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竜を殺す者  作者: 東雲
辺境都市ミルゼ編

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3/25

探索者の矜持

この物語は、“竜”が災害として認識される世界で、ひとりの少年が“災厄”に名を刻むまでの記録です。


文字数は少なめですが、楽しんでいただけたら幸いです。

互助会に登録して一年半。

ファルはリゼの特別講習やドランの戦闘教習を受けながら、都市内の依頼をこなす日々を過ごしていた。

薬草摘みから始まり、害獣退治や小さな探索。少しずつ、任される仕事も増えてきた。

そんなある日──。

「死にてぇのか、クソガキ!」

依頼から帰ってきたばかりのドランの怒声が、互助会に響き渡った。

今回の依頼は“四つ腕熊”の討伐。依頼主は隣村の村長。

ドランに同行したのは、新人賤鉄探索者のニーナとミケル。

二人は先週ようやく賤鉄に昇格したばかりで、これが初めての本格依頼だった。

賤鉄級になれば、害獣討伐や遺跡探索、都市外遠征──仕事の幅は一気に広がる。

だからこそ最初の数回は鉄級が同伴し、そこで学ぶのがしきたりだ。

「ろくに下調べもしねぇで依頼に向かうってのは、馬鹿か?無謀か?無知か?どれだ!」

ドランは顔を真っ赤にして二人を詰める。

リゼはその様子を見ているだけで、仲裁に入る気配はない。

「リゼさん、止めなくていいの?」ファルが小声で尋ねる。

「止めなくていい喧騒なのよ」リゼは顎に手を当て、首を傾げる。

「下調べをしてない。それは減点対象ね。ドランが怒るのも無理はないかな」

「ふーん……下調べか」ファルは頷きながら聞き入る。

リゼはカウンターに草束を並べて説明を始めた。

「薬草だって種類がある。ヒルルク草は傷薬、カミツレは化膿止め、他にも解毒用……。調べて選んで摘んでくる、それも立派な下調べ」

トントンとカウンターを叩き、後ろの本棚を指差す。

「ファルが嫌いな座学も、下調べの一つだと思えば探索者冥利に尽きるんじゃない?」

「うげっ……」ファルは顔で返事をした。

「さ、ドランのお説教が終わるわ。次に叱られるのはファル君かしら?」

「げっ、なんでだよ!俺は何も──」

背後から声が飛ぶ。

「おい、“雑草摘み”!お前もネズミ駆除に毒餌使わなかったらしいな!」

振り向くと、青筋を立てたドランが笑顔で肩を掴んでいた。

「お前もニーナとミケルと一緒に自習室だ!叩き込んでやる!」

ガシッと掴まれ、そのまま引きずられるファル。

「いってらっしゃい」リゼはにこやかに手を振った。

今日も互助会は、騒がしくて賑やかだった。


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