縁側
俺は女房の膝枕で
縁側から庭を眺めている
紫陽花の花はもう終わりなのか
枯れてしまった花と
咲いている花が同居している
その横では サルビア
が咲いている
プランターで育てたキュウリも黄色の花を咲かせ
ふたつほど実がなっている
俺は 女房に
「今日は、キュウリに金山寺味噌だな」
と声をかける
女房から返事がない
おかしい
何か違和感がある
女房の顔を見ようと
上を見るが
何故か
顔にもやがかかっている
遠くから
「あなた」
と声が聞こえる
俺はそちらに行こうとするが
身体が起き上がれない
目をつむると
優しい光が俺を包み込む
俺はそのまま
夢の中へ
女房が泣いている
『俺は、野良猫を助けようとして、事故にあってしまったらしい』
俺は もうこの世にはいない
毎年 この時期になると
俺は女房のところに帰ってくる
昔よく
縁側で
ふたりで花火を見た
この時期に
助けた野良猫が縁側でのびをしている