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最年少ダンジョン配信者の僕が、JKお姉さんと同棲カップル配信をはじめたから  作者: タイフーンの目@『劣等貴族|ツンデレ寝取り|魔法女学園』発売中!
第5章 夜も激しくなりそうです

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第77話 遊園地(前編)


「ど、どうかな蓮くん……?」


 それはフェアリーランドでの『ダブルデート』当日。

 自室の脱衣所で着替えを終えた結乃が出てくる。


「ギャルっぽく……見える?」


 今夜は、女性陣3人はJKのコスプレをして遊ぶことになっている。普段から女子高生である結乃は、ギャルになりきるだけ。


 ヘアアイロンでふわりと仕上げた綺麗な髪。いつもの制服に梨々香から借りたリボンタイを付けて。白いパーカーを羽織り、袖をまくり上げて。

 スカートは、いつもより短くなっていて目のやり場に困る。


 《《2周目》》の流行がきているルーズソックスを履いて、メイクはマスカラを追加したくらいだが――照れた表情の、ほんわかした雰囲気のギャル結乃が、蓮の心に刺さる。


(………っ! か、可愛い……)


 感想をそのまま口にすればいいのだが、


「い、いいんじゃないかな……」


 と言うのが精一杯だった。それでも結乃は、


「ホント? 良かった!」


 ニコニコだ。


「蓮くんもカッコいいよ、こうして並んだら同級生みたいだね」


 衛藤の協力でゲットしたレンタル衣装。高校生っぽく見えるブレザー。慣れないネクタイで首の辺りが苦しい。


 身長差があるのでさすがに結乃と同級生には見えないだろう。それでも、


「ふふっ、制服デートだね」

「……っ!」


 なんて言われると、ちょっとその気になってしまう蓮だった。




 フェアリーランドは、私鉄を乗り継いで40分ほどにある、都心から近いテーマパークだ。


 最寄り駅を降りたところで待ち合わせ。18時から入園しようと話している。しばらくすると、蓮たちが降りた次の便で梨々香がやってきた。


「わー! 結乃ちゃん可愛い! レンレンも似合ってるー☆」


 そういう梨々香こそ、バッチリとハマっていた。


 胸元を大きく開けた制服姿。髪はハーフツインで、カラコンを入れた目はいつも以上に目立っている。当然のようにミニスカートで、ルーズソックスは結乃と示し合わせてお揃いのようだ。


「梨々香ちゃん、着こなしてますね……!」

「でっしょー? 朔に『これからデート♡』って画像送ってやったら慌ててたー☆」


(この人は……)


 無邪気にこういうことをするから、今回は蓮がシイナから敵意を向けられるハメになったのだが。


「あとはシイナちゃんかー」


 梨々香と正反対なシイナが、本当にこんな華やかな場所にやって来るのか疑問だったが――


 どうにか待ち合わせ時間ギリギリに彼女はやってきた。


「ど、どもぉ…………」


 ダンジョンで会ったときと、まったく違う。

 まず姿勢からして別人だ。戦闘用のドレスを着ていたときはピシッとまっすぐ立っていたのに、今は見事なほど猫背だ。


 そして、去年まで高校生だったシイナの『JK』コスプレだが――ブレザーではなくセーラー服だった。


 その上から部屋着のようなジャージを羽織っていて、スカートはスネまである長さ。ギャル要素は、せいぜい腕まくりをしているくらいだろうか?


「それ、シイナちゃんが高校生のときの制服?」

「えっ、うっ、うん…………」

「撮っていい? 撮っていい?」

「ええっ!? か、顔はちょっと……」


 両手で顔を隠すシイナに、構わずスマホで撮影する梨々香。


 今日集まった4人は全員配信者だ。蓮もすっかり有名人だし、梨々香とシイナは配信歴も長い。さらにシイナの銀髪は目立つし、人に囲まれる危険性があると蓮は考えていた。


 けれど、駅から降りてパークに向かう人たちは、こちらに注目することはない。


 みんなフェアリーランドで遊ぶことで頭がいっぱいのようだ。見渡してみると、蓮たちの『コスプレ』なんて地味なもので、仮装大会かと思うような格好も多い。


 シイナの銀髪も、その中では埋もれてしまうようで、特に見とがめられることもない。


「行こ行こ~☆」

「はい」


 入園前からウキウキの梨々香と、同じく結乃。その後ろをシイナと蓮が並んでついていく。


(結乃がはしゃいでる……)


 可愛い。


「…………梨々香ちゃん、かわゆ……」


 つぶやくシイナと、ふと視線が合う。


「…………な、なに」

「別に――」


 やはりどこか思考というか、テンポが似ている。もしも、性格の似た姉がいたらこんな感じなのかもしれない――


(――いや、こんなきょうだいいたら疲れるだろうな)


「シイナ先輩、こういうところ苦手かと思った」

「に、苦手…………! し、死ぬほど……」

「まあ、僕も」


 ダンジョン内でも蓮に対しては多弁ではなかったシイナだが、『外』だと会話が成り立つか怪しいくらいだ。


「こんだけ人がいて、入口からもう騒がしいし」

「そう……! どいつもこいつもはしゃぎ過ぎ…………、り、梨々香ちゃんはいいけど!」

「梨々香先輩のこと、本当に好きなんだね」

「も、もち…………!!」


 声を震わせながらも、力説するシイナ。


「梨々香ちゃんがいなかったら……配信者も辞めてたかも。毎日起きないといけないし……」

「それは普通じゃない?」

「リスナーがいるから、まあ……続けてたかもしれないけど……、でもやっぱり、梨々香ちゃんが心のオアシス…………」

「うん」


 蓮にとっての結乃と同じだ。


「僕も」

「――は? 梨々香ちゃん推し???」

「ち、違う」

「推してないの!? な、なぜ!?」


(ホント面倒くさいなこの人――)


 蓮は呆れつつも、


「僕も結乃がいるから。……こうして、シイナ先輩としゃべってみようって思うのも、たぶん、結乃の影響で。人と話すの苦手だけど、結乃の真似してうまくしゃべってみようって――」

「……………………」


 しばらく何かを考えていたシイナが言う。


「……と、遠野少年」

「少年?」

「ちゅ、中学生は……少年……」

「まあ何でもいいけど。何?」

「少年と私は、推しが違うけど……、お、推し活……」

「?」

「推し活仲間、ってことで……停戦しても、いい……よ……」


 停戦もなにも、蓮は試験以外でシイナと争う気はなかったのだが。


「うん。じゃあそれで」


「おーい2人ともー、置いてっちゃうぞー! シイナちゃん早く~」

「蓮くん、おいでー」


「「!!」」


 呼ばれて2人は、大好きなご主人さまに呼ばれた飼い犬のように目を輝かせて、梨々香と結乃に早足で追いついていった。




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