作戦会議
作戦会議
「四つ腕熊に関しては、直接戦闘は避けた方がいいと思うんだ」
資料館でのやり取りの後、三人は近所の食堂で作戦会議を開いていた。
それぞれ食事を頼みながら、意見をぶつけ合う。
「でもよ、討伐が試練なんだろ?戦闘なしに討伐ってできんのか?」
羽猪のローストを頬張りながら、ミケルが口を挟む。
「直接戦闘を避けるってことは……罠?」
ハムと葉野菜を挟んだパンを齧りながら、ニーナが言う。
「うん。罠、毒餌が一番効果ある気がする。猟師のおっちゃんも、大型の熊には効くって言ってた。魔物化しても、熊は熊だと思うから」
朱色鮎の塩焼きを口に運びながら、ファルが答える。
「その毒餌をどう作るかが問題なんだけどね」
ははっと渇いた笑みを漏らす。
基本的に単独で動いてきたファルにとって、徒党戦は初めて。
作戦、武器、魔術、魔石の数……考えることが多すぎる。
「ところで、雑草……違う、ファル。得物って何使ってるんだ?」
ローストを平らげ、黒パンを齧りながらミケルが尋ねる。
「それ、私も知りたい。いい機会だから、得意武器と戦い方、言い合おうよ」
ニーナは槍を背負い、小型ボウガンを腰から外して机に置く。
「私は基本、長槍。盾は持たない。このバカが前に飛び出すから、サブはこの弩弓」
「俺は見ての通り、騎士形!
片手剣か騎士剣が好み。サブは強弓だな」
「で、お前は?」
ファルは少し黙って、朱色鮎の骨を皿の端に寄せながら答える。
「俺は……得意な武器ってのは、無いんだよね」
ミケルとニーナが顔を見合わせる。
「なんでもできるようになれって、リゼさんに言われてさ。
剣、短剣、短槍、長槍、棍棒、投げ紐、短弓……変わり種だと刀も。格闘術は苦手だけど」
ニーナが目を丸くする。
「リゼさんとドランさんの特別コース、全部やった人初めて見た……」
ミケルが呆れつつ笑う。
「冗談だと思ってたぞ、あれ。本気でやったのかよ」
「うるせぇよ。冗談だって知ったのは最近だ。おかげで何でもできて、何も得意じゃない器用貧乏の完成だ」
三人の笑い声が食堂に広がる。
「真面目な話……」
ミケルが急にトーンを変える。
「前衛、中衛、万能。かなり良い構成じゃね?俺たちならやれるぜ、四つ腕熊くらいならさ」
ヘヘッと恥ずかしそうに笑うミケル。
つられて、ニーナもファルも笑った。
そして、試験の日は近づいていた。




