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古群とグリニアの王子達



15歳のある日、ついにあの日が来た。

王位継承1位であるジル・ヴァイツェンが、平民の女の子と駆け落ちしてしまったのだ。


本来ならばすぐに見つけ出されて戻されるのだろうけれど、あのジルだ。

短い関わりだったけれど、相当の切れ者だった。

うまく逃げ回れてしまうのも頷ける。


結果的に、後釜としてノルン・ヴァイツェンが継承1位となる。

そんな事情もあって、私とノルンとの婚約が消滅するのは恐らく時間の問題だと思う。


これからはノルンの婚約者候補というよりは王妃候補になる。

つまりは、私以外の候補は基本的に他国の姫君。

国王様も、私との婚約はメリットが薄いからあまり望ましいとは思わないはずだ。

王家の都合で破談にされてもおかしくない。


父も気を遣ってか、こんな話をする。


「他国のパーティに参加してみない?ノルン様との婚約が前向きでないのなら、国外の方がお相手探しがしやすいんじゃないかな?」


私はそれに賛同する。


「はい。是非そうしたいですわ。」


良い相手を見つけなくちゃ。

じゃなきゃノルンとの婚約は破棄されても、未婚じゃ可哀想として、別の変な婚約が発生してしまうかもしれない。



ーー


大陸中の王家やその交友関係者だけが参加する仮面パーティ。

ついに初めての、他国のパーティだ。


これまではアルガーデンのパーティに呼ばれて、招待された国外の王族と話すのが普通だった。

けれどその形式の場合、向こうもコネクション作りをメインにしているから挨拶回りに忙しく、捕まえるのもやっと。

他国の王家とゆっくりお話しする機会なんて中々ない。


父の紹介だけあり、この仮面パーティは普段のパーティより人は少ない。

その代わり、恐らく出自が信頼できる人や、未婚の人などの複数の条件で絞られている。


「お手をどうぞ。」


まず話しかけてきたのは、ソルトと名乗る男性だった。

仮面パーティと言えど、しっかり本名で名乗るから、仮面はあくまで形だけの雰囲気作りだったりする。


「ありがとう。」


私もレミリアと名乗り、1曲付き合ってもらう。


「こういったパーティは初めで…緊張しますね」


「見ない顔ですよね。恐らくアルガーデンの方で?」


レミリアの名前は、知っているらしい。

どちらかというと、フローリカの家の知名度だと思う。


「はい。貴方は…グリニアですか?」


ソルトのことは申し訳ないけれど聞いたことがあるような無いような。

ただ、黒髪と白い肌は、ローナと少し雰囲気が似ている。

ローナのさらさらした黒髪は、グリニア出身の母譲りだと聞いた。


「グリニアの王子です。といっても12番目なので、継承権で言えばかなり低いですけど。」


そういえば、グリニアの国王の子は、16男12女と聞いたことがある。

側室がすごく多いんだとか。


「このパーティに参加されるということは、お相手を探していらっしゃるんですか?確か…レミリア様はノルン王子の婚約者ではなかったですか?」


ソルトが話しかけてきたのは、そこが聞きたかったからなのだろう。

このパーティに出ている以上はそうではないということになるから。


「婚約者候補でして…色々とありましたから、基本的にはノルン様の婚約は他国の姫君とまとまるかと思うのです。」


「ああ、兄君が王位を放棄されたんでしたか。そうなると確かに…そういうこともあるのかもしれませんね。」


踊りながら、こっそり溜息をこぼす。


「グリニアでも婚約者として認識されているんですね…」


だとすると、想像以上に難航するかもしれない。


「すみません。他国の情報は中々正確には入ってこないもので…大抵が噂なので。まあ、ノルン王子が次期皇帝として他国の社交界に出てくるようになれば、すぐ誤解は解けるでしょう。」


