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最年少ダンジョン配信者の僕が、JKお姉さんと同棲カップル配信をはじめたから  作者: タイフーンの目@『劣等貴族|ツンデレ寝取り|魔法女学園』発売中!
第3章 配信でイチャついていいんですか?

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第28話 帰還


 結乃と一緒に1階層に戻ると、【りりさく】が待ち構えていた。


「ゆーのちゃん! 良かったよー!」

「梨々りりかちゃん――」


 問答無用で、結乃をぎゅーっとハグする梨々香。

 その隣で、


「うんうん、良かったよ結乃ちゃん! はいハグ! ほらハグ!」

「――ありがとうございます」


 両腕を広げるさくのことはスルー。


「あはー、朔フラれてやんのー」

「うっせ!」

「レンレンも、梨々香おねーさんとハグする?」

「いや、いいっす……」


 視線を外して、すすす、っと回避する。


「梨々香もフラれてんじゃん!」

「いーもん。レンレンとは時間かけて仲良くなるから」


 そんな【りりさく】のやり取りを聞きつつ、ふと隣を見上げると結乃と目が合う。


「……なに?」

「ううん、何でも」


 なぜか結乃は上機嫌だ。

 そんなに梨々香とのハグが良かったんだろうか? なんとなく、蓮のことをヨシヨシ、とでもしてきそうな雰囲気。


「つーかさ、触っても大丈夫か、蓮くんのこと?」


 朔が今度は、蓮の腕をツンツンと指でつついてくる。危険物扱いのようだ。


「……なんすか」


 彼も、今回はちゃんと蓮たちの配信を見ていたようで、


「マジすげーな、蓮くん。俺でもギリ勝てないレベル」

「朔じゃ絶対勝てないでしょ。梨々香でもむりー」

「はー、マジか。梨々香がそう言うんなら本気でやべーのな」

「悔しいけどねー」


 梨々香は派手でキラキラした女子大生のお姉さんだが、こと戦闘に関してはプライドを持っているらしい。正直、そういうタイプは嫌いじゃない。


「俺も蓮くんに弟子入りしよっかなー。そうすれば結乃ちゃんの弟弟子おとうとでしになれるし……」

「朔~~っ!」


 懲りずに鼻の下を伸ばす朔の耳を、梨々香がこれでもかと引っ張る。


「いてててて!?」

「いい加減にしろ~! これ以上、結乃ちゃんとレンレンを困らせたら怒るからね~!?」

「もう怒ってるじゃん!?」

「梨々香のオシオキ、また受けたいワケ?」

「す、すびばせんっっ!」


 そんな2人を見て、結乃が耳打ちしてくる。


(梨々香ちゃんて、強いね……!)

(うん……)


 結乃もある意味強いけど……とは、言わないでおいた。まだオシオキはされたことがないけれど。


「んじゃねレンレン、結乃ちゃん! 今度コラボしよーね。バーイ!」

「痛いって! みみ! 耳離して梨々香さん⁉︎⁉︎」


 笑顔で手を振る梨々香と連行される朔を見送ると、すぐあとから衛藤がやって来た。


「お疲れさまでした、蓮さん結乃さん」


 彼女も満足そうではあったが、忙しそうでもあった。


「蓮さんのチャンネルにも、公式の投稿にもコメントが大量です。切り抜き動画も信じられない早さで増えてます、私が確認しただけで【Wave(ウェーブ)】上に、もう12個。ネットニュースにもなってますし、正式な取材依頼もドンドンと――」


 言っているあいだにも、衛藤の端末からは着信音が鳴り止まない。


「あの、何かお手伝いしましょうか?」

「結乃さんはお気になさらず。嬉しい悲鳴というやつですから。他のスタッフにも手伝ってもらいますし。それよりお2人に……」


 そう言う衛藤の背後から、《《ぬるりと》》人影が現れた。


「昨日話した、新しい警備員です」

「――――」


 細身のスーツ姿。黒いジャケットに黒いシャツ、灰色のネクタイ。ホストのような出で立ちだが、どうやら女性らしい。銀のメッシュが入った黒髪は、ウルフタイプのショートカット。


 衛藤より明らかに長身なのに、彼女の背後に隠れていたという事実――蓮ですらこの女の気配を悟れなかった。


(……何なんだ、この人)


 いままで会った誰とも違う空気をまとっている。


「これからお2人には、周囲をうろつく輩が増えるでしょうからね」


 確かに、早速この1階層でも蓮たちのことを一目見ようと、遠巻きながらも人だかりができそうになっている。


「彼女の実力は保証しますよ。なにせ、国家元首から名指しで指名が入るほど凄腕の暗殺しゃ――、コホン。警備員ガードマンですから」

「今なんて?」

警備員ガードマンですよ、蓮さん。さあ挨拶を――」


 衛藤に話を振られて、長身の『警備員』がようやく口を開く。


修羅しゅらです」


 気味が悪いほど落ち着いた、中性的な声。


「修羅……? コードネーム的な?」

「いいえ本名です、マスター遠野。ファーストネームです」


 口元には微かに笑みを浮かべているが、無感情な声音だ。


「マスター遠野、マスター柊。私のことは姿の見えない番犬だと思って、どうぞ安心して日々をお過ごしください」

「番犬……」


 そんな可愛らしいモノじゃないだろう、と蓮は思う。犬というより狼、いやもっと獰猛な《《何か》》だ、このひとは。


「じゃあ修羅、蓮さんたちのこと頼みましたよ」


 そう言い残して、いそいそと去って行く衛藤。


「出口までエスコートします。以後、私は人目を避けて行動いたしますので」

 

 と、不思議な雰囲気の警備員に付き添われ、蓮たちは寮へと帰宅した。




 




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いくらヤバい相手でも敵意の有るなし判断だから先制が出なかったんだな…… もしこれで「試してやるぜ!」的なタイプだったら肉片になってた
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