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栗きんとん

作者: 夜朝

皮をむかれたおイモたちが

お鍋の中で揺れている

筒状のものをふっとい輪切りに

おじゃがじゃなくてさつまいも


お正月にふさわしい絢爛豪華な黄色は

一緒にお鍋に入れたクチナシの色

イモは熱いうちに裏ごせ

網目の上で木べらをふるう


こねたり練ったりしないように

押して引く 押して引く

網目の下のボウルに落ちてゆくのは

サラサラになったさつまいも


このままでも美味しいけれど

お正月なので食料もおめかしするのです

栗の甘露煮の汁を加えて混ぜること数十秒

つやつや光るイモの上に輝く栗のアクセント


おせちの主役にはならないけれど

毎年作ってほしい物リストの先頭に輝く

なくてはならない脇役

渋いと言うには見た目がかわいすぎる


余ったら茶巾しぼり

お茶でも点てましょう

買ってきた生菓子と並べても遜色ない

それは作り手の欲目かもしれない


さあ出番まであと少し

黒い重箱の中で

きらめく黄色は黄金のよう

来年の幸を招くため


準備を終えた台所で

除夜の鐘を聞きながら

去りゆく今年にありがとう

最後の言葉がお礼なら

来年もきっと大丈夫

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