ったら色々買えるよ!」
「ああ、まーとりあえずこれだけあれば杖も剣も買えるだろ」
「えっ、杖と剣?」
稜基の疑問に柳は溜息をついた。
「あのな………旅の途中で魔獣に襲われたら一溜まりもないだろう? 宝石が付いてる杖ならお前の魔法の力も増幅させられるだろ?」
「うん………でも、剣は?」
「剣は俺が使う。剣術なら覚えてるんだ」
柳は依頼書をひっつかむと受付に持っていった。
「この依頼、やりたいんだけど」
受付のおじさんは驚いて依頼書と柳を見て、静かに言った。
「悪いことは言わん。この依頼はやめときな。お前さんでこの依頼を引き受けたのは五人目だ。他の者は全員殺された。お前さんも殺られるかもしれん」
「平気だ。だから受け付けて欲しい」
おじさんは柳に気圧されて仕方が無く受け付けた。
「危ないと感じたら逃げろよ」
「分かっている」
柳は稜基と共に例の場所へと向かった―――。
***
「さすがに一人も人いないね………」
「それはそうだろ。魔獣が出るんだから」
柳はきっぱりと言った。
「そういえばどんな魔獣が出るの?」
「依頼書には確か狼型のって書いてあったな」
「オッ……オオカミ?」
稜基が声を上げたとき茂みが動いた。
「稜基っ!」
柳は咄嗟に手のひらに翠色の光を集め、風の刃を放った。
それは例の魔獣の体を切り裂いて、魔獣を絶命させた。
「まだ来るぞっ! 気をつけろっ!」
「うんっ!」
稜基は頷き、手のひらを次々現れる魔獣に向けた。 雷球が勢いよく打ち出されて魔獣を焼き払う。
「数が多すぎるよ!」
一向に減る様子のない魔獣に稜基は焦っているようだった。柳は一度稜基の後ろに下がると稜基に叫んだ。
「稜基、三十秒ぐらい一人で大丈夫か?」
「そのぐらいなら平気だよ。どうするの?」
「術を練る。――よし」
柳は意識を深く集中させた。柳の身体に水色と翠色の光が宿り柳は手のひらを魔獣の群れに向ける。
「―――行け」
手のひらから打ち出された光は突風へと変わった。
突風の中には氷の槍が紛れている。
柳は白い光を稜基に向かわせその光を不可視の壁に変えると己の作り出した風から稜基を守った。
風に襲われ、氷の槍によって身体を貫かれた魔獣達は明らかに動きが鈍っていた。
二人は残る魔獣にとどめを刺し、魔獣退治を終わらせた。