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【青いブルース】  作者: トーギィ
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3話『クーガ村の特訓』

こんなに眠れたのは、いつ以来だろうか。

よく晴れた清々しい朝だ。


村長宅で朝食をご馳走になった。

懐かしい味だ。味だけでも、シスターとメイさんが姉妹なのが解る。

泣きながら食べる俺を見てメイさんが微笑む。


食事を済ませ、外に出るとミウも家から出て来た。

自分の身長と同じくらいの大剣を2本背負っている。

後ろから見たら大剣が歩いているみたいだ……。


「お母さん、クーガ村に寄ってからレオンに行く。1週間くらいで帰ってくるから。」


「はい。大会にはお父さんと見に行くからね。」


「ブルー……行くよ。」


「は、はい!」


メイさんに見送られ、ミウとクーガ村に向かう。

シスターに見送られ、奴隷小屋に戻る時の事を思い出した。

ヤバい、また泣きそうになった。



わざわざ歩いて行くのか。


「話しながら行くね。道中は戦い方も教えるから。」


「なるほど。ありがとう。」


ミウが歩きながら今回の目的を説明してくれた。

最終目的はコロシアムでの優勝賞金。

使い道はクーガ村に着けばわかるらしい。

レオン王国コロシアムの大会は

1対1の『個人戦』16人のトーナメント

3対3の『団体戦』8チームのトーナメント

があるそうだ。

団体戦の賞金は個人戦の2倍。

ミウはクーガ村に寄って友人2人と合流し、事前にエントリーしてある3人で団体戦に出場するらしい。

数日練習してからレオンに入る予定だ。



話しながら10分ほど歩いたところで魔物が現れた!


2メートルくらいのデカいオークだ!

俺が逃げたコボルトよりも遥かにデカい!


「下がって。」


ミウは背中の大剣を片手に1本ずつ持ち、構えた!

ウソだろ、大剣二刀流かよ!

短剣の如く軽々2本同時に振り抜く!


……瞬殺。


「オークはデカいくせに良い物を持ってないね。食べても不味いし。」


平然と戦利品をあさってる。


「ねぇブルー、あいつ倒してみて。怪我しても薬があるから。」


ミウが指さした先からワーウルフが向かって来た!


た、たぶん大丈夫だ……ケルベロスよりは小さい!

俺は短剣を持ち、切りかかった。

何度か噛みつかれたが倒せた!


装備品『鉄の小手』を手に入れた。


「ん~、あれくらい無傷で一撃で仕留めないとね。お父さんも人族だけど、強かったよ。」


ミウの話では村長は10年程前に災厄の竜と戦い、仲間を守り瀕死の重症を負ったらしい。

今は歩くのが精一杯で、ラルフを時期村長として教育しているそうだ。


「手を出して。」


俺の手に薬を塗ろうとしたミウの目が点になっている。

神速回復を見られた。

「え?……え?」


「ごめん、村長から口止めされてたんだ……俺はこういう体質らしい。」


「……凄い。斬ってみていい?」


「やめてくれ、一応痛いからw」


「そう。ブルーは攻撃より守りの適正がありそうね。」


その後は俺がミウの前に立ち、攻撃を受け止めてミウが仕留める感じの戦法で連携を身に付けていった。

戦利品で手に入れた『小手』が俺の能力と合う。


少しずつ戦いにも慣れてきた。



また魔物が現れた!オークよりデカい!

ミノタウロスだ!

ぶん回す斧を数発喰らうものの小手で受け止め、ミウがミノタウロスの後ろに回りこみ一刀両断、いや

二刀三断!

……牛の3枚おろしが完成した。


「こいつは少し強い魔物だから戦利品もいいね。金貨2枚。あと、肉も高く売れるから持って行こう。レオンに付いたらブルーの良い装備を買ってあげる。」


ミウはミノタウロスを軽々引き擦って歩く……。


「お、俺も手伝うよ!」



クーガ村に到着した。

ガルム村から比べると小さい村だが、宿屋、教会、買取屋はある。

ミウはミノタウロスを売った。


こちらに気がついた長い黒髪の魔族の女性が手を振って走って来た。


「ミウっち~!お久しブリザード!」


ミウに氷魔法を放ってきた!

ミウが大剣1本で弾いた!