「そうですね。それまでは地道に話しかけていくしかないでしょうね。」


エスコートが私でなければ、婚約者じゃないことははっきりする。

それまでは一人一人誤解を解いていくしかない。


「ええ。その際には是非私の名前もリストに入れておいてください。」


一礼すると、ソルトは去っていく。

他の相手と話すのかと思いきや、疲れたのか庭の方に出ていく。


私は引き続き、他の相手とも挨拶をしようかと振り向く。

すると、赤い髪の人と仮面越しに目が合う。

あの色は、隠しキャラと同じだ。

でも、顔が少し違う。


「こんばんは。あなたは?」


「レミリアです。」


「どうもレミリア様。古群の紅蘭と申します。」


古群は、西の砂漠の大国。

すごく栄えていて、金の不夜城なんて呼ばれたりもする。


「随分遠方からいらっしゃったのですね…?」


凄く豊かで人が多く、相手には困らないだろうに。


「ああ、本当は私ではなく…あそこに居る幼馴染の相手を探しに来たんですよ。私は彼女が逃げないよう監視を頼まれまして。後日事細かに報告するんです。」


同じ赤い髪の、褐色の女性が大胆に食事している。

どう見てもあんまり興味がないのに無理やりつれて来られたと言わんばかりだ。

紅蘭は食いっぷりに、苦笑いを浮かべる。

かと思えば、こちらに向き直る。


「ですが素敵な女性をお見かけしたので、ついお声掛けしてしまいました。」


そう言うと、こちらの手をぎゅ、と握られる。


流石は古群出身。

百戦錬磨のナンパ師のよう。

アルガーデンの男性は控え目だから、すごくカルチャーショックを受ける。


噂では古群の歴代王家は、グリニアの現王も目じゃないくらい、一夫多妻だと聞く。


「えっと…その…お相手には困っていらっしゃらないのではありませんか?」


「私は趣味に勤しむ方が好きでして。まだお相手は居ません。ですが貴女を一目見てビビッと来ました。きっと運命です。」


あまりにも手慣れた流れで腰に手を添えられ、真ん中で踊りに流される。

こんなに百戦錬磨そうな人が、お相手がいないわけがない。

きっと嘘つきだと思う。


「とても女性に慣れていらっしゃるのにですか?何人目の運命なのかしら」


思わず引きつりながら、踊りに合わせる。

それを聞いて、紅蘭はあはは、と笑う。


「古群の王子と聞けば、そう思うのは無理もない。ですが嘘偽りなく。何なら後で向こうで無限に食べている幼馴染に聞けばわかります。」


自信たっぷりに言う。

素行は家経由で調べたらわかることだし、本当なのかもしれない。


「放っておかなそうなのに、意外です。」


「レミリア様こそ。アルガーデンの殿方は相当見る目が無いのでしょうか。」



ーー


その後も紅蘭の幼馴染である鈴凛とも挨拶したり、何人かと挨拶した。

けれど後日身辺調査をして、お父様でも交友を認めてくれそうな相手は、ソルトと紅蘭だけだった。

もちろん鈴凛は友人として大歓迎されると思うけど。


基本的には訳アリだからこそ、未婚の王族ということだ。


ソルトは仮面を外して見ると、結構口数が少ない。

相当にぶっきらぼうで、見目も身分もありながら婚約者探しに難航するのは、そういう理由らしい。

たまに怒っているのかな、と聞いてみると、微笑んでいると返され、それで!?と思ってしまう程にわかりにくい。

本人曰く、相当に人見知りらしい。


紅蘭とは、良好だ。

紅蘭が未婚の理由は、さっぱりわからない。

ただ、すごく心配なことを、鈴凛から聞いた。


「あいつはモテるんだよ。ただ……あいつには伝説がある…。それを知ると皆裸足で逃げていくのさ。あたしもあいつとの婚約は絶対に嫌だね。あれはヤバイ。」


そう言いつつも、具体的なところはいつも教えてくれない。

鈴凛は紅蘭と私の婚約がうまく行ったらラッキーと思っているのかもしれない。

一体どんな理由なのか、今のところ検討もつかない。

調べても、経歴や最近の噂には、その手の話は出てこなかった。


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