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今日も働く

作者: くくり

「..............」


ここは、どこなのだろう?

暖かい。


男は起きて辺りを見渡した。


「花畑....? 」


太陽の光を浴びてキラキラと輝く花が辺り一面に広がっていた。

どこまでも、どこまでも。

その光景は美しく、しばらく魅入ってしまうほどだった。

一瞬、夢かと思い、男は頰をつねってみる。


痛い。


どうやら、現実?らしい。

しかし、どこまでも広がる花畑。

本当にこれは現実なのか?

なぜ自分がここにいるのか?

男にはわからないことばかりだった。

そもそも、


「俺の名前は......?」


名前.......思い出そうとするが、全く出てこない。

何という名だったのか.....。




しばらく考えていたが、何も思い出せなかった男は周りを散策してみることにした。

もしかすると、何かあるかもしれない。

立ち上がり、歩き始める。










どれぐらいたっただろうか?


「人1人いないのか?............おーい!!」


歩けど歩けど花ばかり。

景色が変わる気配は全くなく、男は焦り始めていた。


「ちくしょうっ」


このまま1人だったらどうしようか、この花畑のなかで1人きり。

むくむくと不安が湧き上がってきた。


そんな時だった。








「あの。」










背後から男の声が聞こえた。


「!?」


慌てて後ろを振り返る。



そこには、人がいた。

七三分けの執事服。

無表情にこちらを見ている。

先ほどまで誰もいなかったのに、一体どこから......?


「お前は.....?ここは、どこなんだよっ?!」


「私は、すざく。貴方は迷い込んだようですね、さぁこちらに。」


無表情で淡々という男。

すざく、と名乗ったが何者なのだろうか?

男のなかに疑問が湧き上がる。


「お、おぃっ!待てよ、」


「質問は後ほど。我が主にしてください。」


主?誰だよ、それ。

そいつが俺をここに?

質問をしたかったが、すざくは歩き始めてしまった。

歩くスペースは早く小走りにならないと追いつかない。

後ろを振り返る様子もなく、ただただ黙って付いていくしかなかった。







今まで歩いてきた道を戻っているような感覚だったが、歩いてしばらくすると綺麗な石畳の道が見えてきた。


あんなものがあったのか。

全然気づかなかった......


ぼんやりと男は思った。


石畳の道の上にあがり、歩き続ける。

男には、この石畳の道もどこから始まり、どこへ続くのか、全く見えなかった。

すざく、と名乗る男は道がわかっているかのように歩いていく。














「はぁっ、なぁっ.........ぉい、一体、いつまでっ........」


ずっと小走りで疲れてきた頃、ついに男は

すざくに問いかけた。


男は止まりようやく振り返った。

息を切らしている様子は全くない。


「もうつきますよ。」


相変わらず、無表情で言う。

そして、再び歩き始める。

全く同じペースで。


少しは歩くペースをゆっくりにしてくれよ....


男はうんざりした顔で思ったのだった。











すざくが言ったように、少し歩くと建物が見えてきた。

西洋風の建物のようだ。


近づくにつれ、その大きさに圧倒される。

すざくの主は、この建物の中にいるのだろうか?

一体、どんな人物なのか.....?

男はぼんやりと思いながら、石畳の続く先をみた。



石畳はアーチをくぐり続いている。


すざくと男は、つたで覆われたアーチをくぐり、その先へ進んだ。




日を遮っていたアーチを抜けると、男は眩しさに目を細めた。

眩しさに慣れてくると、2人の人がいることが確認できた。


そこには、10代後半くらいの少女.......というには大人びた表情をしている子と、つり目がちの

男?(どちらなのか不明)がおり、席に座っていた。


男のほうは、ラフな格好であり、Tシャツにゆるいジーパンを身につけていた。

少女は淡い青のワンピースであり、男をじっと見ている。


「主、連れてきました。」


すざくは、少女の側に行き、そう伝えた。



この少女が主なのか.......

正直、パッとしないな.......

顔立ちも平凡だし、主人って感じはしない.....

男がそう思っていると、


「ありがと、すざく。さて、どうしたものか」


じっと見ていた目をそらし、少女は困ったように呟いた。

しかし、その表情はすざくと同様、無表情であった。


「な、なぁっ、ここはどこか知ってるのか?

俺を連れてきたのはっ、お前か?」


男は少女に質問を問いかける。


「ふむ........あー......そうだなぁ、なんで私がいるときに.....困ったな」


質問を気にしたようもなく、ただ思ったことを口にする少女。



話を聞いていないのか......?



「うん、そうだっ!最近、足りてなかったんたよね?るい?」


少女は、席についていた男のほうに問いかける。


「え?そうだな、あんたが働かないから人員は常に足りてないな」


るい、と呼ばれた男はどこかと遠い目をして答えた。


「じゃ、これは転生ルートに組み込んで再利用しよーか!」


明るい声を出しながら少女はそう言った。


勝手に話が進められている......そう感じた男は少女に近づき、少しキツ目の口調で尋ねた。


「お前は誰なんだ?俺は誰で、何のためにここにいるんだよ?」


少女は近づいた男を見ることもなく、ちらりとすざくを見た。


「かしこまりました。」


すざくは少女を見て頷く。











次の瞬間、男の姿は消えた。

まるで最初からそこにはいなかったように。

跡形もなく消えてしまった。

















「私、人間苦手だわー」

男のいた場所をちらりと見ると、そう呟いた。

「まだ治らないのかよ.....」

うんざりとした口調で、るいが言った。


「ここに入らないよう強化を強めさせます」

すざくが、るいを睨みながら少女に言う。


「そうしてね。私はもう行くわ。そろそろ漂いたい気分だから。」

席を立つ様子をみて、

「えっ?!もう行くのかよ?!」

びっくりしたような口調でるいが慌てて立ちがった。

「るい、後はよろしくね!」


先ほどの男と同じように、少女の姿が消えた。



「...............仕事、しろよ........」


がっくし、と肩を落としたるいであった。

すざくは、そんなるいを見て無表情に肩をたたいた。









これは、とある少女に仕える男のお話。




るいは、いつものようにモニターをチェックしていく。


庭に紛れ込んだ男が無事にルートに入っていることを確認し、部屋から出たのだった。



今日は災難だった。


よりによって、彼女が目覚めた日にあんなことが起こったのだから。


たまに庭に紛れ込むが、よりによってこの日に........


るいは、廊下でため息をついたのだった。


あの後、彼女は機嫌が悪くなり(顔は相変わらず無表情のままであったが)所々破壊してから姿を消してしまった。


「気分屋だよなぁ〜」


「あっ、るい、探しましたよ!」


何もない空間に突然現れた白衣をまとった男に驚くこともなく、


「どした?」


と尋ねた。



「凍結プログラムについて見ていただきたくー......」


「わかった、すぐに向かう。」



仕事をしない主の代わりに生み出された自分。

るいは今日も仕事をする。

窓から見える星の瞬きを見ながら



「さーて、やるとしますかねー」



今日も、俺は主の仕事をする。






意味不明な話かもしれません。

いや、意味不明ですね。

思いついたことを書きました。


読んでくださり、ありがとうございました。


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