表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡な俺と非凡な彼ら   作者: 灰原 悠
第四話 先輩と後輩

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/355

#25

本日の投稿第一弾です。


やはり、この後輩は危ないやつだ……


 両手を合わせ、遠い目をして空を見上げる火野君の腕を掴むと、彼が向かうにふさわしい場所へ連れていく。


「あ、あれ?どうしたんですか先輩?」


「……安心しろ、飯はちゃんと出るらしいから」


「まだ俺を警察に連れて行こうとしてたんですか!?」


 当たり前だ。

 理由はどうであれ、盗撮された写真を買っている時点で連れていくだろう。


 また騒ぎ出す火野君を、今回は無視してそのまま歩き続ける。

 そしばらく道を進み、突き当りで俺は歩みを止めた。


 桜ノ丘学園に行くには右、交番に行くには左に進めばほどなくして着く。


 今回の目的地は左だ。

 俺は彼の腕を引き、左へ進路変更しようとしたときに、反対の右側から声を掛けられた。



「そこの二人、どこへ行く?」


 俺と火野君はその声に振り向く。

 そこには、一人の女子生徒が堂々と腕を組み立っていた。


「その制服はうちの高校だろう?」


 女性にしては少し低めの声。

 こちらに歩いて近寄る女子生徒は、俺達二人の顔を交互に見てから一つ頷く。


「二年の真良と一年の火野か、先ほどから騒いでいる生徒がいると他の生徒から聞いていたのだが君達か……」


 『何故、俺達二人の名前を知っているのだろう?』と疑問に思ったが、目の前で立ち止まった女子生徒の顔を見て、俺はその理由がすぐに分かった。


 茶色い長い髪を一本に結び肩から前に垂らし、赤色の眼鏡を掛け、左腕には黄色い腕章。


 この人は、生徒会長の柊茜(ひいらぎあかね)先輩だ。

 噂で聞いたのだが、この人は全校生徒の顔と名前を完璧に憶えているらしい。


 その噂が本当だとしたら、俺の名前を知っていても不思議ではない。

 ……ただ、全校生徒の名前を憶えているとか、もしかして生徒会って暇なんじゃ……という考えは心に留めておいた。


「朝から二人で何を騒いでいたんだ?もしかして喧嘩か?」


「……違いますよ、この危険人物を交番に届けようかと」


「危険人物?」


 会長は視線を俺から隣の火野君に移す。

 口元に手を当て、じっと彼の目を見つめる会長の視線に耐えられなくなったのか、火野君は視線を逸らす。


「彼が何かしたのか?」


「……」


 会長の質問に、俺は素直に答えるか正直迷った。

 楓は桜ノ丘学園の生徒ではないし、学校内の問題ではないのだから生徒会長に言う程の事でもない。


 そう思ったのだが、隣で「何も言わないで!」と言わんばかりの視線でこちらを見る火野君を見て、俺は決心した。



「火野君が俺の妹の写真を大量に持っていたので、交番に連れて行こうかと」


「なんで言うんですかぁ!?」







 と、まあこんな感じで会長に話をしたところ

 『放課後に生徒会室に来なさい』と、俺までお達しが下され、放課後となった現在、会長の前に俺と火野君が立たされているというわけだ。



「火野の話は大体理解した……いや、真良の妹さんが女神……というのは理解はできなかったが」


「大丈夫ですそこは理解しないでください、うちの妹は普通の人間なんで」


 火野君は、今朝俺に説明した内容の話を会長相手にもう一度は話した。

 俺が渡した楓の写真を手に取り、会長は火野君に確認をした。


「これは部屋に来てもらったときに質問したが、本当に盗撮はしていないのだな?それと妹さんを付け回したりしていないんだな?」


「ほ、本当です!誓って罪になるようなことはしていません!」


 ……盗撮した写真を買うのは罪にはならないのだろうか?

 よく知らないが、今回に限ってそこは黙っておこう。



「ということだ真良、兄として君の行動は正しいと私も思う、だが今回だけ彼にチャンスを与えてくれないか?」


 「おかしなことを言っているのは理解している」と、会長は苦笑いを見せる。

 俺は、納得はしていないが火野君が悪いやつではないのも話していて分かったし、条件付きで了承した。


「……分かりました、でもこいつが楓にちょっかい出さないように会長が手を打ってくださいよ」


「そうか……ありがとう。もちろんその点に関してはすでに考えがある」


 会長は自分の机の引き出しから一枚の紙を取り出す。

 それを火野君の前に置くと、考えとやらを話し始める。


「私が直接火野を監視できるように、彼には生徒会の庶務として仕事をしてもらう。放課後も毎日仕事があるから妹さんにちょっかい出すのも難しいだろう」


 紙は『生徒会役員推薦状』という文字が書かれていて、役職欄に直筆で庶務と書かれている。

 それを受け取った火野君は、不満……というわけではなさそうだが、何やら難しい顔をしていた。


「それを断られると、私としても真良との条件を守ることが出来ないのだが」


 会長は火野君の表情から、不満そうにしていると思ったのだろう。

 彼にそう告げると、火野君は首を横に振る。

 

 



昨日は日間ランキング一位

そして本日総合50万PVを達成することができました。

本当にありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