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最年少ダンジョン配信者の僕が、JKお姉さんと同棲カップル配信をはじめたから  作者: タイフーンの目@『劣等貴族|ツンデレ寝取り|魔法女学園』発売中!
第5章 夜も激しくなりそうです

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第72話 宣戦布告



 ■ ■ ■



「し、シイナさん……!! お、起きた……!」


 シイナが()()()()()にマンションから出ると、ばったりとマネージャーと出くわした。どうやら自宅までシイナを起こしに来たらしい。


「朝なのに……朝の11時なのに!」

「う……、だって……こないだ死ぬほど怒られたし……」


 蓮とのコラボを延期にさせたとき、マネージャーからこれまでにない剣幕で怒られた。


「当たり前ですよ、新人に対して示しが付かないし……何より! あの衛藤先輩に謝るとき私がどれだけ緊張したと思います!? あの人が本気で怒ったら地獄が顕現するんですよ!?……まあ、『おかげで蓮さんとデートが出来たので良しとします』って上機嫌だったから助かったものの」

「ふ、ふぅん……」


 生返事でトボトボとダンジョンへ向かう。今日の仕事はナイトランセンス試験の試験官――それだけならまったく気が乗らないし、普通なら寝過ごしていたことだろう。


 ――シイナの心身は、嫌なことがあると自然と『起床を拒否』する。


 戦闘試験の試験官なんて受験生から恨まれる仕事だし、ロクなことにならない。


 けれど相手は、あの遠野蓮だ。

 ただのコラボでは『射殺』できないが、今日は本気でやっていい。


 おかげでシイナは、本当に珍しく目覚ましアラームのとおり午前中に起床できた。これはほとんど奇跡に近い。



 やがてダンジョンに到着する。


「遠野さんは午前中、ナイトライセンスの基本試験――各種数値の計測や、モンスターとの初歩的な戦闘をチェックされています。……彼なら、どれも問題なくクリアするでしょう。お昼を挟んで、20階層で戦闘試験です」


 ダンジョンには、20階層ごとに転移魔法陣が設置されている。1階層から直接その階層まで瞬間移動できるのだ。

 便利だが、不定期に起こるダンジョンの大変動があるとその魔法陣もかき消されてしまい、またイチからの設置作業が必要になる。


 可能なら各階に作りたいところだろうが、そういった事情もあってコストが掛かりすぎるため、20階層ごとの設置で落ち着いている。


 ただし、使用できるのはナイトライセンス持ちだけ。 ある程度の強さがなければ、20階層まで飛んだところで即死する。


 蓮は試験の運営とともに順に登っていき、シイナは転移魔法陣で一気に20階層へと進むのだ。



「では着替えてください」


 1階層で戦闘装束に着替える。

 ドレス型の装備【夜嵐】は、シイナにとっての鎧だ。配信者としての人格を纏う――そんなイメージ。


 ドレスとグローブを着け、ピンヒールを履いて拳銃を装着することで、【双銃の舞踏家】シイナは完成する。


 ――このドレスを作るとき、アドバイスをくれたのは梨々香だった。


 梨々香は、事務所に入ったばかりのシイナに気軽に声を掛けてくれた女の子だった。ルックスが良くて、明るくて、男女ともに友人が多い――


(同じ学校だったら絶対に仲良くなってないタイプ……)


 まあ、そもそも友達自体がいなかったシイナではあるが。

 全然違うタイプの梨々香は、学生時代はむしろ嫌いなタイプだったはずだ。


 けれど、実際に交流を持ってみないと分からないこともある。


 梨々香はシイナのことをまったく見下してなんていなかったし、最初にコラボに誘ってくれたし、配信のチャット欄に現れたシイナのアンチにも、彼女は自分のことのように怒って対処してくれた。 


(梨々香ちゃん……優しい……、最高……)


 あの笑顔を思い出すだけで胸がぽうっと温かくなる。

 そして、そんな梨々香とコラボしたという遠野蓮――


(……もしかして)


 梨々香が遠野蓮に構うのも彼女の優しさゆえなのかもしれない。


 マネージャーから『2人は親しい』みたいな話を聞いて彼への憎悪を募らせていたが、それはシイナの考え過ぎだったのかも。


(そう……、そうだよ……梨々香ちゃんはみんなに優しいから……)


 そう思うと、遠野蓮への殺意も和らいでいく。

 なにせ、相手はデビューしたての12歳。仲良くする気はまったくないが、梨々香がせっかくフォローしてあげている新人を、自分がいじめるのは大人げないかもしれない。


「転移魔法陣、準備できてますよ。いってらっしゃいシイナさん」


 マネージャーに見送られて、1階層の隔離地区にある転移魔法陣に立ち、リスポーン機能の原理で――20階層まで一瞬で到着。


(……そうだ、今日は適当にあしらって、あとで梨々香ちゃんに褒めてもらおう……)


 梨々香にヨシヨシされる妄想をしていると、口元がとろけそうになる。


「っっ、危ない危ない……」


 戦闘モードが解除されそうになるのをギリギリで留めてから、ピンヒールを鳴らして試験会場へと進む。


 そこには――

 遠野蓮が、試験の関係者とともにすでに20階層に到着していた。


 そして、その横に……


「レンレンさっすがー! 午前の試験、みんなビビってたよ~☆」


 蓮にすり寄っている梨々香の姿が。


「えっぐい数値たたき出したんでしょー!?」

「……てか、梨々香先輩なんでいるの?」

「『梨々香ちゃん』だってば~。今日はね、レンレンの活躍が見たくって試験のバイトに申し込んだんだよ! ぴーす☆ それにぃ――」


(………………、は?)


 2人はまだ何か会話をしていたが、もうシイナの耳には入っていなかった。


(梨々香ちゃんに……、遠野蓮が……!)


 どこからどう見ても梨々香が蓮に絡んでいるのだが、シイナの脳内にはそんな文字が浮かんでいた。もはや病気だった。


「遠野……、蓮…………っ!」


 と、2人がこちらに気づく。


「あーシイナちゃん来たー!」

「……よろしくお願いします、シイナ先輩」

「遠野……蓮……」

「「??」」


 口角を引きつらせながらシイナは宣戦布告する。


「八つ裂きにして豚のエサにしてあげる……!!」




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