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【青いブルース】  作者: トーギィ
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4話『コロシアム』

大会が始まった。

トーギィとアイリが心配だが、ミウを1人にする訳にもいかない。

腹を決めた!

防御も覚えたし全力でミウを守れば何とかなる!


30m×30m程の四角いステージ上にエントリーの8チームが集まった。

周りの観客席は満員だ。

城からは偉そうな人が5人観戦している。

ステージの四隅に審判が1人ずついる。

審判長が大会ルール説明を始めた。


頭への打撃攻撃と、精神系の魔法が禁止。

違反者とそのチームはその場で敗退。

審判団が戦闘不能と判断した選手は審判団が即座に治癒魔法を使うのでステージから降りる事。

最後に1人以上ステージに残っている選手のチームが勝利となる。


「ミウ、強そうなやついる?」


「あの制服の魔族3人組。ピンク色の髪の女が強そう。おそらくウィズ王国の魔法学校の生徒。」


「解った。でもトーギィさんとアイリさんより強そうには見えない。」


「うん。大丈夫。」


ピンク色の髪をツーサイドアップにした魔族の女がこちらを見てニヤけてる。


トーナメント表が貼り出された。くじを引いたチームリーダーの名前が書きこまれていく。

ミウが『7』を引いて4試合目になった。

運良く先に3試合見れる。

試合の無い選手はステージから降りベンチに座る。



1戦目『ネルル』vs.『ホールズ』


ネルルは先程のピンク髪の女。魔族の男女2人を率いた制服の3人魔族。

人族のホールズは獣族の男2人を率いている。


「試合開始!」

カン!


ゴングが鳴らされた!

ホールズチームが一斉に斬りかかる!

魔族の男がマジックシールドでバリアを張る!

男の両サイドから2人が強力な魔法を放つ!

「ヘルファイヤー!」

「サンダーストーム!」

これは……上級魔法だ!


ホールズチームは、3人とも激しく焼け焦げ戦闘不能!


カンカンカン!

「勝負あり!」


1回戦があっさり終わった。


続く2戦目、3戦目は攻守のバランスが取れた4チームが熱戦を繰り広げたが、ネルルの魔法ほど脅威には感じなかった。


そして4戦目、ミウと俺の出番だ。



4戦目『ミウ』vs.『ネルソン』


相手は柄の悪い人族の男が3人。

「おいおい、2人かよw舐めんなやw」

「可愛い子だな!そのデカい乳を揉んじゃうぞ~」

「弱そうな兄ちゃんからやっちまうか。その後でカワイ子ちゃんを、へへへw」


ミウが指を3本立てて言った。

「3秒」


「はぁ?」

「ふざけんなよ!」


「ブルー、ゴングが鳴ったら伏せて。」

ミウが両手に剣を持ち、左右に広げた。


「試合開始!」

カン!


3人が一斉に斬りかかって来た!


「大車輪!」


円盤のように見えるミウの高速大回転が3人を激しく切り裂く!!


「うぐ!?」

「ぶふっ!!」

「がはぁ!!」


カンカンカン!

「勝負あり!」


「うおおおお!」

「すげぇ!」

「団体戦レコードの3秒だぞ!!」


観客が盛り上がっている!

ミウが対戦相手じゃなくて良かった。


準決勝1戦目。

ネルルチームの盾役の男の魔法で相手は近付けない!

女2人がガンガン魔法を放つ!

相手は確り防御するも、なす術なく敗れた。

あの厄介な男を何とかしないと勝てないな。


準決勝2戦目。



『バンバル』vs.『ミウ』


相手は獣族の男1人と魔族の男女2人。

先程の試合では獣族の男が攻撃、

魔族の女が後ろから魔法を放ち、

魔族の男が回復をしていた。


「ミウ、どうする?」


「私が獣族の男を倒すから、女は無視して回復役を何とか抑えて。」


「任せてくれ。」


「ブルーが回復役に向かって行けば女はブルーに魔法を打つから。その隙に女も仕留める。」


「解った。」


ミウは戦闘慣れしていて頭も良く作戦も的確だ。

俺が作戦通り動ければ負ける事は無いだろう。


「試合開始!」

カン!


ミウが獣族の男に斬りかかる!

「無双!」

獣族の男は、ミウの激しい連続斬りと味方の治癒魔法のサンドイッチだ!

魔族の男は獣族の回復に夢中で、俺など眼中に無い。

隙だらけだ!

魔族の女が俺に向けて炎魔法を放つが、俺は魔族の男を後ろから捕まえて盾にした!

