癖がでたな
まぁ、全てはヒロイン次第だなぁ...頑張れ。お兄様!
「お嬢様。こちらの人形でよろしいでしょうか。」
うわ!びっくりした。音も無く急に現れるとびっくりしちゃうじゃないか!
「だ、大丈夫です。あ、ありが....いえ、下がってください。」
危ない危ない...。いくら貴族令嬢でも、使用人に物を取ってきてもらったくらいでは謝らないよ。
つい癖がでたな...気をつけないと!
「わかりました。」
サササ....。と下がっていった。
確かあの人の名前は...ん?あれ、おかしいな。名前がでない...。
この頭は記憶力とか本当いいから、一度聞いた名前とか忘れづらいのに...まぁ、そういう時もあるかな。
さ、使用人に見られた時点で、もう遅いけど。鏡を元の状態に戻す。
それにしても、家族と対面するの、少し怖いな...。いや、記憶とか性格の面では問題ないと思うんだけどさ。今、妙に大人びてるからさ...。
うぅ、なんか緊張するなぁ...。
「エルー!」
ふぁっ!この声は...
「お兄様!」
直後、ガチャッという音ともに、ふわふわした白い髪が目に入った。
「エルー!会いたかったぁ。好きだよぉ〜エル〜。」
「はい!お兄様。私もお兄様のことが大好きです!ところで、今日は何か予定があったりしますか?」
「ないよ。ないない!エルとの時間を引き裂かれるのは嫌だからね。エルが早めに終わらせたよ。なんたってお兄様は天才だからね。」
「ふふっ!そうですか、お兄様凄いですね!」
私が褒めると頬が緩み、だらしない顔を浮かべるお兄様。
白髪で桃色の瞳。ふわふわな髪と、タレ目に見える眠たげで、私よりも少し色素が薄い桃色の瞳。
背は私よりも少し高いくらいで、男の子にしては華奢な方だ。
日焼けを知らない、病弱かと思わせるほどの真っ白な肌に負けないほどの白い髪。そして色素の薄い桃色の瞳と華奢な体格。
その姿はどこか神聖さすらも感じるほどだ。
そんな自慢な兄。兄の自慢は容姿だけでなく、能力的にも素晴らしいのだ。
剣術をやらせれば2日目で師範に一本を取ったり。
勉学をやらせれば1年分の教材を3日で完璧に仕上げられたり。
魔術をやらせれば4日目で炎の大精霊と契約したり。
とにかく、兄はなんでもやれるスーパー超人なのだ。
この国の王子すらも兄には勝ったことがないという.....そんな凄い人が兄って、私、恵まれてるなぁ。
まぁ、私も記憶力はいいし、天才の部類に入ると思うよ?でもさ。近くにこんな天才がいたら自信なくすよね?
だから私は必死に頑張ったんだよ?来る日も来る日も、勉強勉強。まだ魔術の訓練はできないから勉強をした。
幼い時からこんなにやる子って、私だったらちょっと怖いな。
そのおかげで私は神童と崇められる...訳なく、なぜか何も言われなかった。
褒めるか恐怖するかのどちらかのアクションはあると思ったのに.....。
え?だって私、結構凄い子だと思うんですけど?
3歳児でもう中等部三年生の学習終わってますよ?
これは私の素の力ですよ...?前世の記憶チート無しでこれって、結構凄い気がするんですけど?
まぁ、仕方ないか。そういうものだと思えばいいんだよね.......。