第13話:激昂する神
「ガキだと? ……この身の程知らずめが!」
ティレイスが一喝すると彼を中心に衝撃波が放たれ男達を吹き飛ばした。
男達は目を白黒させティレイスを見た。ティレイスは怒りを露わにして男達を睨んだ。
「貴様達………私を誰だと思っている? 私はティレイス! この世を創った者なるぞ! 命が惜しければとっとと失せろっ!」
神の怒号に恐れをなし、男達は慌てふためいて神殿を逃げ去っていった。二人の少年はその神の圧倒的な強さを見せつけられ呆然と立ち尽くしていた。
ティレイスは一つ息を吐くと柳達二人の方を向いた。
「全く………いずれにしろ私にたてつく者のくせに根性の無い奴等め」
「敵に駄目出ししなくても……」
柳は呆れつつそうティレイスに言ったがティレイスは相当怒っているようだった。
「大体、何故ナイクレーゼントなどを甦らせようとするんだ。あんな奴をこの世に召喚してもこの国が無に帰すだけだ。奴は人間の望みなど叶えない。欲深い人間どもはそれも知らず呼び寄せようと言うのか。まるで神を道具だとでも言うように………だとすれば愚かだと言わざるをえぬな」
「………まあ、仕方のないことなのかもな。この世界のほとんどの人は神を目にした事のある人なんてほぼいないんだから。神を信じない人や信じる人、信じる人を利用してインチキ宗教をつくって自分の欲を満たそうとする奴。人は信じたり疑ったりする生き物だ。良いことを信じ、悪いことを疑い………そして自分の欲を満たそうと躍起になりすぎると大切なことまで忘れてしまう。……俺はそんな風にはなりたくないな」
「…………そうだね」
柳に賛同するように稜基は頷いた。
「初めから人を否定し続けるといつの間にか周りに人はいなくなって、自分一人になっちゃうのってすごく寂しい………。悲しいよ。人を信じたり、最後まで色々諦めたりしないこととか、そういうのもすごく大切なことだよね…」
二人の人間の言葉に、神は静かに瞳を閉じた。
「なんとも難しい。人間という種族は…全てを見届ける神の私にさえも完全に理解することが難しい種族だ…………」
神の言葉は重々しかった。