男は黒焦げになり戦闘不能!

ミウが魔族の女にとどめを刺した!


カンカンカン!

「勝負あり!」


「おお、あの子強いぞ!」

「いいぞミウちゃん!!」

「カッコいい!」


たった2試合で、もうファンが出来たようだ。

俺もファンになりそうだ。



決勝戦まで来た!



『ネルル』vs.『ミウ』


ステージに上がったネルルが審判の1人を見ている。


「ブルー、申し訳ないんだけど………ヒソヒソ」


「わ、解ったw頑張る!」


「私達の卒業試験の相手になれた事を光栄に思いなさい!……いくわよ!」



「試合開始!」

カン!


「お嬢様達。随分貧相な魔法を使うようだな。ほら、俺が吟味してやるよw」


「力も魔法もない人族風情が!」


ミウの言う通り、2人とも挑発に乗り、俺に魔法を打って来た。

1発はかわし、もう1発は耐えた!

隙を見てミウは凄い早さで男に猛突進している!


「マ、マジックシールド!」

男は慌ててバリアを張った。


「ガルム流技……竜兜割り!」


ミウの大剣がバリアを破壊し、男の腹に刺さった!

ノックアウトだ。


「2対2になったな。」

俺の言葉に対し、ネルルが不敵に笑う。


審判の1人が小声で呟くのが聞こえた。

「スリープ……」

その声をかき消すように2人が魔法を唱える!

「ヘルファイヤー!」

「サンダーストーム!」


「ミウ!俺の後ろへ!」

2発を受け止めて、体が痛む!

「がはっ……!」


しかし、これは作戦だ。

ミウが俺の後ろから現れ大車輪を決める!

……はずだったが突然ミウが倒れた!

ミウが眠らされている!


「ちょっと待ってくれ!反則だ!」


「何言ってるの?アンタがちゃんと守らないからでしょ?w」


「そこの審判がスリープって言ってただろ!」


「はぁ、これだから人族は……。負けそうになったら審判にケチつけるの?w」


「これで2対1。積んだわねw」



「悪い子は……お仕置きだ……。」

2人に向かって歩く。

2人は俺に魔法を放つ。

何発魔法をくらったか覚えてない。

くらっても即回復する。

止まらず歩き、どんどん近付く。


「く、来るなバケモノ!!」


茶髪の女の腹を爪で刺した。ノックアウト!


「何で!?何で魔法が効かないのよ!」

ネルルが逃げ回る。


「俺は昔から鬼ごっこが得意なんだ。特に鬼がな。」


ネルルを捕まえた!


「スリープ……」


「効かねぇよ、そこの不正審判。よく見てな。人を寝かせるってのは、こうやるんだぜ?」


トーギィから教えて貰った絞め技『胴締めスリーパー』。

背後から左手で首を絞め、右手で暴れるネルルの角を掴む!

両足で体を挟み、動きを封じて絞め上げる!


「ぐ……ぷ………。」


ネルルは1分も経たずに口から泡を吹いてノックアウト。


カンカンカン!!

「勝負あり!」


「おぉ……なんだアイツ!」

「自己再生してたよな?」

「バケモノとか言われてたぞ!?」



「ミウ!大丈夫か!?」


「う、うん……。終わったの?」


「ああ、勝ったよ。あいつを見てみろw」


「良かった……ありがとう。」


ネルルが審判団の治癒魔法で起き上がった。

不正をした審判に積め寄る。


「使えないわね!アンタの情報にあんなバケモノの存在は無かったでしょ!!」


……それ、今言ってはまずい事は俺でも解る。こいつは馬鹿だ。


「それとアンタ!よくも私の角に触ったわね!」


「はぁ?」



「話を聞かせてもらうぞ。」

城から見ていた師団服を着た偉そうな5人が不正を働いた審判を連行した。


魔族の生徒3人は捨て台詞を吐いて会場から出て行った。

「ば~か!」

「変態!」

「あほ~!」


……二度と来るな。



ミウと俺は賞金と勲章を授与された。

金貨20枚ずつ!!凄い!勲章は、国から特別要請を受ける事もある名誉の証だ。

不正が無ければミウ1人でも勝てそうな相手だけに、俺まで勲章もらうのは微妙な気分だ……。


拍手喝采の恥ずかしさで満載の会場を後にした。



「ねぇミウ。魔族って、角を触られるのが嫌なの?」


「あのね、求婚された魔族の女は、OKの時に角を触らせるんだって……。アイリが言ってた。」


「………嫌だ。」



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