「まだまだね、アイリ。」


……ひどい挨拶だ。


「おうミウ。彼氏できたのかっ!良かったなっ!」


2m近い身長の獣族の男が近付いて来た。


「違う。……弟子。」


ミウが2人を紹介してくれた。


巨漢の獣族はトーギィ。

武器を使わない『格闘』が戦闘スタイル。

コロシアムの個人戦で32連勝の記録保持者らしい。

口は悪いが気は優しい『兄貴肌』だ。


魔族の女性はアイリ。

全属性の攻撃魔法と補助、治癒など全ての魔法使える最上位魔導士。

母国での魔法騎士団入りを断って自由を選んだそうだ。

ミウの親友、おてんば姉さんだ。


このカップルが今回ミウの仲間になる2人。

3人で2人のマイホームの資金を大会の優勝賞金で稼ぐそうだ。


アイリの実家はウィズ王国。

今のウィズ王国は人族はおろか、獣族すら入国出来ないらしく、トーギィはアイリの実家に挨拶にも行けないらしい。

国の要人すら入国出来ないそうだ。

アイリの親が遊びに来やすいようにウィズ王国に近いホルス村に新居を建てるようだ。

親孝行ってやつか……。



ここクーガ村の修練場や近郊での練習に俺も参加させて貰う事になった。



「ガルム流技……無双!」

「マジックシールド!」

「獣星拳!」

「ガルム流技……竜兜割り!」

「サンダーストーム!」

「旋風10連蹴り!」


3人が色々な得意技で乱戦している!


30分程の激しい乱戦が終わり、一旦休憩のようだ。

見学していた俺にトーギィが話かけて来た。


「ブルー、強くなりてぇって言ってたが目的は何だ?」


「近い目的は村長に認めて貰う事ですね。遠い目的はヒュマ帝国にカチコミですw」


「穏やかじゃねぇな。だがそんなヒョロヒョロじゃ、酒場で女をナンパして返り討ちにあってる軟弱者程度の戦力だぞwもっと食って体を鍛えないとなっ!」


教会では少ない食料を分け合って、奴隷時代は数日に1食程度。

今朝は村長宅で久々の食事だった事などトーギィに話した。


「うぅ……泣かせるじゃねぇか。苦労してたんだなぁ。よし、ブルー!ここにいる間は俺様が吐く程メシ食わせてやる!」


離れた所で談笑してたミウとアイリ。

「あいつ、また泣いてるし!」


「トーギィさん良い人よね。」


「そう?w」


トーギィは、俺が力も魔法も無い人族だから戦闘の基本『防御』を色々教えてくれた。


日も暮れ始めた頃、練習を切り上げた。

1時間ほど前からフードの付いたローブを着た人物が見ていたが、居なくなっていた。



練習に明け暮れ5日が経った。

俺はたらふく食わせて貰って体力も付き、トーギィの加減した拳技やアイリの初級魔法を楽々防御できるようになっていた。


ミノタウロスが力尽きるまで防御で耐える事もできるようになった。

とどめを刺すのはミウだけど……。


最後にトーギィから『絞め技』を伝授してもらった。

首のある魔物なら気絶させれる。

武器が無い時などの護身技だ。



……そして4人でレオン王国に向かった。



レオン王国は、王城とコロシアムが併設している。

トーギィの話では、王様や傭兵師団が城から試合を見ているそうだ。

傭兵師団は4つあり、各師団長が大会で優秀な人材を見つけてスカウトしている。

でも3人とも師団には興味が無いようだ。


街の中は獣族の国とは思えないほど人族と魔族がいる。

特にコロシアム前のマーケットは凄い人の数だ。

ここの武器屋でミウに装備を買って貰った!

トーギィのオススメで2つ購入。

左手用のガントレット。

肘まで伸びた甲は盾の役割を兼ねている。

もう1つは右手用の爪、ライガークロー。

非力な人族や魔力の弱い魔族に人気の武器だ。


「ありがとう!」



試合開始まで30分になった。

試合に出ない俺まで緊張してきた!

ミウはエントリー表にサインし、中に入った。

俺も試合時間まで付いて行こう。


廊下には歴代優勝者の名前が書かれている。

現国王や各師団長、エドガ村長、ラルフ、トーギィ。

そうそうたる顔ぶれだ。


ミウの方を見るとキョロキョロしている。


「ミウどうした?」


「トーギィさんとアイリがいない!」


マーケットまでは一緒にいた。

「俺、外を見て来る!」


15分程探し回ったが、何処にもいない。

ミウの所に戻っても2人は来ていない。

そろそろ開会式の時間だ。


「何かトラブルに遇ったか!?」


「あの2人は強いから命の心配はない。

……ブルー、私達2人で行こう。」


「え~~~!!」


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