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竜を殺す者  作者: 東雲
辺境都市ミルゼ編

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2/25

"互助会"の日常

この物語は、“竜”が災害として認識される世界で、ひとりの少年が“災厄”に名を刻むまでの記録です。


文字数は少なめですが、楽しんでいただけたら幸いです。

「でっけぇ竜だったんだってば!雲を割って飛んでったんだぞ!」

ファルが受付カウンターに身を乗り出す。

リゼは書類に目を落としたまま、ペンをくるくる回している。

「はいはい、でっけぇね。で、鱗の色は?角は何本?」

「……それは見えなかったけどさ……」

「ふーん。じゃあ“でっけぇ影”を見たってことでいい?」

「いや、絶対竜だったって!」

リゼはペンを止め、ファルの目をじっと見た。

からかい半分、でも真剣さも混じる視線。

「じゃあ、見たってことでいいじゃない。あたしも昔、見たことあるし」

「ほんとに?」

「うん。銀級の頃ね。遠征帰りに空見上げたら、雲の向こうにでっけぇ影。みんなで『竜じゃね?』って盛り上がったけど、結局確証はなかった」

「それでも、見たってこと?」

「そう。見たってことで、ちょっと誇らしくなった。で、互助会に帰って薬草仕分けして、飯食って寝た」

「……なんか普通だな」

「そうよ。竜を見ても日常は続くの。でもね、その日常の積み重ねが、いつか竜に届くのよ」

リゼはそう言って、ファルの薬草袋を受け取った。

「今日の分、合格。お疲れ、ファル君」

「おい、“雑草摘み”!竜見たんだって?でっけぇって、どれくらいだ?」

ドラン・ゴランが酒のグラスを片手に背中を叩く。重いが、痛くはない。

「雲を割って飛んでったんだよ!ほんとに!」

「ほぉ。じゃあ次は雲割るくらいの角兎でも狩ってこいよ」

「バァカ!俺は害獣退治から帰ってきたばっかだよ!」

「角兎だろ、今日のこいつの獲物は」

別の探索者がヤジを飛ばすと、ドランは肩をすくめて笑った。

「まぁ、無事に帰ってきたならそれでいい。なあ、リゼ」

「はいはい、鉄級さん。昼間から酒臭いのは減点よ?」

リゼが顔を出すと、ドランはグラスを掲げて応えた。

「減点されるうちが華だぜ。なあ、“ニュービー”」

ファルは少し笑い、グラスの代わりに薬草袋を掲げた。

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