4話
この物語はフィクションです
登場人物、場所などは全て架空のものです(多分)
月曜日の朝、あくびをしながら学校の門をくぐる。
「よう、誠大。おはよう!」
「おう、おはよう。真」
話しかけてきたのは友達の真だ。俺はあまり友達と遊ばない方だが、こいつとはちょくちょく絡む。
「なあ、やっぱお前あの佐恵と付き合ってんだろ?」
「お前もしつこいなあ。2年の時からずっと言ってんじゃん。何回でもいうけど俺とあいつはただの幼馴染だよ。それに聞いてくれよ、俺の本命が海外から帰ってきたんだ。少し訳ありだけどな……」
「さいですか」
はいはいっといったような返事で聞き流された。毎度のことだ。
週3位のペースでこんなことを聞かれる。正直鬱陶しい。
そんなこんなで自分の教室に着く。真とは別クラスだ
「じゃあ、またあとでな」
「おう」
真と別れて3年B組の教室に入る。
教室の中には、クラスメイト達が友達同士でおしゃべりをしている中、一人窓際の席に姿勢よく座って本を読んでいる女子がいた。佐恵だ。
「おはよう、佐恵」
「……おはよう」
「どうした。今日はずいぶんむすっとしてるな」
「……別に」
「昔はあんな積極的だったのにどうしてこうなったのやら」
「……おめでとう、その台詞今ので200回目よ」
「なんだそんなの数えてたのか。やっぱ記憶力いいな」
「はぁ」
俺がさらっと褒めると佐恵は本を閉じ席を立って、廊下の方へ歩き出す。
「お、おいどこ行くんだよ」
「トイレよ」
「……」
少し申し訳ないと思ったが、すぐに忘れた。
しばらくして佐恵がトイレから帰ってきたが、話す時間などなく、すぐにホームルームが始まる。
昼休みになって、再び本を読み始めた佐恵に声をかける。
「なあ、今日美咲の家に一緒にいかない?」
「なんでよ」
本を読みながら佐恵が答える。
「昨日マインで言ってたじゃん。謝りたいって」
「……」
「じゃあ、俺一人で行ってくる」
「……行く」
「最初からそう言ってればいいのに……。痛っ!」
小さく呟いたことが聞こえていたらしく、すぐに足をぐいっと踏まれた。
午後の授業を終えて、放課後に2人で美咲の家に行く。
きっとこういうのを見て付き合ってるとか思われるのだろう。そう思いチラリと後ろを振り向くとそこそこな人数の目がこちらに向いていた。しかもニヤついている。
「はあ……」
「溜息なんてついてどうしたのよ」
「別に……」
「なによ」
美咲の家に着いた。
佐恵は少し前からうつむいている。それはそうだ、昔に色々あったんだから。
「やめるか?」
佐恵が首を横に振る。
俺はそうですかと言い放ってインターホンを押す。
「こんにちわ、比那名居です」
『あら、誠大くん。ちょっと待っててね』
「どうぞ、入って。……あら、もしかして佐恵ちゃん?」
しばらくして、おばさんが出てきて、俺たちを招き入れた。俺は、頷くと、何を言うでもなく家に入っていった。後を追うように佐恵も入ってきた。
美咲の部屋は二階だ。階段を上ってる時に部屋からごとごとと、ものを片付ける音がした。きっと、突然来たから部屋が散らかっているのだろう。
彼女の部屋のドアをノックする。
「入っていい?」
「ちょっと待って」
まだ箱を動かす音や、金属音が止まない。
「片付けなら手伝うよ」
「大丈夫。もうちょっとだけ待って」
「入るなー」
そのままドアを開けて部屋に入る。
チラリと後ろを見やると、佐恵は少し笑っていた。
「待ってって言ったのに……そのこは誰?」
後ろが、びくりと動いたのが分かった。俺の時と同じだ。まあ、親友だった人に忘れられるは辛いことだ。
「もしかして佐恵ちゃん?」
「憶えてるの?私の事」
佐恵は少し表情が明るくなったが美咲は、佐恵の問いに首を横に振った。憶えていなくて当然だ。
「この前、誠ちゃんから話を聞いて知ったの。ごめんね」
佐恵がボソっと一言言った。それが聞こえず思わず聞き返す。
「……なんで美咲が謝るの?……謝りたいのは、謝るべきなのは私なのに。……ごめんね」
そう言って佐恵は彼女を抱きしめた。
どうも幸星です。
元々は佐恵はただのいじめっ子のリーダーという設定でした。でもここまで昇進したのはきっと、僕がこのキャラにハマったからだと思います。
超展開なのはきっと気のせいです。
ではまた。