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最年少ダンジョン配信者の僕が、JKお姉さんと同棲カップル配信をはじめたから  作者: タイフーンの目@『劣等貴族|ツンデレ寝取り|魔法女学園』発売中!
第7章 ハーレム旅行ってマジですか?

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第109話 木更津ダンジョン1階層


 ■ ■ ■



「ここを渡るわけ……?」


 蓮は、遠くにそびえ立つ木更津ダンジョンに目を見開いた。

 ビル群の中に建っていた四ツ谷ダンジョンも異物感が強かったが、ここもまた異様な光景だった。


 遠浅の海岸。

 そこから伸びる一本の桟橋。

 その200mほど先で、巨大な塔が空へと伸びているのだ。


 ダンジョンは陸地にだけあるのではない。海に《《生えた》》ダンジョンも存在する。その話は知っていたが、実物を見るのは初めてだった。


 よく晴れた青い海面に、灰色の塔がむしろ映えて見える。


 ダンジョンが発生してしばらくは人が寄りつかなかったが、今ではダンジョンを眺めながら楽しめると人気だとか。確かに魅力的な観光スポットではあるだろう。


「やっばー☆ ここで動画撮ってみたかったんだよね~」


 みんなで桟橋を歩いていく。キラキラした水面に囲まれて不思議な気分だ。


「まぶしい……、しぬ……」

 

 蓮ですら高揚感を覚えているが、引きこもりには刺激が強すぎるらしくシイナはげっそりとしている。


「シイナ先輩、よく起きられたね。梨々香先輩と配信できるから?」

「もちろん……、はぁあ、そうじゃなかったこんなとこ、絶対来ない……あぅう……」


 弱っているとまだ可愛げのある先輩を励ましつつ、ダンジョンに入場。


 四ツ谷と同じく木更津ダンジョン1階層は配信者と一般人が入り交じるフロアだ。

 ただし客層(?)は、観光客らしき人たちが多い。


「ここは海外のマーケットを参考に開発したフロアなんですよ」


 衛藤が解説してくれる。


「広場なんかで露店が並ぶアレです。小型の店舗がズラリと並ぶ様子が人気で」


 気軽に寄りつきやすく、見た目にも面白い。もちろん露天に並ぶのは果物や野菜といった食料品ではなく、ダンジョン必需品である武器や防具、アイテムの数々だ。


 この街並みを気に入ったらしい結乃や梨々香は、あちこちの露天に顔を出しながら店主との会話を楽しんでいる。蓮とシイナはそれを後方から見守るだけで満足する――これがもはやお決まりのフォーメーションになりつつあった。


「シイナ先輩は何か買わなくていいの?」

「いい……、し、知らない人のお店とか、疲れるし、見るだけで買わなかったら怒られそうだし……」

「同意……」


 結乃たちみたいにフランクに話しかけて、商品について会話して、そのまま笑顔で去っていけるのなんて、あれはもはや――


「スキルだよね、あれ」

「ユニークスキル……、私には、千年かかっても無理……」

「わかる……」


 そろって、『ふぅ』とため息をついた。



 ■ ■ ■



 梨々香とともに露店めぐりを楽しんでいた結乃の背中に、声がかかった。


「ねえねえお姉さんたち、もしかして配信者?」

「ここ初めて? オレらが案内してあげよっか」


 地元の配信者らしき男性2人組だった。


「いいで~す、パス~☆」


 ナンパされ慣れているのか梨々香は怪訝な顔ひとつせずにさっさと行こうとする。結乃も、笑顔は崩さないまま、しかし男たちとは一切目を合わせずに自然と立ち去ろうとする。


 だが諦め悪く、


「え~~っ、オレってさ、登録者9000人いるんだぜ! コイツは8000人!」

「オレらとコラボしようよ。お姉さんたちもバズるよ?」


 こちらが無視しようともお構いなしだ。


「そんでさ、打ち上げもいい店教えてあげるから」

「観光? 泊まりで来た? 泊まりだったらホテル飲みしない? オレらも泊めてよ~、なんて♪」


 一切心が動かない誘い文句に、再度キッパリと断ろうとしたその瞬間。


 ――ヒュガッッッ

 ――ジャカッッッッ


 空気を裂く気配とともに、


「――――結乃に何か用?」

「梨々香ちゃんに話しかけるな、下衆(ゲス)

「「ひ、ひぃっ!?」」


 男たちそれぞれの首筋に、蓮が引き抜いた刃の切っ先と、シイナの銃口とが突きつけられていた。


「何の用って聞いてるんだけど?」

「え、えっっ!?」


 蓮の冷たい声と鋭い殺気に、男の顔は一瞬で青ざめて声が震える。


「つ、つーかこの人たちって、もしかして……アイビスの!?」

「と、遠野蓮!? 登録者120万人の!? う、嘘だろ――」

「お前! はやく気づけよ!?」

「てめぇが声かけようって言ったんだろ!」


 ――ゴリッッ!


「誰の許可を得てしゃべってるの? 梨々香ちゃんと同じ空気を吸うなんて、重罪よ?」

「そ、そんなぁ……!? ひぎっ!?」


 見ると、シイナのもう一丁の拳銃が男のこめかみに押しつけられていた。

 さらに蓮のほうは、黒翼が禍々しく展開していて、


「説明できないの? どうして? さっさと説明して」

「梨々香ちゃんを見たら殺す。1階層でも殺す。2人ともミンチにしてあげる」

「それいいね。説明できないなら殺そうか」


「せ、せつめい……っ」

「しゃべるな、殺す――」


「「~~~~~~~ッッ!?!?」」


 理不尽な2人の要求に、男たちはついには泣き出して、


「「す、すびばせんでしたぁ~~~~ッッ!!」」


 命からがら逃げ出した。


「うっわぁ……ガチビビりしてたね~。もう、レンレンもシイナちゃんもやりすぎ~。梨々香たちがあんなのに付いていくわけないのに――」


 と、梨々香が言うが、蓮とシイナは何だかため息をついて、


「はあ……、人多すぎだよね……」

「うん……だからあんな変な輩も……、うぅ、陽キャだらけだぁ……、疲れる……、やだ……」


 オンオフの激しすぎる2人に、結乃は梨々香と顔を見合わせ、


「レンレンたち、なんか意気投合してるね~」

「蓮くんに息の合うお友達が出来てよかったです」

「あーわかる~☆ 保護者の気分だよね~」


 言って、苦笑した。




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