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首飛びかけたら側室になった悪役令嬢見習い  作者: ぱつぷぇ
好感度を一定に保つ方法
8/15

猫かぶるのは止めましょう。






「リスア様ァ!! ご無事ですか、殺されてませんか、息の根を止められてませんか!?」


「まずは自分の言った例が全て同値ということに気づこうか」


「自分に支給された部屋の広さに混乱が止まりません」


「止まれ?」



 何故か息を切らしながらやって来たソルジア。忙しい奴としか言えないな、さっきデレた自分を撤回したい。


 半分酸素不足に陥っているソルジアを他所目に、何かもてなせる物がないか探した。それに気がついたソルジアは「茶を持って来ました」と息を切らして言う。



「あの……私が淹れようか? ほぼ死んでる執事に淹れられても……」


「いえ、リスア様の手を煩わせる訳には行きません。そもそもリスア様、キッチンの存在とか知ってます?」


「私が息の根を止める側になろうか」



 冗談ですと死にかけから抜け出せない声で言うから、いっその事面白く感じてきた。


 「キッチンお借りしますね」と言って部屋に入るソルジア。あ、この部屋キッチンあったんだ、気づかなかった。



「貴女のことですから気づいていないでしょうね」


「すみませんねえ箱入りなモンで」


「箱入り王女はそんな言葉遣いではありませんよ、リスア様の場合はただの馬鹿っ」



 つい手が出てしまった、失敬失敬。しかしソルジアは反省する気も見せず、紅茶を作り始める。


 少しイラッとしてきたけれど、「お菓子もありますよ」と言われたので治まった。



「我々は側室に対して相当な偏見を持っていたようで」


「それ。何でか散々な目に遭う気がしてたんだけど、結構いい扱いで驚いたよ」


「私もですよ、こんなじゃじゃ馬がっ!?」


「そろそろ言葉は選ぼうか」



 自分的にはだいぶいいのが入ったと思う。ソルジアも流石に耐えられなかったのか殴られた所をさすっている。



「痛いですよ、身分取り除いたら私の方が歳上なのに」


「私腐っても王女様だからごめんね?」


「殺されてもいいから殴りたいですよ、もう」



 それでもプロだからか紅茶を作る手は止めない。いい香りがしてきた、少しの無礼は許そう。


 ……昔もこんな感じだった。ただ、今私は国から抜けて他国の王子の側室になり、共に来てくれたソルジアはこれからのことが決まっていない。


 穏やかな空気に見えるがかなりピリピリしている。


 忙しそうな表情になっているソルジアを見ていると、つい口から本音が漏れてしまう。



「ねえ、ソルジア。貴方は帰ってもいいんだよ」


「嫌ですよ。あんなの堂々とした宣戦布告に取られているに決まってます」


「でもソルジアは私ではない。私との縁を無かったことにすれば戻れる可能性もある」


「縁を消しても時間が戻る訳ではありません。それでしたら、今のままリスア様のために時間を潰して生きていたいです」



 ……できた奴だねえ。その声が聞こえているかは分からないけれど。



「はい、リスア様できましたよ。猫舌には辛い温度ですが」


「ということはだ。私はしばらく紅茶を眺めた状態でいなければならないのか」


「そういうことになりますね。リスア様と私にはお似合いかと」

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